「GA4とLooker Studioの数値が全然合わないんだけど、どっちが正しいの?」そんな悩みを抱えていませんか?
データ分析の現場では、同じ期間・同じ指標を見ているはずなのに、GA4管理画面とLooker Studioで表示される数値が異なるという問題がよく発生します。この数値の乖離は、データの信頼性を損ない、経営判断や施策の評価を難しくしてしまいます。
**結論から言うと、Looker StudioとGA4の数値差異は「仕様上の違い」によるもので、完全に一致させることは困難です。**しかし、原因を正しく理解し適切な対策を行うことで、差異を最小化し、信頼性の高いレポーティングが可能になります。
この記事では、5つの主要原因と8つの具体的な対策、さらに実際の解決事例まで詳しく解説します。読み終えるころには、数値差異に振り回されることなく、自信を持ってデータ分析を進められるようになるでしょう。
Looker StudioとGA4の数値が一致しない主な理由は、両者のデータ取得・処理方法が根本的に異なることにあります。以下、5つの主要原因を詳しく解説します。
【原因1】データソースと取得方法の違い
結論:GA4は直接計測、Looker StudioはAPI経由でデータを取得するため、処理内容が異なります。
GA4管理画面は、ウェブサイトやアプリに設置されたJavaScriptタグから直接データを収集し、Googleのサーバーでリアルタイムに処理されます。一方、Looker StudioはGA4 Data APIを介してデータを二次的に取得しており、この段階で既に一部のデータが加工されています。
具体的な差異の例として、以下のようなケースがあります:
- イベントの重複排除処理:GA4側で重複と判定されたイベントが、API経由では異なる扱いになる
- データの集約レベル:API取得時に既に日次・時間単位で集約されている場合がある
- 計測タイミング:GA4は計測直後、Looker StudioはAPI更新後のデータを表示
この構造的な違いにより、たとえ同じ指標を見ていても、元データの取得・加工方法が異なるため数値に差が生じます。特にリアルタイム性が求められる分析では、この差異が顕著に現れます。
【原因2】データ更新タイミングのズレ
結論:GA4はほぼリアルタイム、Looker Studioは定期的なバッチ更新のため、表示タイミングに差が生じます。
GA4管理画面では、データが計測されてから数分~数時間で反映されるため、ほぼリアルタイムでの分析が可能です。対してLooker Studioは、GA4 APIからデータを定期的(通常は数時間おき)にバッチ処理で取得するため、最新データの反映に遅延が発生します。
更新頻度の違いによる影響:
| プラットフォーム | データ反映速度 | 更新方法 |
|---|---|---|
| GA4管理画面 | 数分~数時間 | リアルタイム処理 |
| Looker Studio | 数時間~24時間 | バッチ更新 |
特に、当日や直近数日間のデータを見る場合、この更新タイミングの差が大きな数値差異として現れます。また、Looker Studioのデータソース設定で「データの鮮度」をキャッシュ設定にしている場合、さらに反映が遅れることがあります。
確認すべきタイミング:レポートを確認する際は、少なくともデータ対象期間の翌日以降、できれば2-3日後に確認することで、より正確な数値を得られます。
【原因3】フィルタ・セグメント設定の不一致
結論:GA4とLooker Studioでフィルタ条件が異なると、集計対象データが変わり数値が一致しなくなります。
両プラットフォームでフィルタやセグメント設定が異なる場合、同じ指標でも集計母数が変わるため、大きな数値差異が発生します。特に見落としがちなのが、デフォルトで適用されているフィルタの存在です。
除外条件の設定差:
- GA4側:内部トラフィックの除外、開発者トラフィックの除外、既知のボットの除外
- Looker Studio側:データソース接続時に設定したフィルタ、レポート作成時に追加したフィルタ
ディメンションと指標の組み合わせ:
GA4では特定のディメンションと指標の組み合わせに制限があります。例えば、「ユーザー」スコープの指標と「イベント」スコープのディメンションを組み合わせると、正しく集計されない場合があります。Looker Studioでは、このような制限が表面化せず、結果として誤った数値が表示されることがあります。
見落としがちな設定項目:
- データフィルタの有効/無効状態
- 日付範囲の比較設定(前年比など)
- カスタムディメンションの定義
- ユーザープロパティの適用範囲
数値を比較する前に、必ず両方のフィルタ設定を一つずつ確認し、完全一致させることが重要です。
【原因4】サンプリングと集計方法の違い
結論:GA4の各レポートタイプとAPIでは、サンプリングや集計順序が異なり、これが数値差異の原因となります。
GA4には「標準レポート」「探索レポート」「API経由のデータ」という3つの主要なデータ取得方法があり、それぞれで処理方法が異なります。Looker StudioはこのうちAPI経由でデータを取得するため、他のレポートタイプとは異なる数値が表示されることがあります。
サンプリングが発生する条件:
- データ量が一定の閾値(通常は数百万イベント)を超えた場合
- 複雑なディメンションと指標の組み合わせを使用した場合
- 探索レポートで高度なセグメント分析を行った場合
サンプリングが発生すると、全データではなく一部のデータから推定値が算出されるため、実際の数値との差異が生じます。GA4の探索レポートではサンプリング率が表示されますが、Looker Studioでは明示されない場合が多く、知らないうちにサンプリングされたデータを見ている可能性があります。
