Looker StudioでGemini連携を活用したいと考えているものの、「Pro版が本当に必要なのか」「具体的な設定手順がわからない」と悩んでいませんか。
Gemini in Lookerは、自然言語でデータ分析やチャート生成ができる革新的な機能ですが、利用にはLooker Studio Proサブスクリプションが必須です。また、適切な権限設定やGoogle Cloudプロジェクトとの連携など、事前準備も必要になります。
本記事では、Looker Studio Gemini連携の基礎知識から有効化手順、実践的な活用方法、さらにBigQueryやVertex AIを活用した高度な連携方法まで、実務で即活用できる情報を網羅的に解説します。
この記事を読めば、Gemini連携の全体像を理解し、すぐに実装できる状態になります。データ分析業務の効率化を実現したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
Looker Studio Gemini連携(Gemini in Looker)は、GoogleのAI技術「Gemini」をLooker Studioに統合した機能です。従来は手動で行っていたデータ分析やビジュアライゼーション作成を、自然言語による指示だけで実行できるようになります。
この機能により、データアナリストだけでなく、SQLやデータ分析の専門知識を持たないビジネスユーザーでも、高度なデータ分析が可能になります。
Gemini in Lookerの概要と主な機能
Gemini in Lookerは、大きく分けて3つの主要機能を提供します。
自然言語によるデータ分析
「先月の売上トレンドを教えて」「地域別の顧客数を比較したい」といった日常会話のような質問を入力するだけで、Geminiが適切なデータクエリを生成し、分析結果を返してくれます。SQLを書く必要がなく、データ分析のハードルが大幅に下がります。
自動チャート生成機能
質問内容に応じて、最適なグラフやチャートを自動生成します。棒グラフ、折れ線グラフ、円グラフ、ヒートマップなど、データの特性に合わせた可視化を提案してくれるため、どのグラフを使うべきか迷う必要がありません。
生成されたチャートは、色やレイアウトなど細かいカスタマイズも可能です。
スライド作成支援
分析結果をプレゼンテーション資料にまとめる際、Geminiが自動的にスライドを生成します。重要なインサイトを抽出し、ストーリー性のある資料作成をサポートしてくれるため、レポーティング業務の時間を大幅に削減できます。
Pro版が必須である理由と料金体系
Gemini in Lookerを利用するには、Looker Studio Proサブスクリプションの契約が必須です。無料版のLooker Studioでは、この機能を利用できません。
Proサブスクリプションの契約要件
Looker Studio Proは組織単位での契約となり、個人アカウントでは利用できません。企業や組織のGoogle Workspaceアカウントに紐づける形で契約する必要があります。
料金体系は以下の通りです:
- ユーザーあたり月額料金制
- 最小契約ユーザー数の設定あり
- Google Cloudの課金アカウントとの連携が必要
組織アカウントとの関連付け
Gemini機能を有効化するには、Looker Studio ProアカウントがGoogle Cloudプロジェクトに適切に関連付けられている必要があります。組織の管理者権限を持つユーザーが、Google Cloud ConsoleでLooker Studioとの連携設定を完了させる必要があります。
また、Geminiの利用には「gemini_in_looker」というパーミッションが付与されている必要があり、これも組織管理者による設定が必要です。
従来のLooker Studioとの違い
Gemini連携によって、Looker Studioの使い方は大きく変化します。
AI支援による作業効率化のメリット
従来のLooker Studioでは、データソースの接続、ディメンションと指標の選択、グラフタイプの決定、フィルタの設定など、すべての操作を手動で行う必要がありました。
Gemini連携後は、これらの作業の多くを自然言語の指示だけで完結できます。例えば:
従来:「データソースを選択→期間フィルタを設定→売上指標を選択→地域ディメンションを追加→棒グラフを選択→色を調整」
Gemini連携後:「今年の地域別売上を棒グラフで表示して」
このように、複数ステップの操作が1つの指示で完了します。実務では、レポート作成時間が50%以上削減されるケースも報告されています。
データ分析の民主化
最も大きな変化は、データ分析スキルの有無による格差が縮小することです。
従来は、SQLやデータ構造の理解、統計知識などが必要でしたが、Geminiの自然言語インターフェースにより、営業担当者やマーケティング担当者など、技術的バックグラウンドを持たないビジネスユーザーでも、データドリブンな意思決定ができるようになります。
