「先月と比べてセッションは増えたのか?」「去年の同じ時期と比較してCVはどう変化したか?」
Looker Studioで期間比較を設定すれば、こうした疑問にダッシュボードを開くだけで即座に答えられるようになります。設定自体は5分もかかりません。
本記事では、Looker Studioにおける前年比・前月比・前週比・任意の期間比較の設定方法を、スコアカード・折れ線グラフ・テーブルそれぞれのグラフタイプ別に図解で解説します。
この記事でわかること:
- スコアカードに前月比・前年比を表示する方法
- 折れ線グラフで2つの期間を重ねて比較する方法
- テーブルに前期比の列を追加する方法
- 計算フィールドで「前年比○○%」を自作する方法
- 期間比較でよくあるエラーと対処法
Looker Studioの基本操作やダッシュボード設計の全体像は「Looker Studio使い方完全ガイド」で解説しています。GA4ダッシュボードの構築手順は「GA4ダッシュボードの作り方完全ガイド」を参照してください。
Looker Studioには、現在表示している期間のデータと別の期間のデータを並べて比較する機能が標準で搭載されています。この機能を使えば、プラグインや計算式を使わなくても、前月比や前年比をワンクリックで表示できます。
比較できる期間のパターンは大きく4つあります。
前の期間: 表示中の期間と同じ日数分だけ前の期間と比較します。例えば表示期間が3月1日〜3月31日(31日間)の場合、1月29日〜2月28日(31日間)と比較されます。最もよく使う比較方法です。
前年: 表示中の期間のちょうど1年前と比較します。3月1日〜3月31日を表示している場合、前年の3月1日〜3月31日と比較されます。季節変動のあるビジネス(EC、旅行、アパレルなど)で特に有効です。
固定期間: 任意の開始日・終了日を指定して比較します。「キャンペーン実施前後」や「サイトリニューアル前後」など、特定のイベントの効果を測定したい場合に使います。
詳細設定: 「前の期間」や「前年」をベースに、比較期間の開始日・終了日を微調整できます。月初が営業日でない場合の調整などに使います。
スコアカードは「現在の数値」と「比較期間との差分」を一目で表示するのに最適なグラフタイプです。ダッシュボードのKPIサマリーで最もよく使われる方法です。
前月比の設定手順
- スコアカードを選択し、右側のプロパティパネルを開きます
- 「データ」タブの中にある「デフォルトの日付範囲」を「カスタム」に設定し、表示したい期間(例:過去28日間)を指定します
- 同じ「データ」タブ内の「比較期間」で「前の期間」を選択します
- スコアカード上に、現在の数値の下に「△12%」のような前期比が緑色(増加)または赤色(減少)で表示されます
「前の期間」を選択した場合、Looker Studioが自動的に表示期間と同じ日数分だけ前の期間を計算してくれます。手動で日付を入力する必要はありません。
前年比の設定手順
前年比に切り替えるには、上記の手順3で「前の期間」の代わりに「前年」を選択するだけです。表示期間が2026年3月1日〜3月31日であれば、2025年3月1日〜3月31日との比較が自動で表示されます。
表示形式のカスタマイズ
比較値の表示形式は「スタイル」タブでカスタマイズできます。
「比較フィールドの表示」で以下の3パターンから選択できます。「絶対値の変化」はセッション数が1,200から1,500に増えた場合「+300」と表示します。「変化率」は同じ例で「+25%」と表示します。「絶対値の変化と変化率」は「+300(+25%)」のように両方を表示します。
実務では「変化率」が最も分かりやすく、「数字が増えているか減っているか」を瞬時に判断できるためおすすめです。
スコアカードの詳しいデザイン設定は「Looker Studioスコアカードの作り方完全ガイド」で解説しています。
折れ線グラフに比較期間を設定すると、2本の折れ線が重なって表示され、トレンドの変化が視覚的に分かります。「先月と今月で、どの日にセッションの差が大きかったか」といった日単位の比較に最適です。
設定手順
- 折れ線グラフを選択し、プロパティパネルの「データ」タブを開きます
- ディメンションが「日付」、指標が「セッション」(または任意の指標)になっていることを確認します
- 「比較期間」で「前の期間」または「前年」を選択します
- グラフ上に、現在の期間(実線)と比較期間(点線)の2本の折れ線が表示されます
見やすくするデザイン設定
デフォルトでは2本の折れ線が同系色で表示されるため区別がつきにくい場合があります。「スタイル」タブで以下を調整してください。