集計順序による影響:
データの処理順序(フィルタ適用→集計→計算)が異なると、最終的な数値が変わります。例えば、「セッション数÷ユーザー数」という計算を行う場合、フィルタをかけるタイミングによって分母・分子が変わり、結果が異なることがあります。
【原因5】計算フィールドによる誤差の拡大
結論:Looker Studioの計算フィールドでは、既に計算済みのデータをさらに計算することで誤差が拡大します。
Looker Studioの計算フィールドは非常に便利な機能ですが、使い方を誤ると数値差異を大きくする原因となります。特に問題なのが、API経由で取得した時点で既に計算・集約されているデータに対して、さらに計算を行うケースです。
二重計算が発生するメカニズム:
例えば、「直帰率」という指標を考えてみましょう。GA4では「直帰セッション数÷総セッション数×100」と計算されますが、APIで取得される「直帰率」は既にこの計算が完了した数値です。この数値に対して、Looker Studioでさらに「平均値」や「合計値」などの集計を行うと、意図しない計算結果となります。
避けるべき計算フィールドの使い方:
- 既に割合(%)で表示されている指標をさらに計算する
- 異なる粒度(日次データと月次データなど)を混在させる
- 複数の計算フィールドを入れ子にする
推奨される代替手段:
- GA4側で計算済みの標準指標を優先的に使用する
- 計算フィールドは最小限にとどめ、単純な四則演算のみに使う
- 可能な限りGA4のカスタムディメンション・カスタム指標を活用する
計算フィールドを使用する場合は、元データがどのように処理されているかを理解し、ドキュメント化しておくことが重要です。
実務でよく遭遇する数値差異のパターンを、指標別に具体的な原因と対処法を解説します。
セッション数が合わない場合
結論:セッション数の差異は、セッションのタイムアウト設定やクロスドメイントラッキングの違いが主な原因です。
セッション数は最も基本的な指標の一つですが、GA4とLooker Studioで最も差異が生じやすい指標でもあります。セッション数が合わない場合、通常5~15%程度の差異が発生します。
チェックすべきポイント:
- セッションのタイムアウト設定
- GA4:デフォルトは30分、最大4時間まで設定可能
- 設定場所:GA4管理画面 > データストリーム > 設定
- この設定が変更されたタイミングで数値が変わる
- エンゲージメント時間の基準
- GA4では10秒未満のセッションがエンゲージメントとしてカウントされない場合がある
- API経由では異なる基準で集計される可能性
- 参照元除外設定
- 決済ページや外部サービスからの遷移がセッション切断として扱われる
- GA4とLooker Studioで参照元除外リストが一致しているか確認
典型的な原因:
- データ取得期間に設定変更があった
- クロスドメイン設定が不完全
- UTMパラメータの付与が不適切
修正方法:
セッション数の差異を最小化するには、まずGA4のデータストリーム設定を確認し、過去30日間に設定変更がなかったかチェックします。また、Looker Studioのデータソースを再接続することで、最新の設定が反映される場合があります。
ユーザー数が合わない場合
結論:ユーザー数の差異は、ユーザー識別方法とデータ保持期間の設定によって生じます。
ユーザー数は、GA4とLooker Studioで10~25%程度の差異が発生することがあります。特に長期間のデータを分析する場合、この差異が顕著になります。
ユーザー識別の違い:
GA4では以下の優先順位でユーザーを識別します:
- User-ID(ログインユーザーのID)
- Google シグナル(Googleアカウントでログインしているユーザー)
- Device-ID(クッキーベースの識別)
API経由でデータを取得する際、この識別方法が異なる場合があり、同一ユーザーが複数カウントされることがあります。
クロスデバイスの影響:
- 同じユーザーがPCとスマートフォンでアクセスした場合
- Googleシグナルが有効な場合は1ユーザー、無効な場合は2ユーザーとカウント
- データ取得タイミングによって識別結果が異なる可能性
対処法:
| 確認項目 | GA4での設定場所 | 推奨設定 |
|---|---|---|
| Googleシグナル | 管理 > データ設定 > データ収集 | オンを推奨 |
| データ保持期間 | 管理 > データ設定 > データ保持 | 14ヶ月(最大) |
| User-ID収集 | データストリーム > イベント | 実装を推奨 |
ユーザー数の正確性を高めるには、User-IDの実装が最も効果的です。ログイン機能があるサイトでは、必ずUser-IDを設定しましょう。
イベント数が合わない場合
結論:イベント数の差異は、イベントパラメータの扱いとカスタムイベントの設定不一致が主な原因です。
イベント数は比較的一致しやすい指標ですが、カスタムイベントを多用している場合や複雑なイベントトラッキングを行っている場合、5~20%の差異が発生することがあります。
イベントパラメータの扱い:
GA4では、各イベントに最大25個のパラメータを付与できます。しかし、API経由でデータを取得する際、一部のパラメータが省略される場合があります。
- 自動収集イベント:page_view、scroll、clickなどは比較的一致しやすい
- 推奨イベント:login、purchase、sign_upなどは設定によって差異が発生
- カスタムイベント:独自に設定したイベントは最も差異が生じやすい
カスタムイベントでの注意点:
- イベント名の大文字・小文字の違い
- パラメータの欠落や型の不一致
- デバッグモードで送信されたイベントの扱い
確認手順:
- GA4の「デバッグモード」でイベントが正しく送信されているか確認
- Looker Studioのデータソースで対象イベントが認識されているか確認
- 両方のプラットフォームで同じイベント名とパラメータが使われているか照合
カスタムイベントの数値を正確に把握するには、イベント設計時にパラメータの命名規則を統一し、ドキュメント化しておくことが重要です。
コンバージョン数が合わない場合
結論:コンバージョン数の差異は、アトリビューション設定とコンバージョンウィンドウの違いによって生じます。
コンバージョン数は経営判断に直結する重要指標ですが、GA4とLooker Studioで最も大きな差異(20~40%)が発生する可能性がある指標でもあります。
アトリビューション設定の確認:
GA4では、コンバージョンに貢献したチャネルをどのように評価するかを「アトリビューションモデル」で設定します。
- データドリブン(デフォルト):機械学習で各チャネルの貢献度を算出
- ラストクリック:最後に訪問したチャネルに100%貢献
- ファーストクリック:最初に訪問したチャネルに100%貢献
Looker StudioでAPIデータを取得する際、このアトリビューションモデルの設定が正しく反映されない場合があります。
コンバージョンウィンドウの違い:
- 閲覧ベースのコンバージョンウィンドウ:広告を見ただけでクリックしなかった場合の評価期間(デフォルト30日)
- クリックベースのコンバージョンウィンドウ:広告をクリックした場合の評価期間(デフォルト90日)
これらの設定が異なると、同じコンバージョンでも計上されるタイミングや帰属するチャネルが変わります。
正確に計測するための設定:
- GA4とLooker Studioで同じアトリビューションモデルを使用
- コンバージョンイベントの定義を明確化(購入完了、フォーム送信など)
- テストコンバージョンを定期的に実行して正確性を検証
- コンバージョン計測の遅延(数日後に計上されるケース)を考慮
コンバージョン数の正確性を担保するには、計測設計の段階から両プラットフォームでの表示を意識し、定期的な検証を行うことが不可欠です。
ここからは、Looker StudioとGA4の数値差異を最小化するための具体的な対策を解説します。これらを実践することで、より信頼性の高いレポーティングが可能になります。
対策1: データ取得期間とタイムゾーンを統一する
結論:データ取得期間とタイムゾーン設定を完全一致させることで、基本的な差異を防げます。
最も基本的ですが見落とされがちなのが、タイムゾーン設定の不一致です。GA4が「アメリカ太平洋時間」、Looker Studioが「日本時間」になっていると、最大17時間のズレが生じます。
設定箇所の具体的な手順:
GA4側の設定:
- 管理画面 > プロパティ設定 > プロパティの詳細
- 「レポートのタイムゾーン」を確認
- 「Asia/Tokyo」に設定(日本の場合)
Looker Studio側の設定:
- データソースの編集画面を開く
- 「デフォルトの日付範囲」を設定
- 「タイムゾーン」を「Asia/Tokyo」に設定
- レポート全体の設定で「期間の設定」を「自動」ではなく「カスタム」に
タイムゾーン設定のベストプラクティス:
- 組織内で使用するタイムゾーンを統一する
- グローバル展開している場合は、地域ごとに別レポートを作成
- タイムゾーン変更後は、過去データも影響を受けるため変更は慎重に
- 設定変更した日付をドキュメントに記録
また、「今日」「昨日」といった相対的な日付指定ではなく、「2024年11月1日~11月30日」のように絶対的な日付で指定することで、閲覧タイミングによる差異を防げます。
対策2: フィルタ条件を完全一致させる
結論:GA4とLooker Studioの両方で、すべてのフィルタ条件を一つずつ確認し、完全一致させることが重要です。
フィルタ条件の不一致は、数値差異の最も一般的な原因の一つです。以下のチェックリストを使用して、定期的に確認しましょう。
チェックリスト:
□ 内部トラフィックの除外設定が同じか □ 開発環境のトラフィック除外が同じか □ ボットフィルタリングの設定が同じか □ 地域フィルタ(国、都市など)が同じか □ デバイスカテゴリのフィルタが同じか □ カスタムディメンションのフィルタが同じか □ イベント名のフィルタが同じか □ ユーザープロパティのフィルタが同じか
設定の比較方法:
- GA4側の確認:
- 管理 > データ設定 > データフィルタ
- レポート画面で適用されているフィルタを確認
- 探索レポートの場合はセグメント設定も確認
- Looker Studio側の確認:
- データソース編集画面 > フィルタタブ
- レポート編集画面 > 各グラフのフィルタ設定
- ページレベルのフィルタ設定
- 比較シートの作成:
| フィルタ項目 | GA4設定 | Looker Studio設定 | 一致 |
|---|---|---|---|
| 内部IP除外 | 有効(3件) | 有効(3件) | ✓ |
| ボット除外 | 有効 | 有効 | ✓ |
| テストデータ除外 | 有効 | 無効 | ✗ |
不一致が見つかった場合は、すぐに修正し、修正日時を記録しておきましょう。
対策3: 基準とするデータソースを明確にする
結論:組織内で「どちらのデータを正として扱うか」を事前に決定し、明文化することが重要です。
GA4とLooker Studioの数値を完全一致させることは困難なため、分析目的に応じて基準とするデータソースを決めておく必要があります。