これにより、組織全体のデータ活用度が向上し、より迅速で正確な経営判断が可能になります。
Gemini連携を開始するには、いくつかの事前準備と設定手順を踏む必要があります。ここでは、実際の画面操作を含めて詳しく解説します。
事前準備:必要な権限とアカウント設定
Gemini連携を有効化する前に、以下の要件を満たしているか確認してください。
Google Cloudプロジェクトの準備
Looker Studio ProはGoogle Cloudプロジェクトに紐づける必要があります。まだプロジェクトを作成していない場合は、以下の手順で準備します:
- Google Cloud Consoleにアクセス
- 新しいプロジェクトを作成(または既存プロジェクトを選択)
- 課金アカウントの設定(Looker Studio Pro利用に必要)
- Looker Studio APIの有効化
プロジェクトIDは後の設定で必要になるため、メモしておきましょう。
Editor権限とgemini_in_lookerパーミッションの確認
Gemini機能を利用するには、以下の権限が必要です:
- Looker StudioのEditor権限:レポートの編集権限
- gemini_in_lookerパーミッション:Gemini機能へのアクセス権限
これらの権限は組織管理者が付与します。自分のアカウントに権限があるか不明な場合は、組織の管理者に確認してください。
権限の確認方法:
- Looker Studioにログイン
- 任意のレポートを開く
- 右側パネルに「Gemini」タブが表示されるか確認
タブが表示されない場合は、権限が不足している可能性があります。
ステップ1:Looker Studioでの設定手順
権限確認が完了したら、以下の手順でGemini機能を有効化します。
1. 右上の設定アイコン(歯車)をクリック
Looker Studioのホーム画面または任意のレポート画面で、画面右上にある歯車アイコンをクリックします。
2. 「ユーザー設定」を選択
ドロップダウンメニューから「ユーザー設定」を選択します。設定画面が開きます。
3. 「Gemini設定」タブを開く
設定画面内に複数のタブが表示されます。その中から「Gemini設定」タブをクリックします。
4. 「Gemini in Looker」ページで「有効」に切り替え
「Gemini in Lookerを有効にする」というトグルスイッチが表示されます。このスイッチをオンに切り替えます。
確認ダイアログが表示される場合は、内容を確認して「有効にする」をクリックします。
設定が完了すると、レポート編集画面の右側パネルに「Gemini」タブが表示されるようになります。
ステップ2:Trusted Tester機能の有効化
Geminiには正式リリース前のプレビュー機能(Trusted Tester機能)があり、最新の実験的機能を先行利用できます。
プレビューフィーチャーの設定方法
- 「Gemini設定」タブ内で「プレビュー機能を有効にする」を探す
- トグルスイッチをオンにする
- 利用規約に同意する(表示される場合)
利用可能な先行機能
Trusted Testerとして利用できる主な機能:
- 高度な自然言語理解(複雑なクエリへの対応)
- 新しいチャートタイプの自動提案
- マルチモーダル分析(画像データとの組み合わせ)
- 予測分析機能の拡張
これらの機能は正式リリース前のため、動作が不安定な場合もあります。本番環境での利用前に、十分なテストを行うことをおすすめします。
トラブルシューティング:有効化できない場合の対処法
Gemini機能の有効化時によくあるエラーと解決方法を紹介します。
権限エラーの解決方法
エラーメッセージ例:「この機能を有効にする権限がありません」
- Looker Studio Proの契約が完了していない
- gemini_in_lookerパーミッションが付与されていない
- Editor権限がない
- 組織のLooker Studio Pro契約状況を確認
- Google Cloud Consoleで適切なロールが付与されているか確認
- 組織管理者に権限付与を依頼
組織管理者への依頼事項
権限エラーが発生した場合、組織管理者に以下の内容を依頼してください:
依頼テンプレート:
件名:Looker Studio Gemini機能の利用権限付与のお願い
お世話になっております。
Looker StudioのGemini機能を利用したく、
以下の権限付与をお願いできますでしょうか。
必要な権限:
- Looker Studio Editor権限
- gemini_in_lookerパーミッション
対象アカウント:[あなたのメールアドレス]
利用目的:[データ分析業務の効率化など]
ご対応のほど、よろしくお願いいたします。
管理者側の設定手順も共有すると、スムーズに進みます:
