2024年後半に正式リリースされたLooker Studioのファネル機能の解説!
データ分析での効果測定に悩んでいませんか?施策の効果が見えづらく、改善のポイントがつかめない…
そんな課題を抱えるマーケターは少なくありません。そんなマーケターの悩みを解決する強力なツールです。
本記事では、Looker Studioでのファネル分析の基礎から応用まで、実践的な活用方法を詳しく解説します。
初めての方でも簡単に始められる具体的な手順と、実務で使える活用テクニックをご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

最新のファネル機能の特徴と基本概念
Looker Studioのファネル機能は、ユーザーの行動プロセスを段階的に可視化できる分析ツールです。この機能により、Webサイトでの顧客行動やマーケティング施策の効果を、直感的に理解することが可能になりました。従来は複数のツールを組み合わせる必要があった分析が、Looker Studio一つで完結できるようになっています。ファネル分析を行う際には、GA4の探索レポートを使っていた方も多いかと思います。
2024年のアップデートでファネル分析をLooker studio側で行うことができるようになり、よりユーザーの行動や移行数などのデータが可視化できるようになりました。
そもそもファネル分析とは?
ファネル分析とは、ユーザーの行動を段階的に追跡し、各段階での離脱率や転換率を分析する手法です。
「ファネル」という名前は、上から下に向かって徐々に細くなる漏斗(じょうご)の形に由来しています。
ビジネスにおけるメリット
ファネル機能の導入により、以下の3つの主要なメリットが得られます。
ファネル分析は段階ごとの分析ができるため、どの段階に課題があるかが一目でわかります。またGA4のデータだけではなく、スプレッドシートでの営業進捗などの状態を管理しているものであれば、どのようなデータでも可視化することができます。
- リアルタイムでの進捗管理
- データに基づく意思決定の促進
- 改善ポイントの明確な特定
これらのメリットにより、マーケティング施策の効果測定と改善が格段に効率化されます。
段階での課題がわかり、段階ごとに対して行う施策も変わってくるので、施策立案も実施しやすくなります。
ファネルグラフを作成する方法は、Looker studioのグラフを表示させる方法と大きく変わりません。
すでにLooker studioでレポートを作成したことがある方は簡単に作成できます。
ここでは簡単に手順を説明します。
データソースの設定方法
接続するデータソースを選択します。GA4のデータソースを選択して接続して、グラフでファネルを追加することでファネルのグラフを表示させることができます。
ファイネルで設定するディメンションと値は本記事内でご紹介させていただきます。
またGA4だけでなく、下記のデータソースとも連携が可能です。
- Google アナリティクス4
- スプレッドシート
- BigQuery
- CSVファイル
Looker studioでのグラフの作成手順は別の記事でも解説しておりますので、ご参考にしてください。
【完全ガイド】Looker Studioの使い方マスターわかりやすいスクショ付き解説
メトリクスとディメンションの設定方法
ファネル分析を効果的に行うためには、適切なメトリクスとディメンションの選択が重要です。
メトリクスには、ページビュー数やユーザー数、コンバージョン数などの数値データを設定します。
一方、ディメンションには、ページURLやイベント名、ユーザーセグメントなどを設定します。これらの組み合わせにより、詳細な行動分析が可能になります。
設定の具体的な手順は以下の通りです。
- メトリクスペインから分析したい指標を選択
- ディメンションペインからグループ化の基準を設定
- フィルタを活用して必要なデータのみを表示
他にも独自で設定したコンバージョンの段階などの段階構造でデータを計測するべきものは、ファネルで表示させることでレポートがわかりやすくなります。
例えば、お問合せフォームページへ推移 → フォームの入力 → フォームの完了ページ 表示なども計測可能です。
マイクロコンバージョン1 → マイクロコンバージョン2 → 最終コンバージョン なども良いです。
カスタマイズオプションの活用
ファネルチャートの見た目は、分析目的に応じて柔軟にカスタマイズできます。
主な設定項目として、色調の変更、ラベルの配置、値の表示形式などがあります。特に重要なのは、コンバージョン率の表示方法です。絶対値と相対値を適切に使い分けることで、より意味のある分析が可能になります。
下記の画像が実際にカスタマイズした表示の例になります。
マーケティング施策の効果測定
ファネル分析は、マーケティング施策の効果を段階的に把握するのに最適です。例えば、広告からの流入、商品ページの閲覧、カート追加、購入完了という一連のプロセスを可視化することで、どの段階で離脱が多いのかを特定できます。これにより、改善が必要な箇所を明確に把握し、効率的な施策立案が可能になります。