組織内でのルール策定:
推奨ルールの例:
- 経営レポート・役員報告:GA4管理画面の数値を正とする
- 理由:Googleの公式UIで信頼性が高い、監査対応が容易
- 日次・週次の運用レポート:Looker Studioの数値を使用
- 理由:自動更新・共有が容易、可視化に優れる
- 広告効果測定:GA4の探索レポートを使用
- 理由:詳細なセグメント分析が可能
- クライアントへの報告:両方の数値を併記し、差異率を明示
- 理由:透明性の確保、信頼関係の構築
報告資料での明記方法:
【データソースについて】
本レポートの数値は、Looker Studio(GA4 API経由)のデータを使用しています。
GA4管理画面との差異は通常±5%程度です。
最終更新:2024年11月20日 10:00(JST)
このように、レポートの冒頭やフッターに必ずデータソースを明記することで、後々のトラブルを防げます。
対策4: 計算フィールドを最小限に抑える
結論:Looker Studioの計算フィールドは必要最小限にとどめ、GA4の標準指標を優先的に使用します。
計算フィールドは便利ですが、使いすぎると数値の信頼性が低下します。以下の原則に従って使用を制限しましょう。
代替となる標準指標の活用:
| 計算したい内容 | ❌ 避けるべき方法 | ✓ 推奨方法 |
|---|---|---|
| 直帰率 | セッション数÷直帰セッション数 | GA4標準の「直帰率」指標を使用 |
| CVR | コンバージョン数÷セッション数×100 | GA4で「コンバージョン率」を作成 |
| 平均セッション時間 | 合計時間÷セッション数 | 標準の「平均エンゲージメント時間」を使用 |
やむを得ず使う場合の記録方法:
計算フィールドを使用する場合は、以下の情報を必ずドキュメント化します:
- 計算式の詳細
フィールド名:実質CVR 計算式:(購入完了数 - キャンセル数) / セッション数 * 100 作成日:2024年11月15日 作成者:田中 - 使用目的と注意事項
- なぜこの計算フィールドが必要か
- 標準指標では対応できない理由
- 数値の解釈上の注意点
- 検証結果
- GA4の数値との差異率
- サンプルデータでの検証結果
計算フィールドは、Looker Studioの「データソース」レベルで作成すれば、複数のレポートで再利用できるため、個別のグラフで都度作成するのは避けましょう。
対策5: サンプリングを避ける設定
結論:サンプリングを避けるには、データ量の制限、期間の分割、GA4 360の導入を検討します。
サンプリングが発生すると、データの正確性が大きく損なわれます。以下の方法でサンプリングを最小化できます。
データ量に応じた対処:
小規模サイト(月間10万PV以下):
- サンプリングはほぼ発生しない
- 標準の設定で問題なし
中規模サイト(月間10万~100万PV):
- ディメンションと指標の組み合わせを最小限に
- データ取得期間を短く設定(1ヶ月単位など)
- 複雑な探索レポートではサンプリングに注意
大規模サイト(月間100万PV以上):
- サンプリングが頻繁に発生
- データを期間で分割して取得
- BigQueryエクスポートの活用を検討
- GA4 360の導入を検討
GA4 360の活用検討:
GA4 360(有料版)では以下のメリットがあります:
- サンプリング制限が大幅に緩和
- BigQueryへの自動エクスポート(フルデータ)
- SLA(サービス品質保証)
- 専任サポート
費用は年間15万ドル~(約2,000万円~)と高額ですが、大規模サイトでは投資効果が高い場合があります。
サンプリング発生時の対処:
- データ取得期間を短くする(年次→月次→週次)
- 使用するディメンション数を減らす
- フィルタを事前に適用してデータ量を削減
- BigQueryで生データを分析する
対策6: 定期的な数値検証の仕組み化
結論:週次または月次で定期的にGA4とLooker Studioの数値を比較し、異常値を早期発見する体制を構築します。
数値差異は突然発生することがあります。設定変更、システムアップデート、計測タグの不具合などが原因で、ある日を境に大きな差異が生じることがあるため、定期的な検証が不可欠です。
チェックすべき頻度:
| チェック項目 | 頻度 | 担当者 | 許容差異率 |
|---|---|---|---|
| 主要KPI(PV、セッション、ユーザー) | 毎週月曜 | データアナリスト | ±5% |
| コンバージョン数 | 毎週月曜 | マーケティング責任者 | ±3% |
| チャネル別トラフィック | 毎月1日 | SEO/広告担当 | ±10% |
| イベント数(主要イベント) | 毎週月曜 | データアナリスト | ±5% |
異常値の早期発見方法:
- 自動アラート設定
- Looker Studioで差異率が10%を超えたら通知
- GA4のアノマリー検出機能を活用
- ダッシュボードの作成
【数値差異監視ダッシュボード】 - GA4セッション数:10,523 - Looker Studioセッション数:10,234 - 差異:-2.7%(正常範囲内) - 前週比:+12.3% - チェックリスト実行
- タイムゾーン設定は正しいか
- フィルタに変更はないか
- 新しい計算フィールドが追加されていないか
- APIの接続状態は正常か
- 記録の保存 スプレッドシートなどで検証結果を記録:
- 検証日
- 指標名
- GA4の数値
- Looker Studioの数値
- 差異率
- 異常の有無
- 対応内容
定期検証を習慣化することで、問題が小さいうちに対処でき、データの信頼性を長期的に維持できます。