- Google Cloud Consoleにアクセス
- IAMと管理→IAMを選択
- 該当ユーザーを検索
- 「編集」をクリック
- 「Looker Studio Editor」ロールを追加
- 「gemini_in_looker」パーミッションを付与
- 保存
Gemini機能を有効化したら、実際にデータ分析を始めましょう。ここでは、具体的な操作方法と実践的な活用例を紹介します。
レポート編集モードでのGeminiパネル操作
Gemini機能は、レポート編集モードから利用します。
右側パネルの「Gemini」タブの選択方法
- Looker Studioで任意のレポートを開く(または新規レポートを作成)
- 編集モードに切り替える(右上の「編集」ボタン)
- 画面右側のパネルで「Gemini」タブをクリック
Geminiパネルには、以下の要素が表示されます:
- テキスト入力欄(質問や指示を入力)
- 会話履歴
- 提案されたアクション
- 生成されたチャートのプレビュー
会話分析機能の起動
Geminiパネルが開いたら、テキスト入力欄に自然言語で質問を入力します。
基本的な質問例:
- 「今月の売上合計を教えて」
- 「地域別の顧客数を棒グラフで表示」
- 「前年同月比の成長率を計算して」
Enterキーを押すと、Geminiが質問を解析し、適切なデータクエリを実行して結果を返します。
会話は継続するため、追加の質問や条件の絞り込みも簡単に行えます:
- 「その中で売上トップ3の地域は?」
- 「先月と比較して増減を表示して」
データソース接続とクエリ実行
Geminiを使う前に、分析対象のデータソースを接続する必要があります。
BigQueryとの連携設定
BigQueryは、Gemini連携で最も強力なデータソースです。
接続手順:
- レポート編集画面で「データを追加」をクリック
- 「BigQuery」コネクタを選択
- Google Cloudプロジェクトを選択
- データセットとテーブルを選択
- 「追加」をクリック
BigQuery接続のメリット:
- 大規模データの高速処理
- SQLクエリの自動生成
- リアルタイムデータの分析
Google Sheetsからのデータ読み込み
小規模データや簡易的な分析には、Google Sheetsが便利です。
接続手順:
- 「データを追加」→「Google スプレッドシート」を選択
- 対象のスプレッドシートを選択
- ワークシートとデータ範囲を指定
- 「追加」をクリック
Google Sheetsのデータも、Geminiの自然言語クエリで分析できます。
その他対応データソース
Gemini連携で利用できる主なデータソース:
- Google Analytics 4
- Google 広告
- MySQL
- PostgreSQL
- Salesforce
- CSV/Excelアップロード
各データソースの接続方法は、Looker Studioの標準的な接続手順と同じです。
自然言語でのチャート生成方法
Geminiの最大の魅力は、自然言語でチャートを生成できることです。
効果的な質問の仕方(プロンプト例)
- 具体的な指標を明記する
- 期間や条件を含める
- 可視化の方法を指定する(オプション)
実践的なプロンプト例:
基本的な集計
「2024年1月から12月までの月別売上を折れ線グラフで表示して」
比較分析
「地域別の顧客獲得数を、新規とリピートで色分けした積み上げ棒グラフで表示」
複雑な条件指定
「先月の商品カテゴリ別売上を円グラフで表示。ただし売上10万円未満のカテゴリは『その他』にまとめて」
トレンド分析
「過去3ヶ月間の日別アクセス数の推移を表示。移動平均も追加して」
生成されたチャートのカスタマイズ
Geminiが生成したチャートは、さらに細かくカスタマイズできます。
手動でのカスタマイズ:
- 生成されたチャートをクリック
- 右側パネルの「スタイル」タブを選択
- 色、フォント、軸ラベルなどを調整
Geminiでのカスタマイズ:
「このグラフの色を青系統に変更して」
「タイトルを『売上トレンド分析』に変更」
「Y軸のラベルを『売上(万円)』に修正」
Geminiに追加の指示を出すことで、デザインの微調整も自然言語で行えます。
スライド自動生成機能の活用事例
Geminiは、分析結果をプレゼンテーション資料にまとめる機能も提供します。
プレゼンテーション資料の効率的な作成
レポーティング作業を大幅に効率化できます。
使用例:
「今月の営業レポートをスライド形式で作成して。
以下の内容を含めてください:
- 売上サマリー
- 地域別実績
- 前月比較
- トップセールス担当者」
Geminiは以下を自動実行します:
- 必要なデータを抽出
- 適切なチャートを生成
- インサイトを文章化
- スライドレイアウトを作成
生成されたスライドは、さらに編集や追加も可能です。
レポート共有のベストプラクティス
自動生成されたレポートを効果的に共有する方法:
