「ビジネスデータの分析や可視化が必要なのはわかるけど、どのツールを使えばいいのだろう?」「専門的なBIツールは高額すぎて手が出ない…」そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは多いのではないでしょうか。Googleが提供する無料のデータ可視化ツール「Looker Studio」を活用すれば、専門知識がなくても効果的なデータ分析とレポート作成が可能です。この記事では、Looker Studioの基本的な使い方から実践的な活用方法まで、具体例を交えながら詳しく解説します。ビジネスの意思決定を支援するデータ分析環境を、今すぐ構築していきましょう。
Looker Studioは無料で使える他に、スプレッドシートなどと連携が可能なため様々な部署部門で活用することができますので、具体的に活用方法もご紹介します!
Looker Studioの基本機能と特徴
Looker Studioは、Googleが提供する無料のデータ可視化・分析ツールです。複雑なデータを直感的に理解できるダッシュボードやレポートを作成できます。
主な特徴
- ドラッグ&ドロップで簡単操作
- リアルタイムデータ連携
- 複数データソースの統合
- インタラクティブな表示機能
- レポートの共有・共同編集
【対応データソース一覧】
データソース | 連携機能 | 更新頻度 |
---|---|---|
Google Analytics | ○ | リアルタイム |
Google広告 | ○ | 日次 |
スプレッドシート | ○ | リアルタイム |
BigQuery | ○ | リアルタイム |
CSV/Excel | ○ | 手動 |
Looker Studioの使い方の基本は下記でも詳しく紹介しておりますので、ご覧ください。
無料で使えるメリットと制限事項
Looker Studioの最大の特徴は、高度な分析機能を無料で利用できることです。無料で且つGoogleのサービスとの相性が良い点がよく使われる理由の一つです。
また操作もシンプルで初心者でも利用しやすく学習コストも少ないです。
メリット
- 初期費用・運用費用が不要
- Google製品との親和性
- 豊富なテンプレート
- コミュニティサポート
制限事項
- データ更新に遅延あり
- 一部高度な機能は制限
- カスタマイズに制限あり
- サポートは限定的
無料で使えるツールですが、Looker Studioにもデメリットがあります。デメリットとメリットを比べてメリットの方が大きいかどうかで導入をするか判断してください。メリットとデメリットは、別記事で詳しく説明しております。
従来のBIツールとの違い
Looker Studioは従来の高額なBIツールと比較して、導入のハードルが大幅に低いのが特徴です。BIツール(ビジネス・インテリジェンス)は高いものは導入だけで数十万かかるものもあります。またユーザー数毎の課金方式が多く利用者が増えれば増えるほど料金も高くなります。
【BIツール比較表】
機能項目 | Looker Studio | 従来のBIツール |
---|---|---|
初期費用 | 無料 | 数十万円~ |
運用費用 | 無料 | 月額数万円~ |
導入期間 | 即日可能 | 数週間~数ヶ月 |
専門知識 | 最小限 | 必要 |
カスタマイズ性 | 中 | 高 |
導入に必要な準備と知識
Looker Studioを効果的に活用するために、以下の準備が必要です。一番はKPIとしてどのような数値のデータを取得してどのような分析をしたかを明確にしておくことです。
必要な準備
- Googleアカウントの用意
- 分析したいデータの整理
- 目的・KPIの設定
- 基本的なデータ分析の知識
ビジネスデータの可視化を簡単に実現
データソース接続の方法と注意点
データ連携は、Looker Studioの基本となる重要な作業です。
ここでは接続方法を簡単にご紹介しますが、詳しくは下記に手順を記載しておりますので、ご不明な方は下記のページを参考にしてください。
接続手順
- 新規レポート作成
- データソース選択
- 接続テスト
- グラフがレポート画面に表示されるか確認
注意点
- データ形式の統一
- 更新頻度の確認
- アクセス権限の設定
- バックアップの準備
基本的なチャート作成手順
効果的なデータ可視化のために、適切なチャートタイプ(グラフの種類)を選択します。データにあったグラフを選択することで表示されます。誤ったもの(データ構造に合わないグラフ)を選択した場合はエラーになりグラフが表示されません。
主なチャートタイプ(グラフの種類)
- 折れ線グラフ:時系列データ
- 棒グラフ:比較データ
- 円グラフ:構成比
- テーブル:詳細データ
- スコアカード:KPI
作成手順
- チャートタイプ選択
- データ項目設定
- スタイル調整
- フィルター設定
- 動作確認
インタラクティブな機能(検索や絞り込み)の活用法
ユーザーとの対話的な操作を可能にする機能を活用します。レポートで重要になるのが検索機能です。検索機能がないレポートでも運用は可能ですが、検索機能がないと過去を振り返るのに毎回分析する必要がありますが、Looker Studioは絞り込みの機能が標準で備わっております。それを使うことでよりデータの活用の幅が広がります。
主な機能
- ドリルダウン分析:項目の中から選択して絞り込みを行う
- 機関設定:開始日・終了日の期間で絞り込みを行う