現在期間の線を太く(3px)、比較期間の線を細く(1px)にすると、どちらが今の期間か一目で分かります。比較期間の線色をグレー系にすると、現在のデータが際立ちます。凡例を表示する設定にしておくと、「2026年3月」「2025年3月」のようにラベルが表示され、閲覧者が混乱しません。
テーブルでは、各行(ページ別、チャネル別など)ごとに前期比を表示できます。「どのページの成長率が高いか」「どのチャネルが前月より落ちているか」を一覧で確認するのに適しています。
設定手順
- テーブルを選択し、プロパティパネルの「データ」タブを開きます
- 「比較期間」で「前の期間」または「前年」を選択します
- 各指標の列の右隣に、自動的に「△(変化量)」の列が追加されます
変化率の列に切り替える
デフォルトでは変化の絶対値が表示されますが、変化率(%)で表示したい場合は「スタイル」タブの各指標設定で「比較表示」を「変化率」に変更してください。
さらに条件付き書式を組み合わせると、増加している行を緑、減少している行を赤でハイライトでき、問題のある箇所が一目で分かるようになります。
テーブル機能の詳細な設定方法は「Looker Studioの表・テーブルの作り方と使い方」で解説しています。
ダッシュボードの閲覧者が、表示期間と比較期間を自分で自由に変更できるようにしたい場合は、「期間設定コントロール」を使います。
設定手順
- ツールバーの「コントロールを追加」→「期間設定」を選択し、ダッシュボードの上部に配置します
- 配置した期間設定コントロールを選択し、プロパティパネルの「データ」タブを開きます
- 「デフォルトの日付範囲」で初期表示の期間(例:過去28日間)を設定します
- 「デフォルトの比較期間」で「前の期間」「前年」または任意の固定期間を設定します
期間設定コントロールを配置すると、同じページ内のすべてのグラフ(スコアカード、折れ線グラフ、テーブル)に一括で比較期間が適用されます。閲覧者はカレンダーUIから「今週 vs 先週」「今月 vs 前年同月」などを自由に切り替えることができます。
フィルターコントロールの応用テクニックは「Looker Studioフィルター機能完全マスター」で詳しく解説しています。
標準の比較機能では対応できない高度なケースでは、計算フィールドを使って独自の前年比指標を作成できます。
どんなときに必要か
標準の比較機能は便利ですが、以下のような場合には計算フィールドでの自作が必要になります。
1つ目は、比較値そのものを指標として他の計算に使いたい場合です。例えば「前年比が150%以上のページだけを抽出する」といったフィルタリングは、標準機能ではできません。
2つ目は、比較結果を特定の書式(「前年比 125%」のような文字列)で表示したい場合です。
3つ目は、異なるデータソース間での期間比較を行いたい場合です。
DATE_DIFF関数を使った期間差分の計算
Looker Studioで日付の差分を計算するにはDATE_DIFF関数を使います。
DATE_DIFF(終了日, 開始日)
この関数は2つの日付の差を日数で返します。期間比較のロジックを組む際の基礎となる関数です。
CASE関数と組み合わせた前年同月の振り分け
CASE関数を使って「今年のデータ」と「去年のデータ」を振り分け、それぞれの合計値から前年比を計算する方法があります。
CASE
WHEN YEAR(日付) = YEAR(TODAY()) THEN "今年"
WHEN YEAR(日付) = YEAR(TODAY()) - 1 THEN "前年"
ELSE "対象外"
END
このディメンションを作成し、ピボットテーブルの列に配置すれば、「今年の値」と「前年の値」が横に並んだ比較表が完成します。
計算フィールドの基本的な使い方は「Looker Studio計算フィールド完全ガイド」、CASE関数の詳細は「Looker Studio CASE関数の使い方完全ガイド」で解説しています。
比較期間にデータが存在しない
「前年」を選択したのに比較値が表示されない場合、最も多い原因は比較先の期間にデータが存在しないことです。GA4プロパティを2025年に作成した場合、2024年のデータは存在しないため前年比は表示できません。
対処法として、まずGA4の管理画面で比較先の期間にデータがあるか確認してください。データが存在しない期間との比較はできないため、「前の期間」に切り替えるか、データが存在する期間を「固定期間」で指定してください。
比較期間の日数がずれる
「前の期間」で比較した場合、月によって日数が異なるため(2月は28日、3月は31日)、比較期間の日数が表示期間と一致しないことがあります。