定期レポートのテンプレート化
- 初回にGeminiでレポートを作成
- レイアウトと構成を保存
- 次回以降はデータ更新のみで再利用
関係者への配信設定
- Looker Studioの「スケジュール配信」機能を設定
- 週次・月次で自動配信
- Geminiが最新データで自動更新
アクセス権限の管理
- 閲覧者:レポートの閲覧のみ
- 編集者:Geminiでの追加分析も可能
- 組織外共有:リンク共有で外部にも配信可能
より高度な分析やカスタマイズが必要な場合、BigQueryとVertex AIを組み合わせたGemini連携が有効です。
BigQueryを利用した高度な分析環境の構築
BigQueryを活用することで、Looker Studioでは実現できない複雑な分析が可能になります。
Vertex AIモデルの作成手順
BigQueryからVertex AIのGeminiモデルを呼び出す設定:
- Google Cloud Consoleでの準備
-- Vertex AI接続の作成
CREATE OR REPLACE EXTERNAL MODEL `プロジェクトID.データセット名.gemini_model`
OPTIONS (
ENDPOINT = 'gemini-pro',
REGION = 'asia-northeast1'
);
- モデルの呼び出し
SELECT
ml_generate_text_result
FROM
ML.GENERATE_TEXT(
MODEL `プロジェクトID.データセット名.gemini_model`,
(
SELECT
CONCAT('次のデータから売上予測を行ってください: ',
TO_JSON_STRING(STRUCT(売上, 月))) AS prompt
FROM `売上テーブル`
)
);
asia-northeast1リージョンなど地域設定の注意点
Vertex AIとBigQueryの連携では、リージョン設定が重要です。
推奨リージョン(日本の場合):
asia-northeast1(東京)asia-northeast2(大阪)
注意点:
- BigQueryデータセットとVertex AIモデルは同一リージョンに配置
- リージョン間のデータ転送は追加コストが発生
- Geminiモデルの利用可能リージョンを事前確認
リージョン確認コマンド:
gcloud ai models list --region=asia-northeast1
カスタムコネクタの開発と統合
標準コネクタで対応できないデータソースは、カスタムコネクタで接続できます。
Community Connectorの活用
Looker Studio Community Connectorを使って、独自データソースとGeminiを連携させる方法:
- Apps Scriptでコネクタを作成
function getConfig() {
return {
configParams: [
{
type: 'TEXTINPUT',
name: 'apiKey',
displayName: 'APIキー',
helpText: 'データソースのAPIキー'
}
]
};
}
function getSchema(request) {
return {
schema: [
{name: 'date', label: '日付', dataType: 'STRING'},
{name: 'value', label: '値', dataType: 'NUMBER'}
]
};
}
function getData(request) {
// 外部APIからデータ取得
var response = UrlFetchApp.fetch(url);
var data = JSON.parse(response);
// Looker Studio形式に変換
return {
schema: getSchema().schema,
rows: data.map(row => ({values: [row.date, row.value]}))
};
}
- Looker Studioでの利用
- コネクタをデプロイ
- Looker Studioで「パートナーコネクタ」から選択
- 認証情報を入力
- Geminiで自然言語クエリを実行
API連携による拡張性
カスタムコネクタで実現できる高度な連携:
リアルタイムデータ連携
- IoTセンサーデータ
- ソーシャルメディアAPI
- 社内システムのリアルタイムデータ
データ変換処理
- APIレスポンスの前処理
- データ集計やフィルタリング
- 複数APIの統合
これらのデータも、Geminiの自然言語インターフェースで分析できます。
セキュリティとコンプライアンス対策
企業でGemini連携を利用する際は、セキュリティ対策が不可欠です。
データガバナンスの考慮事項
Geminiにデータを送信する際の注意点:
- 機密データの取り扱い
- 個人情報が含まれるデータは匿名化