- 入力ボックス:入力したキーワードにマッチするものだけに絞り込みを行う
絞り込みを行う対象のデータは別途設定することができます。
レポートの共有・権限設定
レポートの共有機能は必須の機能になります。適切な共有設定により、チーム内でのデータ活用を促進します。
権限レベル
- 閲覧のみ
- 編集可能
- 管理者権限
- 公開設定
外部への共有や権限を付与して閲覧のみ付与することができるためクライアントだけでなく、代理店へ同じデータも共有することなども可能です。
業界別!Looker Studio活用事例と成功のポイント
業界毎にどのように活用できるか具体的な活用方法をお伝えします。自社のシステムとの情報や運用に合わせてカスタマイズすることも可能です。
小売業:売上・在庫分析の実践例
小売業では、売上データと在庫データを組み合わせた分析が効果的です。ベースになるデータは、売上・在庫の2つになります。売上と在庫がのデータがあれば下記のような数値をLooke Studioでグラフ化することできるかと思います。
活用ポイント
- 商品別売上推移
- 在庫回転率分析
- 季節性の把握
- ABC分析
- 店舗別比較
店舗毎にデータを分析することで、ある店舗にはこの時期だけ売れる商品がありこの仕入れを増やすことで売上の見込みが高くなる場合や、商品でほとんど稼働がないものの過剰在庫を少なくすることなどができると思います。
広告代理店:キャンペーン効果測定の実例
広告代理店では、複数の広告媒体のデータを統合し、包括的な効果測定を実現します。
例えば、クライアントの業種毎の広告の配信結果の情報をlooker studioで集約することで、それぞれの業界毎のデータを運用担当者以外も閲覧可能。
実践例
- Google広告とSNS広告の統合分析
- クロスチャネルの顧客行動把握
- ROAS(広告投資収益率)の可視化
- リアルタイムの予算消化状況
- 業種、業界ごとの配信結果の統合
製造業:生産管理の効率化事例
製造業では、生産データと品質管理データを組み合わせた分析が重要です。生産ラインをベースにどのくらい製造が可能で、不良品率や稼働率をlooker studioでレポート化することができる。
分析項目
- 生産ライン効率
- 不良品率推移
- 設備稼働状況
- 原材料使用量
- 生産計画対しての実績
サービス業:顧客分析の成功例
サービス業では、顧客データを活用したマーケティング施策の最適化が可能です。会員登録系のサービスやECサイトなどで運用することができます。顧客毎の購入数やLTVを出すことで、顧客に対してどのような商品が売れて解約率が低い商品の分析ができます。
分析観点
- 顧客セグメント分析
- LTV(顧客生涯価値)計算
- 解約率トレンド
- NPS(顧客推奨度)
データ分析の実践テクニック
効果的なKPI設定と測定方法
成果を正確に測定するため、適切なKPIを設定します。KPIはマーケティング活動の中でも重要な指標になります。レポートはそのKPIに対してギャップを確認するためのものになります。KPIを設定してそれに対してどのような課題と施策を実施するべきかを可視化します。
KPI設定のポイント
- 事業目標との整合性
- 測定可能性の確認
- アクションにつながる指標
- 定期的な見直し
【主要KPI例】
分野 | KPI例 | 測定頻度 |
---|---|---|
売上 | 売上高、粗利率 | 日次 |
マーケティング | CVR、CPA | 週次 |
顧客 | NPS、LTV | 月次 |
業務 | 生産性、稼働率 | 日次 |
計算フィールドの作成と活用
計算フィールドを使用することで、より深い分析が可能になるメリットと通常のデータでは出すことができないデータも独自に計算をして出すことができます。Looker studioで計算フィールドはよく使う機能になります。
主な用途
- 売上目標達成率計算
- 前年同期比較
- 移動平均の算出
- 複合指標の作成
- カテゴリ分類の自動化
計算フィールド作成例
// 前年比計算
(現在の売上 - 前年売上) / 前年売上 * 100
// 移動平均計算
ROLLING_AVERAGE(売上, 7)
// 目標達成率
現在の売上 / 目標売上 * 100
高度な計算式の使い方
複雑な分析を実現するための計算式の活用方法です。
【よく使う関数一覧】
関数カテゴリ | 主な用途 | 具体例 |
---|---|---|
集計関数 | 合計・平均計算 | SUM, AVG |
時系列関数 | 期間比較 | YEAR, MONTH |
条件分岐 | データ分類 | CASE, IF |
文字列操作 | テキスト加工 | CONCAT |
Looker studioで使うことができる関数のマニュアルはこちら
https://support.google.com/looker-studio/table/6379764?hl=ja
コピペで使える便利な関数をまとめて記事でもご紹介しておりますので参考にしてみてください。
レポート作成の実践ガイド
説得力のあるダッシュボード設計
効果的なダッシュボード設計のポイントを解説します。
設計原則
- 重要指標を上部に配置
- 関連情報のグルーピング
- 色使いの統一
- 適切なチャートタイプ選択
- 直感的な操作性確保
レイアウト例:
+-----------------+
| KPI スコアカード |
+-----------------+
| トレンドグラフ |