例えば3月1日〜3月31日(31日間)の「前の期間」は1月29日〜2月28日(31日間)となり、2月の丸1ヶ月の比較にはなりません。厳密に「3月 vs 2月」を比較したい場合は、「固定期間」で2月1日〜2月28日を手動で指定してください。
グラフによって比較期間が異なる
同じページ内のグラフで比較期間が異なって表示される場合は、各グラフに個別の日付設定がされている可能性があります。
プロパティパネルの「データ」タブで「デフォルトの日付範囲」が「自動」になっているか確認してください。「自動」に設定されていれば、ページレベルの期間コントロールと連動します。「カスタム」が設定されている場合は、そのグラフだけ独自の期間で表示されるため、比較期間もずれます。
エラー対処の全般的な方法は「Looker Studioエラー対処法|よくある10の問題と解決手順」で解説しています。
パターン1:月次定例レポートの前月比ダッシュボード
毎月のチーム定例で報告するダッシュボードに、前月比を組み込むパターンです。
スコアカード4つ(セッション・ユーザー・CV数・CVR)に「前の期間」比較を設定し、「先月と比べて何が良くなったか・悪くなったか」を一目で共有できるようにします。折れ線グラフで日別推移の比較を表示し、「月の後半にセッションが落ちた」などのトレンドを補足します。
期間コントロールのデフォルトを「先月」(前月1日〜末日)に設定し、比較期間を「前の期間」にすれば、毎月自動で先月 vs 先々月のダッシュボードが表示されます。
パターン2:EC事業の前年同月比較
アパレルや季節商品を扱うECサイトでは、前月比よりも前年同月比の方が有意義です。夏物商品の売上を7月の前月(6月)と比較しても意味がありませんが、前年7月と比較すれば「去年より成長しているか」が正しく評価できます。
スコアカードの比較期間を「前年」に設定し、テーブルでは商品カテゴリ別の前年比を一覧表示します。前年比が100%を下回っているカテゴリに条件付き書式で赤色を設定すれば、対策が必要な商品群が即座に特定できます。
パターン3:施策効果測定の固定期間比較
広告キャンペーンの実施前後やサイトリニューアル前後の効果を測定する場合は、「固定期間」比較が適しています。
例えばリニューアルが3月15日に完了した場合、表示期間を3月15日〜4月14日(リニューアル後30日間)、比較期間を2月13日〜3月14日(リニューアル前30日間)に固定します。これにより、リニューアルの効果を正確に計測できます。
- 前年比と前月比を同じスコアカードに両方表示できますか?
標準のスコアカードでは、1つの比較期間しか設定できません。前年比と前月比の両方を表示したい場合は、スコアカードを2つ横に並べ、一方に「前の期間」、もう一方に「前年」を設定してください。ラベルで「vs 前月」「vs 前年」と明記すると閲覧者に分かりやすくなります。
- 比較期間の数値だけを個別のスコアカードで表示できますか?
標準機能では「現在の値」と「比較差分」がセットで表示されるため、比較期間の数値単体を表示することはできません。比較期間の値そのものを表示したい場合は、計算フィールドでCASE関数を使って「前年のデータ」を抽出し、別のスコアカードに表示する方法を取ってください。
- レポートの自動配信メールにも比較期間は反映されますか?
はい、反映されます。Looker Studioの「配信のスケジュール」機能でメール配信を設定すると、配信時点の表示期間と比較期間がそのままPDFに反映されて送信されます。期間コントロールのデフォルト設定が「過去28日間」で比較が「前の期間」であれば、毎月自動で最新の前月比レポートが届きます。
Looker Studioの期間比較機能を使えば、前月比・前年比・任意の期間比較を5分で設定できます。
本記事の要点は3つです。まず、スコアカード・折れ線グラフ・テーブルのそれぞれで比較期間を設定する方法はプロパティパネルの「比較期間」から行うこと。次に、期間コントロールを配置すれば閲覧者が自由に比較期間を切り替えられること。そして、標準機能で対応できない高度な比較はCASE関数とピボットテーブルの組み合わせで実現できること。
期間比較は「データを見る」から「データで判断する」へステップアップするための最も基本的な分析手法です。まずはスコアカードへの前月比表示から始めて、徐々に折れ線グラフやテーブルにも比較を追加していってください。
弊社ではGA4の無料レポートテンプレートを配布しています。期間比較が設定済みのダッシュボードをすぐに使い始めたい方はこちらもご活用ください。
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