- クレジットカード番号などの除外
- データマスキングの実施
- データ保持ポリシー
- Geminiの会話履歴の保存期間確認
- 必要に応じて定期的な削除
- ログの監査
- コンプライアンス対応
- GDPR対応(EU顧客データの場合)
- 個人情報保護法の遵守
- 業界固有の規制確認(金融、医療など)
アクセス権限の適切な管理
組織でのGemini利用時の権限設計:
推奨権限モデル:
| 役割 | 権限レベル | できること |
|---|---|---|
| データアナリスト | Editor + Gemini | 全機能の利用 |
| ビジネスユーザー | Viewer + Gemini | 質問と閲覧のみ |
| 経営層 | Viewer | レポート閲覧のみ |
| 外部パートナー | 制限付きViewer | 特定レポートのみ |
権限設定の実装:
- Google Cloud IAMでロールベースアクセス制御
- Looker Studioのレポート共有設定
- データソースレベルでの行レベルセキュリティ
- 定期的な権限監査
データ暗号化:
- 転送中のデータ:TLS 1.3で自動暗号化
- 保存時のデータ:Google標準の暗号化
- BigQueryデータ:カスタマー管理の暗号化キー(CMEK)対応
実際の運用で遭遇する課題と解決策をまとめました。
利用時の制限事項と制約
Gemini連携には、いくつかの制限があります。
Proプラン未契約時の動作
無料版Looker Studioでの制約:
- Geminiタブ自体が表示されない
- 自然言語クエリは一切利用不可
- AI支援機能へのアクセス不可
無料版では、従来通りの手動操作のみとなります。Gemini機能を試したい場合は、Proプランのトライアルを検討しましょう。
無料版では使えない機能一覧
Proプランでのみ利用可能な機能:
- Geminiによる自然言語分析
- 自動チャート生成
- スライド自動作成
- 会話型データ探索
- AI提案機能
- 高度な予測分析
また、以下の制限もあります:
- 同時実行クエリ数の制限
- 1回の質問で処理できるデータ量
- API呼び出し回数の上限
パフォーマンス最適化のポイント
大量データを扱う際のパフォーマンス改善策を紹介します。
クエリ実行速度の改善方法
遅いクエリを高速化するテクニック:
- データの事前集計
-- BigQueryで事前集計ビューを作成
CREATE VIEW `プロジェクトID.データセット.売上サマリー` AS
SELECT
DATE_TRUNC(日付, MONTH) as 月,
地域,
SUM(売上) as 売上合計
FROM `元テーブル`
GROUP BY 月, 地域;
Looker Studioではサマリービューをデータソースとして接続し、Geminiで質問することで、クエリ速度が大幅に向上します。
- パーティショニングとクラスタリング
-- 日付パーティション+地域クラスタリング
CREATE TABLE `プロジェクトID.データセット.売上`
PARTITION BY DATE(日付)
CLUSTER BY 地域
AS SELECT * FROM 元テーブル;
- キャッシュの活用
- Looker Studioのデータキャッシュ機能を有効化
- 更新頻度の低いデータは長めのキャッシュ時間を設定
- リアルタイム性が必要なデータのみキャッシュを無効化
データソースの効率的な設定
最適なデータソース構成:
抽出接続 vs ライブ接続
| 方式 | メリット | デメリット | 推奨用途 |
|---|---|---|---|
| 抽出 | 高速、安定 | リアルタイム性× | 日次レポート |
| ライブ | 最新データ | 遅い可能性 | ダッシュボード |
Geminiでの分析では、抽出接続の方がレスポンスが速く、ユーザー体験が向上します。
フィールド数の最適化
- 不要なフィールドは除外
- 計算フィールドはデータソース側で作成
- 複雑な結合は事前にビューで処理
よくあるエラーと解決策
実務で頻出するエラーとその対処法です。
「権限がありません」エラーの対処
エラー詳細:
このアクションを実行する権限がありません。
管理者に連絡してください。
原因と解決策:
- Proプランの契約切れ
- 組織の課金状況を確認
- 支払い方法が有効か確認
- IAM権限の不足
# 現在の権限確認
gcloud projects get-iam-policy プロジェクトID \
--flatten="bindings[].members" \
--filter="bindings.members:user:メールアドレス"
必要な権限:
roles/lookerstudio.editorroles/aiplatform.user(Vertex AI利用時)
- データソースへのアクセス権限
- BigQueryテーブルの閲覧権限
- Google Sheetsの共有設定