対策7: ディメンションと指標の適切な組み合わせ
結論:GA4のデータ構造を理解し、互換性のあるディメンションと指標を組み合わせることで、正確なデータを取得できます。
GA4では、ディメンション(分析軸)と指標(測定値)の組み合わせに制限があります。不適切な組み合わせは、データの不整合や誤った数値を生み出します。
相性の良い組み合わせ一覧:
✓ 推奨される組み合わせ:
| ディメンション | 相性の良い指標 | 分析用途 |
|---|---|---|
| ページパス | ページビュー、ユーザー | ページ別分析 |
| 参照元/メディア | セッション、コンバージョン | チャネル分析 |
| デバイスカテゴリ | ユーザー、セッション | デバイス別分析 |
| イベント名 | イベント数、ユーザー | イベント分析 |
| 日付 | すべての指標 | 時系列分析 |
✗ 避けるべき組み合わせ:
| ディメンション | 避けるべき指標 | 理由 |
|---|---|---|
| ユーザースコープ | イベントスコープの指標 | スコープが異なる |
| 高カーディナリティ(商品ID等) | サンプリングが発生 | データ量が多すぎる |
| カスタムディメンション複数 | すべての指標 | 処理が複雑化 |
実践的なガイドライン:
- スコープを統一する
- ユーザースコープ:ユーザー数、新規ユーザー数など
- セッションスコープ:セッション数、直帰率など
- イベントスコープ:イベント数、イベント値など
- カーディナリティに注意 カーディナリティ(一意の値の数)が高いディメンションは避ける:
- ❌ 商品ID(数千~数万)
- ❌ ユーザーID(数万~数百万)
- ✓ カテゴリ(数十程度)
- Looker Studioでの確認方法
- データソース編集画面で「フィールドの不適合」警告を確認
- プレビューで期待通りの数値が表示されるかテスト
不適切な組み合わせを使用してしまった場合、Looker Studioではエラーが表示されないまま誤った数値が表示されることがあるため、特に注意が必要です。
対策8: データ更新後の確認タイミングを統一
結論:データ確認のタイミングをチーム内でルール化し、更新完了後の安定したデータを参照します。
GA4とLooker Studioのデータ更新タイミングの違いを理解し、適切なタイミングでデータを確認することで、無用な混乱を避けられます。
推奨される確認時間帯:
日次レポートの場合:
- 前日データの確認:当日10:00以降
- 理由:GA4のデータ処理が完了し、Looker StudioのAPIキャッシュも更新されている
週次レポートの場合:
- 前週データの確認:月曜日12:00以降
- 理由:週末のデータ処理が完了し、週次集計が確定している
月次レポートの場合:
- 前月データの確認:翌月2日以降
- 理由:月末月初のデータ処理完了後、安定したデータが確認できる
チーム内での運用ルール:
【データ確認タイミングのルール】
1. 当日データの参照は避ける(リアルタイム監視を除く)
2. 前日データは10:00以降に確認
3. 重要な意思決定には、2日以上経過したデータを使用
4. 月末月初のデータは、翌月2日以降に確認
5. Looker Studioのデータソースは毎朝9:00に手動更新
【例外対応】
- 緊急時(広告停止判断など):GA4のリアルタイムレポートを参照
- 速報値が必要な場合:「速報値」と明記し、後日確定値で再確認
データ更新の強制方法:
Looker Studioでデータが古い場合、以下の方法で更新できます:
- レポート編集画面で「データソースの更新」ボタンをクリック
- データソース編集画面で「キャッシュをクリア」
- ブラウザのキャッシュをクリアしてページを再読み込み
チーム全体でタイミングを統一することで、「私が見た数値と違う」という混乱を防ぎ、円滑なコミュニケーションが可能になります。
数値差異を完全になくすことは困難なため、「どの程度の差異なら許容できるか」を判断する基準を持つことが重要です。
一般的な誤差率の目安
結論:指標やデータ量によって許容される誤差率は異なりますが、一般的に±5%以内であれば正常範囲とされます。
実務では、以下の誤差率が一般的な目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、ビジネスの重要度や分析目的によって調整が必要です。
指標別の許容範囲:
| 指標 | 許容誤差率 | 判断基準 |
|---|---|---|
| ページビュー(PV) | ±3%以内 | 正常 |
| セッション数 | ±5%以内 | 正常 |
| ユーザー数 | ±10%以内 | 正常(識別方法の違いにより差が大きい) |
| 直帰率 | ±5ポイント | 正常(パーセンテージの差) |
| コンバージョン数 | ±3%以内 | 正常(重要指標のため厳しめ) |
| 平均エンゲージメント時間 | ±10%以内 | 正常(計算方法の違いが大きい) |
| イベント数 | ±5%以内 | 正常 |
データ量による違い:
- 小規模サイト(月間1万PV未満):±10%程度の差異も発生しやすい
- 中規模サイト(月間1万~50万PV):±5%程度が目安
- 大規模サイト(月間50万PV以上):±3%程度に収めることが望ましい
業界標準との比較:
Google Analytics公式のベストプラクティスでは、以下のように言及されています:
- APIを介したデータ取得では、管理画面との5~10%の差異は正常範囲
- サンプリングが発生している場合、最大20%の差異が生じる可能性
- リアルタイムデータと確定データでは、一時的に大きな差異が発生することがある