段階ごとの数値を可視化することで、課題が明確になります。
カート追加が少ない場合は、カートへの推移ボタンを増やすやボタン自体の変更などを実施する必要があるなどの課題がわかりやすいです。

- 認知段階:広告視聴、サイト訪問
- 興味段階:商品ページ閲覧
- 検討段階:カート追加
- 購買段階:購入完了
- 再購入段階:リピート購入
コンバージョン率の改善分析
コンバージョン率の改善には、各段階での離脱理由の分析が不可欠です。Looker Studioのファネル機能では、セグメント別の比較分析が可能です。デバイス別、流入元別、ユーザー属性別などの切り口で分析することで、具体的な改善ポイントが見えてきます。
特に注目すべきポイント
- 段階間のドロップ率の変化
- セグメント別の違い
- 時系列での推移
- 施策実施前後の比較
各段階のドロップ率の数値が高い部分が課題点になるため、原因を特定分析するし、改善施策を実施してください。
各段階でドロップ率が1%改善することで、売上全体に対して大きな売上拡大をすることができます。
例として、月100万の売り上げのECサイトであれば、各段階を1%改善することで全体で10%を上げることができます。

顧客行動パターンの把握
ファネル分析を通じて、顧客の行動パターンを詳細に理解することができます。
例えば、どのような順序でページを閲覧しているか、どの段階で迷いが生じているかなどを把握できます。
この情報は、ユーザー体験の改善やコンテンツの最適化に直接活用できます。
コンバージョン地点からの遠いページで回遊率が高いページも改善箇所になることもあります。
本来へのCV地点から遠いページは、CV地点への誘導の導線設計が誤っていることがありますので、ページの内のリンクの設置などを見直してください。
分析項目 | 確認ポイント | 活用方法 |
---|---|---|
閲覧順序 | 多い経路パターン | 導線の最適化 |
滞在時間 | 長い/短いページ | コンテンツ改善 |
離脱箇所 | 離脱率の高いページ | UI/UXの改善 |
再訪問 | リピート率の高いページ | 強化ポイントの特定 |
データ表示の不具合への対処
Looker Studioのファネル機能を使用する際、最も一般的なトラブルはデータの表示不具合です。
Looker Studioではよくある不具合になります。
この問題は主にデータソースの設定やメトリクスの定義に起因します。解決には、まずデータソースの接続状態を確認し、次にメトリクスの計算方法が正しく設定されているかを確認します。特に、GA4からデータを取得する場合は、イベントパラメータの設定が適切か確認することが重要です。
また、データの更新が反映されない場合は、以下の手順で対処します。
- キャッシュのクリア
- データソースの再接続
- レポートの更新設定の確認
- フィルタ条件の見直し
Looker studioではレポートが表示されないなどのエラーが稀に発生します。エラーがあった際の対応方法についても解説しておりますので、エラーに遭遇した場合は参考にしてください。
正確な数値表示のためのTips
ファネル分析で正確な数値を表示するためには、データの前処理が重要です。特に注意が必要なのは、重複データの処理とセッション管理です。
Looker Studioでは、計算フィールドを活用することで、これらの課題に対処できます。例えば、ユニークユーザー数を正確に把握するために、カスタムディメンションを作成し、重複を除外する処理を組み込むことができます。
確認項目 | 対処方法 | 期待効果 |
---|---|---|
データの重複 | 重複除外フィルタの設定 | 正確なユーザー数の把握 |
セッション管理 | セッション期間の適切な設定 | 実態に即した行動分析 |
計算精度 | 計算フィールドの最適化 | より正確な指標の取得 |
計算フィールドや関数を使用することができますので、複雑な計算可能です。しかし、複雑にしすぎるとレポート自体が重たくなり表示がされないなどのエラーが頻発するためご注意ください。
計算フィールドの使い方に関しては、下記の記事でも紹介しておりますのでご参考にしてください。
パフォーマンス最適化の方法
レポートのパフォーマンスを最適化することで、より快適な分析環境を実現できます。
具体的には、データ範囲の適切な設定、不要なフィルタの削除、計算フィールドの最適化などが効果的です。
特に大量のデータを扱う場合は、接続時にエラーが起こることが多いためご注意ください。
最適化のための主要なポイント
- データ量を最適化
- 分析に必要な期間のみを設定
- 過去データは集計済みデータを活用
- フィルタの効率化
- 複雑なフィルタの簡素化
- 重複フィルタの統合
- 計算処理の効率化
- 計算フィールドの見直し
- 複雑な計算の分割処理