Gemini応答がない場合のチェックリスト
Geminiが反応しない時の確認手順:
□ 基本確認
- Proプランは有効か
- Gemini設定は「有効」になっているか
- インターネット接続は正常か
□ データソース確認
- データソースは正しく接続されているか
- データが存在するか(空のテーブルではないか)
- データソースのエラー表示はないか
□ 質問内容の確認
- 質問が具体的か(曖昧すぎないか)
- データソースに存在するフィールド名を使っているか
- 複雑すぎる質問になっていないか
□ ブラウザ・キャッシュ
- ブラウザのキャッシュをクリア
- シークレットモードで試す
- 別のブラウザで試す
□ システム状態
- Google Cloudのステータスページで障害情報を確認
- Looker Studioのサービス状態を確認
それでも解決しない場合は、Googleサポートへの問い合わせを検討してください。
今後の機能拡張予定と展望
Gemini in Lookerは、今後さらに進化していきます。
Google AIの進化とLooker Studioの統合深化
予想される機能強化:
- マルチモーダル分析の強化
- 画像データとテキストデータの統合分析
- 音声入力によるクエリ実行
- 動画データの自動分析
- 予測分析の高度化
- 機械学習モデルの自動構築
- 異常検知の自動化
- What-if分析の簡素化
- 協働機能の拡張
- チーム内での会話共有
- レポートへのAIコメント機能
- 自動インサイト提案
次期アップデート情報
Googleが発表している今後の方向性:
- Gemini 2.0の統合:より高度な推論能力
- カスタムAIエージェント:業務特化型のAI設定
- API拡張:外部システムとの連携強化
- リアルタイムストリーミング:ライブデータの即座分析
Looker Studio Gemini連携は、データ分析の未来を変える可能性を秘めています。Pro版の導入を検討し、組織のデータドリブン文化を加速させましょう。
- Looker Studio Proの料金はいくらですか?
- Looker Studio Proの料金は、ユーザー数やGoogle Cloudの利用状況によって変動します。詳細な料金は、Google Cloudの営業担当またはパートナー企業にお問い合わせください。組織向けの見積もりを取得することをおすすめします。
- 無料版からProへのアップグレードは簡単ですか?
-
既存の無料版レポートは、Proへアップグレード後もそのまま利用できます。アップグレードプロセスは、Google Cloudの管理コンソールから行い、組織管理者の承認が必要です。データやレポート設定は引き継がれます。
- Geminiの質問は日本語でも可能ですか?
-
はい、Geminiは日本語での質問に対応しています。ただし、データソースのフィールド名が英語の場合、質問内でフィールド名を英語で指定する必要がある場合があります。最良の結果を得るには、日本語と英語を適切に組み合わせることが推奨されます。
- Geminiが生成したクエリの内容は確認できますか?
-
はい、Geminiが実行したクエリは確認できます。生成されたチャートを選択し、「データソースの編集」から、実際に使用されたフィールドやフィルタを確認できます。BigQueryを使用している場合は、Cloud Consoleのクエリ履歴でSQL文も確認可能です。
- セキュリティやプライバシーは大丈夫ですか?
-
Geminiに送信されるデータは、Googleのセキュリティ基準に従って暗号化されます。ただし、機密性の高いデータ(個人情報、金融情報など)を扱う場合は、データマスキングや匿名化を事前に実施することを強く推奨します。組織のデータガバナンスポリシーに従って運用してください。
- Gemini連携はどのブラウザで利用できますか?
-
Google Chrome、Microsoft Edge、Firefox、Safariの最新版で利用可能です。最適なパフォーマンスを得るには、Google Chromeの最新版を推奨します。
Looker Studio Gemini連携は、データ分析の敷居を大幅に下げ、組織全体のデータ活用を促進する画期的な機能です。
本記事で解説した内容:
- Gemini連携の基礎知識とPro版の必要性
- 具体的な有効化手順と権限設定
- 自然言語によるデータ分析の実践方法
- BigQuery×Vertex AIを活用した高度な連携
- セキュリティとパフォーマンス最適化
- よくあるエラーと解決策
これらの知識を活用することで、データ分析業務の効率化と、より深いインサイトの発見が可能になります。
まずは小規模なプロジェクトでGemini機能を試し、組織のニーズに合った活用方法を見つけることから始めてみてください。データドリブンな意思決定の実現に向けて、Looker Studio Gemini連携を最大限活用しましょう。

