「Looker Studioでハイパーリンクの設定方法がわからない」「レポート内の別ページや外部サイトへのリンクを効率的に設定したい」という声をよく耳にします。実は、Looker Studioのハイパーリンク機能は非常に強力で、適切に活用することでレポートの利便性を大きく向上させることができます。
本記事では、HYPERLINK関数を使った動的リンクの設定から、テキストや画像へのリンク設定まで、実務で使える具体的な手順を、初心者にもわかりやすく解説していきます。ダッシュボードの作成効率を上げたい方、より使いやすいレポートを作りたい方は、ぜひ最後までお読みください。
ハイパーリンクを設定できる場所と用途
Looker Studioでは、様々な場所にハイパーリンクを設定することができます。
もっともリンクとして設定することが多いのがGA4のランディングページやページロケーションなどのデータに、リンクをつけることが最も多いです。
- テーブルやグラフ内のデータ
- テキストボックス
- 画像
- スコアカード
- グラフの要素
これらの要素にリンクを設定することで、レポートの閲覧者は必要な情報にスムーズにアクセスできるようになります。例えば、売上データから詳細な商品ページへ誘導したり、指標の定義ページへのリンクを張ったりすることが可能です。
設定方法の種類と使い分け
Looker Studioでハイパーリンクを設定する方法は、大きく2つあります:
- HYPERLINK関数による動的リンク設定
- データに基づいて自動的にリンクを生成
- 大量のデータに対して一括でリンクを設定可能
- Google Analyticsなどのデータソースとの連携に最適
- プロパティパネルからの直接設定
- 個別の要素に対して手動でリンクを設定
- より細かいカスタマイズが可能
- 静的なコンテンツへのリンクに適している
使い分けのポイントは、リンクを設定する対象の数と更新頻度です。
データベースのような動的なソースからリンクを生成する場合はHYPERLINK関数を、固定的なナビゲーションやリファレンスリンクを設定する場合はプロパティパネルからの設定が適しています。
HYPERLINK関数の基本的な使い方
HYPERLINK関数は、Looker Studioで最も強力なリンク設定ツールの一つです。基本的な構文は以下の通りです。
この関数がよく使うので覚えておいてください。
この関数を使用することで、リンクを設定することができます。
HYPERLINK("URL", "表示テキスト")
この関数は2つの引数をとります。
- URL:クリック時に遷移する先のアドレス
- 表示テキスト:レポート上で表示されるリンクテキスト
実際の使用例を見てみましょう。
// 商品コードから商品ページへのリンクを生成
HYPERLINK(
CONCAT("https://example.com/products/", 商品コード),
商品名
)
計算フィールドでの実装手順
HYPERLINK関数を使用した動的リンクの設定手順は以下の通りです。
- レポート編集画面で「リソース」→「計算フィールドを追加」を選択
- 計算フィールドの名前を入力(例:「商品リンク」)
- HYPERLINK関数を含む数式を入力
- 「保存」をクリック
- テーブルやグラフの設定で、作成した計算フィールドを選択
特に有用な実装パターンとして、Google Analytics 4のデータを使用した例を紹介します。
// ページパスからフルURLを生成してリンクを作成
HYPERLINK(
CONCAT("https://", ホスト名, ページパス),
ページタイトル
)
計算フィールドの使い方をスクショを含めて説明している記事がありますので詳細は下記をご覧ください。
よくあるエラーと解決方法
HYPERLINK関数使用時によく発生するエラーと、その解決方法をまとめました。
- エラーが表示される、またはデータが表示されない
- 原因:URLや表示テキストが空(null)の場合に発生
- 解決:IFNULL関数を使用して、nullの場合のデフォルト値を設定
HYPERLINK(
IFNULL(URL, "https://example.com"),
IFNULL(表示テキスト, "詳細を見る")
)
- リンクが機能しない
- 原因:URLのプロトコル(https://)が抜けている
- 解決:CONCAT関数でURLを生成する際、プロトコルを含める
HYPERLINK(
CONCAT("https://", ドメイン, パス),
表示テキスト
)
URLに日本語でエラーになるケースが多いです。日本語の場合URLが長くなり表示も見切れることがありますので、変換して表示させるようにしてください。
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プロパティパネルからの設定方法
テキストや画像要素へのリンク設定は、プロパティパネルから簡単に行うことができます。
パロパティパネルからの設定は手動でリンクを設定する手順と思っていただいて良いです。
- テキストボックスや画像を選択する
- 右側のプロパティパネルを開く
- 「リンク」セクションを探す
- 「リンクを追加」をクリック
- リンク先URLを入力
この方法は、静的なコンテンツへのリンク設定に特に適しています。例えば、ナビゲーションメニューやヘルプページへのリンクなど、固定的な要素に対して使用します。
リンクオプションの詳細設定
プロパティパネルでは、以下のような詳細設定が可能です。
- リンクの種類
- 外部URL:他のウェブサイトへのリンク
- レポートページ:同じレポート内の別ページへのリンク
- ダッシュボード:別のLooker Studioレポートへのリンク
- リンクの動作
- 新しいタブで開く:チェックボックスをオンにすると、リンクが新しいタブで開きます
- URLパラメータの追加:フィルター条件などを引き継ぐ場合に使用します
- スタイル設定
- リンクの色
- フォントスタイル
- 下線の有無
設定時の注意点
テキストや画像要素へのリンク設定時には、以下の点に注意が必要です。