ただし、これらはあくまで技術的な許容範囲であり、ビジネス判断においては、より厳しい基準を設ける必要がある場合もあります。
重要度に応じた判断方法
結論:データの用途と重要度に応じて、許容する誤差率を段階的に設定します。
すべての指標に同じ基準を適用するのではなく、ビジネスへの影響度に応じて判断基準を変えることが現実的です。
経営判断に使う数値の扱い:
高優先度(厳格な基準):
- 売上・コンバージョンに直結する指標
- 役員会議や取締役会で報告する数値
- 予算配分の根拠となるデータ
→ 許容誤差率:±2%以内 → データソース:GA4管理画面を正とする → 検証頻度:毎週 → 差異発生時の対応:即座に原因調査
中優先度(標準的な基準):
- 日常的なマーケティング施策の評価
- 週次レポートで共有する指標
- トレンド把握が主目的のデータ
→ 許容誤差率:±5%以内 → データソース:Looker Studioでも可 → 検証頻度:月次 → 差異発生時の対応:記録して様子を見る
低優先度(緩やかな基準):
- 参考値として使用する指標
- 大まかな傾向把握のためのデータ
- 社内の運用改善検討用の数値
→ 許容誤差率:±10%以内 → データソース:どちらでも可 → 検証頻度:四半期ごと → 差異発生時の対応:大きな変化がない限り許容
日常モニタリングでの扱い:
日々の運用では、細かい数値の差異よりも「トレンド(傾向)」を重視します:
- 前週比、前月比の変化率
- 季節変動のパターン
- 施策実施前後の変化
トレンド分析では、絶対値の差異よりも「同じデータソースで継続的に計測すること」が重要です。
どちらの数値を採用すべきか
結論:分析の目的と報告先に応じて、使用するデータソースを明確に決定し、一貫性を保ちます。
GA4とLooker Studioのどちらを使うべきかは、以下の判断基準で決定します。
用途別の使い分け:
GA4管理画面を使うべきケース:
- 正確性が最優先の場合
- 経営会議での報告
- 投資判断の根拠
- 監査対応
- 探索的分析が必要な場合
- ユーザー行動の深掘り分析
- ファネル分析
- セグメント別の詳細分析
- リアルタイム性が重要な場合
- キャンペーン実施中のモニタリング
- 緊急時の状況把握
Looker Studioを使うべきケース:
- 定型レポートの自動化
- 週次・月次の定例レポート
- クライアントへの報告資料
- 社内共有用のダッシュボード
- 複数データソースの統合
- GA4 + Google広告 + Search Console
- 複数のGA4プロパティの統合
- 外部データ(CRM、MAなど)との統合
- ビジュアル化が重要な場合
- プレゼンテーション資料
- クライアント向けの分かりやすいレポート
- 非技術者向けのダッシュボード
ステークホルダーへの説明方法:
数値の差異について関係者に説明する際のテンプレート:
【データの取り扱いについて】
本レポートでは、Looker Studioのデータを使用しています。
GA4管理画面との数値差異は、以下の理由により発生します:
・データ取得方法の違い(API経由 vs 直接計測)
・更新タイミングの違い(バッチ処理 vs リアルタイム)
・集計方法の違い(サンプリング、フィルタ等)
【数値の信頼性について】
・許容誤差率:±5%以内
・現在の差異率:+2.3%(正常範囲内)
・GA4管理画面での検証:月次で実施
【重要な意思決定時の対応】
経営判断や大規模投資の際は、GA4管理画面の数値で
再確認することを推奨します。
透明性を持って説明することで、ステークホルダーの信頼を得られ、データドリブンな意思決定がスムーズに進みます。
よくある質問とその回答をまとめました。実務で疑問に思うポイントを網羅的に解説します。
- どの程度の差異なら正常ですか?
-
一般的に±5%以内の差異であれば正常範囲とされますが、指標の種類とデータ量によって許容範囲は異なります。
具体的な目安は以下の通りです:
指標別の正常範囲:
- ページビュー(PV):±3%以内
- 理由:比較的単純な指標で差異が小さい
- セッション数:±5%以内
- 理由:セッション定義の違いで多少の差異が発生
- ユーザー数:±10%以内
- 理由:ユーザー識別方法の違いが大きい
- コンバージョン数:±3%以内
- 理由:重要指標のため厳しめの基準
- 直帰率:±5ポイント
- 理由:パーセンテージなので絶対値の差で判断
データ量による違い:
小規模サイト(月間1万PV未満)では、統計的なブレが大きいため±10%程度の差異も許容されることがあります。一方、大規模サイト(月間100万PV以上)では、±3%以内に抑えることが望ましいとされます。
異常と判断すべきケース:
- 差異率が15%を超える場合
- 急に差異率が大きくなった場合(前週は3%だったのに今週は12%など)
- 特定の指標だけ極端に差異が大きい場合
- マイナス方向の差異が続く場合(Looker Studioの数値が常に少ない)
これらのケースでは、設定ミスやシステムエラーの可能性があるため、早急に原因調査が必要です。
判断の際の注意点:
差異率だけでなく「絶対値」も考慮することが重要です。例えば:
- ケース1:GA4が100、Looker Studioが110(差異率10%)→ 絶対値の差は10
- ケース2:GA4が10,000、Looker Studioが10,500(差異率5%)→ 絶対値の差は500
ケース1は差異率が大きくても絶対値の差は小さく、ケース2は差異率が小さくても絶対値の差は大きいため、ビジネスへの影響度が異なります。
- ページビュー(PV):±3%以内
- 差異を完全にゼロにすることは可能ですか?