これらの最適化により、レポートの読み込み時間が短縮され、よりスムーズな分析作業が可能になります。
セグメント分析との組み合わせ
ファネル分析をより効果的に活用するために、セグメント分析との組み合わせが有効です。
例えば、デバイス別、流入元別、ユーザー属性別などの切り口でファネルを比較することで、より詳細な洞察を得ることができます。これにより、特定のセグメントにおける課題や機会を特定し、ターゲットを絞った施策の立案が可能になります。
時系列での比較分析
時系列でのファネル分析は、ビジネスの成長や施策の効果を正確に把握するために重要です。Looker Studioでは、期間比較機能を活用することで、前年同期や前月との違いを簡単に可視化できます。特に、施策実施前後での変化を追跡することで、具体的な効果測定が可能になります。
時系列分析を効果的に行うためには、以下の点に注意が必要です。まず、比較する期間の設定を適切に行うことです。季節性のある業種の場合、前年同期との比較が有効です。次に、外部要因の影響を考慮することです。キャンペーンやイベントなどの特殊要因は、分析結果に大きく影響する可能性があります。これらの要因を適切にフィルタリングすることで、より正確な分析が可能になります。
EC事業者での活用事例
あるEC事業者は、Looker Studioのファネル機能を活用して、商品カテゴリー別の購買行動分析を実施しました。
分析の結果、特定のカテゴリーで商品詳細ページからカートへの移行率が低いことが判明しました。
この課題に対して、以下の改善施策を実施しました
- 商品詳細ページのレイアウト最適化
- 商品説明の充実化
- レビュー表示の改善
- 関連商品のレコメンド強化
これらの施策により、カート追加率が5%向上し、最終的な購入率も3%改善されました。
BtoB企業での成功事例
ある法人向けサービス企業では、リード獲得からの商談化プロセスをファネル分析で可視化しました。
その結果、資料請求後の初回コンタクトまでの時間が長く、その間にリードの質が低下していることが分かりました。
この発見を基に、以下の改善を実施しました。
- 自動メール配信の導入
- リードスコアリングの実装
- フォローアップの自動化
- 営業担当者への優先順位付け
- Looker Studioのファネル機能は無料で使えますか?
- Looker Studioの基本機能として、ファネル分析機能は無料で利用できます。ただし、データソースによっては別途料金が発生する場合があります。例えば、BigQueryと連携する場合は、BigQueryの利用料金が必要になります。Google Analytics 4(GA4)との連携は無料で実施できるため、多くの企業では GA4 のデータを活用したファネル分析から始めることをお勧めします。
- ファネルの段階は最大いくつまで設定できますか?
- Looker Studioのファネル機能では、標準で最大10段階までのファネルを作成できます。ただし、分析の効果を最大化するためには、3〜7段階程度に設定することをお勧めします。段階が多すぎると視認性が低下し、重要なインサイトを見逃す可能性があります。具体的な目的に応じて、適切な段階数を設定することが重要です。
- リアルタイムでデータは更新されますか?
- データの更新頻度は、設定されているデータソースによって異なります。GA4との連携の場合、データ更新には通常24〜48時間程度のタイムラグが発生します。GA4にデータが反映されるまでに時間がかかるためです。
より即時性の高いデータが必要な場合は、BigQueryとの連携を検討することをお勧めします。また、手動での更新も可能で、「更新」ボタンをクリックすることで最新のデータを取得できます。
- 既存のレポートにファネル分析を追加することはできますか?
- 既存のレポートにファネル分析を追加することは可能です。ただし、データソースの互換性には注意が必要です。
Looker Studioのファネル機能は、デジタルマーケティングにおける重要な分析ツールとして、多くの企業で活用されています。本記事で解説した内容を整理すると、以下の点が特に重要です。
- 基本設定から応用まで、段階的に機能を活用することで、効果的なファネル分析が実現できます。
- データの正確性を担保するため、適切なメトリクスの設定とトラブルシューティングの知識が重要です。
- セグメント分析や時系列分析との組み合わせにより、より深いビジネスインサイトを得ることができます。
- 実際の活用事例から分かるように、適切な施策立案と実行により、具体的な成果につながっています。
今後のアップデートにより、さらなる機能の追加や改善が期待されます。
Looker studioは無料で利用できるため、BIツールの導入を検討している、データを可視化したい場合は一度Looker studioを試しで導入してみるのもよいです。
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