- URL形式の確認
- 完全なURL(https://を含む)を使用する
- スペースや特殊文字が含まれていないか確認する
- アクセス権限の考慮
- 外部リンク:一般公開されているURLかどうか確認
- 内部リンク:閲覧者に適切な権限が付与されているか確認
- Google Drive内のファイル:共有設定を適切に行う
- モバイル対応
- クリック領域を十分な大きさに設定
- タッチ操作を考慮したレイアウト
- レスポンシブデザインへの対応
これらの注意点に配慮することで、より使いやすく信頼性の高いレポートを作成することができます。
その他エラー対応についてそれぞれのエラー内容に合わせた対応方法も記載しておりますのエラーが発生した際は参考にするとエラー解消がスムーズに対応できると思います。
レポート内の別ページへのリンク設定
レポート内の別ページへのリンク設定は、大規模なダッシュボードを効率的に運用する上で重要な機能です。設定方法は以下の通りです。
- ページ間リンクの基本設定
HYPERLINK(
CONCAT(
"https://lookerstudio.google.com/reporting/", Report_ID,
"/page/", Page_ID
),
"詳細ページへ"
)
この設定により、ユーザーは必要な情報にスムーズにアクセスできるようになります。特に、概要ページから詳細ページへのドリルダウンや、関連データへのクロスリファレンスに有効です。
URLパラメータを使ったフィルター連携
URLパラメータを活用することで、ページ間でフィルター条件を引き継ぐことができます。
HYPERLINK(
CONCAT(
"https://lookerstudio.google.com/reporting/", Report_ID,
"?p_category=", カテゴリー,
"&p_date=", 日付
),
"フィルター適用済みページへ"
)
このテクニックは以下のような場面で特に効果を発揮します。
- 商品カテゴリー別の詳細分析
- 期間別のパフォーマンス比較
- 地域別のデータ分析
データ分析レポートでの活用事例
データ分析レポートでは、ハイパーリンクを効果的に活用することで、データの文脈や背景情報をより深く理解することができます。
- KPI指標の定義へのリンク
HYPERLINK(
CONCAT("https://wiki.example.com/metrics/", メトリクス名),
CONCAT(メトリクス名, " (定義を確認)")
)
この実装により、レポート閲覧者は各指標の定義や計算方法を即座に確認できるようになります。特に新入社員のオンボーディングや、部門間でのレポート共有時に効果を発揮します。
マーケティングダッシュボードでの実装例
マーケティングダッシュボードでは、データとアクションを密接に連携させることが重要です。
- キャンペーン分析ダッシュボード
HYPERLINK(
CONCAT(
"https://ads.google.com/aw/campaigns/",
キャンペーンID
),
CONCAT(
キャンペーン名,
" (ROAS: ",
ROUND(ROAS, 2),
")"
)
)
この設定により、パフォーマンスデータを確認しながら、直接Google広告の管理画面にアクセスすることができます。
運用レポートでの効果的な使い方
運用レポートでは、問題の早期発見と迅速な対応が求められます。
- エラー監視ダッシュボード
HYPERLINK(
CONCAT(
"https://support.example.com/tickets/new?",
"error_code=", エラーコード,
"×tamp=", タイムスタンプ
),
CASE
WHEN エラー重要度 = "高"
THEN CONCAT("🔴 ", エラーメッセージ)
ELSE エラーメッセージ
END
)
この実装により、エラー発生時に即座にサポートチケットを作成することができ、問題解決のスピードが向上します。
- 重要な指標の変動を検知した際の通知システムとの連携
- トラブルシューティングガイドへのクイックアクセス
- チーム間コミュニケーションツールとの統合
これらの具体例を参考に、自社の要件に合わせたカスタマイズを行うことで、より効果的なレポーティングシステムを構築することができます。
本記事のまとめ
Looker Studioのハイパーリンク機能を効果的に活用することで、レポートの利便性と情報価値を大きく向上させることができます。本記事で解説した主なポイントは以下の通りです。
- 基本的な設定方法
- HYPERLINK関数による動的リンクの設定
- プロパティパネルからの手動設定
- 各設定方法の特徴と使い分け
- 応用的な活用方法
- レポート内の別ページへのスムーズな遷移
- URLパラメータを使用したフィルター連携
- 外部システムとの効果的な統合
- 実装時の注意点
- セキュリティ面での考慮事項
- エラー処理の重要性
- モバイル対応の必要性
よくある質問と回答
Q1: HYPERLINK関数で日本語のURLを使用する際の注意点は?
A: 日本語を含むURLを使用する場合は、ENCODE_URI関数を併用する必要があります。以下が実装例です。
HYPERLINK(
ENCODE_URI(CONCAT("https://example.com/", 日本語パラメータ)),
表示テキスト
)
Q2: リンク先のページが存在しない場合のエラー処理はどうすべき?
A: 以下のように条件分岐を実装することで、エラーを防ぐことができます。
CASE
WHEN ページ存在フラグ = true
THEN HYPERLINK(URL, 表示テキスト)
ELSE 表示テキストのみ
END
Q3: モバイル端末でのリンクの表示が崩れる場合の対処法は?
A: 以下の点に注意して設定を行います。
- フォントサイズを適切に設定(最小12px推奨)
- クリック領域を十分な大きさに設定
- レスポンシブデザインの適用
これらの機能を組み合わせることで、さらに高度なレポーティングが可能になります。