-
結論:GA4とLooker Studioの数値差異を完全にゼロにすることは、技術的に不可能です。
これは、両プラットフォームのデータ取得・処理の仕組みが根本的に異なるためです。具体的には:
構造的な違い:
- データ取得方法
- GA4:JavaScriptタグから直接サーバーへデータ送信
- Looker Studio:GA4 Data APIを介して二次的にデータ取得 → APIは既に一部処理されたデータを返すため、完全一致は困難
- 処理タイミング
- GA4:リアルタイムで逐次処理
- Looker Studio:バッチ処理で定期更新 → 更新タイミングのズレにより必ず差異が発生
- サンプリングの有無
- GA4標準レポート:サンプリングなし(データ量が閾値以下の場合)
- GA4探索レポート:サンプリング発生する場合あり
- Looker Studio(API):大量データではサンプリング発生 → サンプリングの発生条件が異なる
近づけることは可能:
完全一致は無理でも、以下の対策で差異を最小化できます:
- タイムゾーン設定の統一 → 差異を約50%削減
- フィルタ条件の完全一致 → 差異をさらに20-30%削減
- データ取得タイミングの統一 → 差異を10-15%削減
- 計算フィールドの最小化 → 差異の拡大を防止
これらを徹底することで、差異を±2-3%程度まで縮めることが可能です。
Googleの公式見解:
Google Analytics公式ヘルプでも、「APIを介したデータ取得では、管理画面との差異が発生することは正常な動作」と明記されています。重要なのは、この差異を理解した上で適切に対処することです。
実務での対応:
完全一致を目指すのではなく:
- 許容範囲を定める(±5%など)
- 基準とするデータソースを決める
- トレンド(傾向)分析を重視する
- ステークホルダーに差異の存在を説明する
この現実的なアプローチが、データドリブンな意思決定を促進します。
- データ取得方法
- レポートにはどちらの数値を使うべきですか?
-
結論:レポートの目的と受け手によって使い分けるべきで、一概にどちらが良いとは言えません。
以下の判断基準を参考に、ケースバイケースで選択してください。
GA4管理画面を使うべきケース:
- 公式性・信頼性が重要な場合
- 取締役会や株主総会での報告
- 投資判断や予算配分の根拠資料
- 監査対応が必要な場合 → Googleの公式UIという信頼性が重要
- 精密な分析が必要な場合
- 探索レポートでのファネル分析
- ユーザー行動の深掘り調査
- セグメント別の詳細分析 → GA4の高度な分析機能を活用
- リアルタイム性が求められる場合
- キャンペーン実施中のモニタリング
- 緊急時の状況把握
- 速報値の作成 → リアルタイムレポート機能が有効
Looker Studioを使うべきケース:
- 定型レポートの自動化
- 週次・月次の定例レポート
- 複数部署への配信レポート
- 定点観測用のダッシュボード → 自動更新・共有機能が便利
- ビジュアル重視の場合
- 経営層向けのサマリーレポート
- クライアント向けの分かりやすい資料
- プレゼンテーション用の図表 → デザイン性とカスタマイズ性が高い
- 複数データソースの統合
- GA4 + Google広告 + Search Consoleの統合分析
- 複数のGA4プロパティの比較
- 外部データ(CRM、MAツールなど)との統合 → データ統合機能が強力
推奨される実務対応:
実務では、以下のハイブリッド運用が効果的です:
【レポート体系の例】 ■ 経営層向け月次レポート - データソース:GA4管理画面 - 更新頻度:月次 - 確認者:役員、経営企画 - 重視する点:正確性、信頼性 ■ マーケティング部門向け週次レポート - データソース:Looker Studio - 更新頻度:週次(自動更新) - 確認者:マーケティング担当者 - 重視する点:効率性、可視性 ■ リアルタイムダッシュボード - データソース:GA4リアルタイムレポート - 更新頻度:常時 - 確認者:運用担当者 - 重視する点:即時性 ■ クライアント向けレポート - データソース:Looker Studio - 更新頻度:月次 - 確認者:クライアント企業 - 重視する点:わかりやすさ、デザイン性 - 注釈:「GA4管理画面との差異は±3%程度」と明記両方を併記する方法:
重要な意思決定に関わる数値は、両方を併記することも有効です:
【コンバージョン数の比較】 GA4管理画面:1,250件 Looker Studio:1,280件 差異:+2.4%(許容範囲内) ※本レポートではGA4管理画面の数値を正として扱います透明性を持って両方の数値を示すことで、ステークホルダーの信頼を得られます。
- 公式性・信頼性が重要な場合
- リアルタイムデータでも差異は発生しますか?