+-----------------+
| 詳細データ表 |
+-----------------+
レポートの作成方法や見やすいレポートの手順を下記でもまとめておりますので参考にしてみてください。
データの更新頻度と自動化
効率的なレポート運用のための自動化設定について説明します。
自動化のポイント
- スケジュール更新設定
- データ取得条件の定義
- エラー通知の設定
- バックアップ体制
- アクセス権限管理
【更新頻度の設定例】
データ種類 | 更新頻度 | 確認タイミング |
---|---|---|
売上データ | 日次 | 朝9時 |
KPI | 週次 | 月曜午前 |
月次レポート | 月次 | 月初3営業日 |
ブランドテーマの適用方法
企業のブランドイメージに合わせたデザインの統一化を実現します。
カスタマイズ要素
- カラーパレット設定
- フォントの統一
- ロゴの配置
- グラフスタイル
- 背景デザイン
【デザイン要素設定例】
要素 | 設定内容 | 使用場面 |
---|---|---|
メインカラー | #0066CC | ヘッダー、強調 |
サブカラー | #E6F3FF | 背景、補助 |
フォント | Noto Sans JP | 本文テキスト |
アクセント | #FF6600 | 警告、注意喚起 |
運用時の注意点とトラブル対策
データ更新の遅延対策
データ更新の遅延を防ぎ、常に最新情報を提供する方法を解説します。looker studooは稀にエラーが起こりデータが更新されないやエラーが表示されるなどがあります。
そのための対策の方法をご紹介します。
対策ポイント
- キャッシュ設定の最適化
- データ量の適正化
- データの再更新
パフォーマンス改善のコツ
レポートの表示速度と操作性を向上させるための施策です。データ量が多くなったり計算式が複雑になると定期的にメンテナンスが必要な場合があります。
メンテナンスやパフォーマンスを向上させるためのコツを紹介します。
改善方法
- 不要なデータの削除
- 計算式の最適化。シンプルな計算式に変更
- フィルターの最適化
- チャート数の適正化(減らすなどの対応)
【パフォーマンスチェックリスト】
- データソースの最適化
- 計算式の見直し
- 不要なフィルター削除
- チャート表示制限
組織への導入ステップ
導入計画の立て方
組織全体でLooker Studioを効果的に活用するための計画を立てます。
Looker studioを全社的に導入するのは、混乱を招くことがありますがので、一部の部署や部門のデータをLooker studioで分析するところから始めるのが良いです。
小さく初めて利便性を周りの人に感じてもらってから徐々に導入していくことがベストです。
導入ステップ
- 現状分析
- 目標設定
- 体制構築
- スケジュール作成
- 予算配分
【導入スケジュール例】
フェーズ | 期間 | 主な作業 |
---|---|---|
準備期 | 1ヶ月 | 要件定義 |
構築期 | 2ヶ月 | 環境構築 |
試行期 | 1ヶ月 | テスト運用 |
展開期 | 3ヶ月 | 本格運用 |
上記の流れは一つの部署でのスケジュールと思ってください。全社的に導入するとなると、Googleのアカウントの管理方法などを他にも検討するべき部分がありますので、ご注意ください。また有料契約の検討も場合によっては必要になります。
社内トレーニングの進め方
効果的な社内教育プログラムの実施方法を説明します。
トレーニング内容
- 基本操作の習得
- データ分析手法
- レポート作成実習
- 実践的な活用例
- トラブルシューティング
学習ステップ
- 入門編:基本機能
- 初級編:データ接続
- 中級編:分析手法
- 上級編:高度な活用
活用促進のためのポイント
組織での活用を促進するためのポイントを解説します。組織で活用するためにはより便利であることを感じてもらう必要があります。定期的な勉強会の実施をすることでより運用が定着しやすくなります。
また部署部門毎にカスタマイズ方法もトレーニングの中に含めるとよりよいと思います。
促進策
- 成功事例の共有
- 定期的な勉強会
- サポート体制の整備
- インセンティブの設定
- 効果測定の実施
実践的な活用のためのTips集
データ品質の向上テクニック
より正確で信頼性の高いデータ分析を実現するためのテクニックです。
品質向上のポイント
- データクレンジング
- 異常値の検出
- 欠損値の処理
- 形式の標準化
- 定期的な見直し
【データチェック項目】
確認項目 | チェックポイント | 頻度 |
---|---|---|
重複データ | 一意性確認 | 日次 |
異常値 | 範囲チェック | 週次 |
欠損値 | 完全性確認 | 日次 |
形式統一 | フォーマット | 月次 |
レポート共有の効率化
チーム間でのレポート共有をスムーズに行うための工夫を説明します。
Looker studioは標準の機能で共有機能があります。その共有機能を使うことで、毎回送付の手間などがなくなります。
効率化のポイント
- テンプレート活用
- 命名規則の統一
- フォルダ構造の整理
- 権限の一括設定
- 更新通知の活用
Looker Studioの使い方や運用方法についてご不明点やご相談がありましたら、お気軽にご連絡ください。
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