-
結論:リアルタイムデータでは、特に大きな差異が発生しやすく、数時間から1日程度の遅延も珍しくありません。
リアルタイムデータ(当日データ)は、確定データと比較して不安定であり、GA4とLooker Studioの差異も大きくなる傾向があります。
リアルタイムデータの特徴:
- データ処理の遅延
- GA4:イベント発生から5~15分で反映
- Looker Studio:APIキャッシュの関係で30分~数時間の遅延 → 同じ時刻に確認しても、最大数時間のタイムラグが発生
- 集計処理の違い
- GA4リアルタイムレポート:専用の高速処理パイプライン
- GA4標準レポート:バッチ処理による集計
- Looker Studio:APIから取得したバッチ処理済みデータ → 処理方法の違いにより、大きな差異が発生
- データの確定プロセス GA4では、データは以下のように段階的に確定します:
- 即時:リアルタイムレポートに反映(推定値)
- 1-2時間後:標準レポートに反映(暫定値)
- 24-48時間後:完全に確定(確定値)
実際の差異の例:
あるECサイトで当日14:00に確認した場合:
- GA4リアルタイムレポート:現在のアクティブユーザー 125人
- GA4標準レポート(当日分):セッション数 1,850
- Looker Studio(当日分):セッション数 1,420
- 差異:-23.2%(大きな差異)
翌日10:00に同じ日のデータを確認:
- GA4標準レポート:セッション数 2,150(確定値)
- Looker Studio:セッション数 2,190(確定値)
- 差異:+1.9%(正常範囲内)
リアルタイムデータを使う際の注意点:
- 速報値であることを明記
【注意】本データは速報値です 確定値は翌日以降に確認してください GA4管理画面との差異:最大30%程度 - 意思決定には使わない
- キャンペーン停止などの重大判断は、確定値で再確認
- 緊急対応以外では、リアルタイムデータに基づく判断を避ける
- トレンドの把握に使う
- 絶対値ではなく、前時間比や前日同時刻比を見る
- 大きな異常(アクセス急増/急減)の検知に活用
- データ処理の遅延
- サードパーティツールを使えば一致しますか?
-
結論:サードパーティツールを使用しても、GA4とLooker Studioの数値差異を解消することはできません。むしろ、新たな差異が発生する可能性があります。
サードパーティツール(Tableau、Power BI、DataStudioの代替ツールなど)も、基本的にはGA4 Data APIを使用してデータを取得するため、Looker Studioと同様の課題を抱えています。
サードパーティツールの制約:
- データ取得方法は同じ
- すべてのツールがGA4 Data APIを使用
- APIの仕様・制限は変わらない
- サンプリングやバッチ処理の影響を受ける
- 独自の処理が追加される
- ツール独自のデータ変換処理
- キャッシュ機構の違い
- 集計ロジックの独自実装 → Looker Studioとは異なる、新たな差異が発生
- 設定の複雑さ
- 接続設定の項目が増える
- 設定ミスの可能性が高まる
- トラブルシューティングが困難
結論として、「ツールを変えれば一致する」という期待は現実的ではなく、どのツールを使っても差異は発生します。重要なのは、差異を理解した上で適切に運用することです。
- データ取得方法は同じ
ここまで、Looker StudioとGA4の数値差異について、原因から対策、実際の事例まで詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
差異は仕様上避けられないことを理解する
GA4とLooker Studioの数値差異は、両者のデータ取得・処理方法が根本的に異なることに起因します。これは不具合ではなく、システムの仕様上の違いです。完全一致を目指すのではなく、±5%程度の差異は正常範囲として受け入れることが現実的です。
主な差異の原因5つを再確認しましょう:
- データソースと取得方法の違い(直接計測 vs API経由)
- データ更新タイミングのズレ(リアルタイム vs バッチ処理)
- フィルタ・セグメント設定の不一致
- サンプリングと集計方法の違い
- 計算フィールドによる誤差の拡大
重要なのは原因把握と適切な対策
数値差異を最小化するための8つの対策を実践することで、信頼性の高いレポーティングが可能になります:
- データ取得期間とタイムゾーンの統一
- フィルタ条件の完全一致
- 基準とするデータソースの明確化
- 計算フィールドの最小化
- サンプリング回避の設定
- 定期的な数値検証
- ディメンションと指標の適切な組み合わせ
- データ更新後の確認タイミング統一
特に重要なのは、タイムゾーン設定とフィルタ条件の統一です。これらの基本設定を正しく行うだけで、差異を大幅に削減できます。
基準となるデータソースを決めて運用する
組織内で「どちらのデータを正として扱うか」を明確にルール化しましょう:
- 経営判断・役員報告:GA4管理画面を正とする
- 日常的な運用レポート:Looker Studioを活用
- クライアント報告:差異率を明記して両方を提示
用途に応じて使い分け、ステークホルダーには透明性を持って説明することで、データへの信頼を維持できます。
定期的な検証で信頼性の高いレポーティングを実現
数値差異は、設定変更やシステムアップデートで突然大きくなることがあります。週次または月次で定期的にGA4とLooker Studioの数値を比較し、異常値を早期発見する体制を構築しましょう。
チェックリストを用いた確認、差異率のモニタリング、異常時の対応手順の確立により、長期的にデータの信頼性を維持できます。
最後に
Looker StudioとGA4の数値差異は、データ分析の現場で避けて通れない課題です。しかし、この記事で解説した原因と対策を理解し実践することで、差異を最小化し、自信を持ってデータドリブンな意思決定を進めることができます。
完璧な一致を追求するのではなく、差異の存在を前提とした現実的な運用体制を構築することが、成功への近道です。定期的な検証、透明性のある説明、そして一貫性のある分析手法により、データの価値を最大化しましょう。

