GA4の管理画面でデータを確認しているけれど、「セッション数もCV数も分かるのに、結局どこから改善すればいいか分からない」と感じていませんか?
GA4のデータをLooker Studioのダッシュボードに集約すれば、毎朝5秒でサイトの健康状態を把握でき、改善すべきポイントが一目で分かるようになります。
本記事では、GA4のデータを使ったLooker Studioダッシュボードをゼロから構築する手順を、スクリーンショット付きで解説します。KPIの選定からレイアウト設計、デザインの仕上げまで、この記事だけで実用的なダッシュボードが完成します。
この記事でわかること:
- ダッシュボードに載せるべきKPIの選び方(業種別)
- GA4とLooker Studioの接続から完成までの7ステップ
- 見やすいダッシュボードにするデザイン5原則
- 計算フィールドやパラメーターを使った上級テクニック
Looker Studioの基本操作にまだ慣れていない方は、先にLooker Studio使い方完全ガイドで全体像を把握しておくとスムーズです。
Looker StudioでGA4のデータを正しく可視化するには、そもそもGA4の設定が正しいことが前提です。設定に不安がある方はGA4無料診断(毎月3社限定)でプロにチェックしてもらえます。
「レポート」と「ダッシュボード」の違い
Looker Studioで作るものには大きく「レポート」と「ダッシュボード」の2種類があります。この記事で構築するのはダッシュボードです。
レポートは過去のデータを詳細に振り返るためのもので、ページ数が多く、テーブルや詳細グラフが中心になります。月次報告やクライアント向け納品物に使うイメージです。
一方、ダッシュボードは「今、サイトがどういう状態か」を一画面で俯瞰するためのものです。ページ数は1〜2ページ、スコアカードと時系列グラフが中心で、毎日の意思決定に使います。良いダッシュボードの条件は「開いて5秒で異常に気づける」ことです。
業種別に押さえるべきKPI
ダッシュボードに載せるKPIは、ビジネスモデルによって異なります。以下の表を参考に、自社に必要な指標を5〜7個に絞り込んでください。KPIが多すぎると「何を見ればいいか分からない」ダッシュボードになってしまいます。
| 業種 | 必須KPI | 補助KPI |
|---|---|---|
| ECサイト | 売上、CVR、客単価、カート放棄率 | 流入元別CV数、商品別売上、新規vs既存比率 |
| BtoBサイト | リード数(フォーム送信)、フォーム完了率、セッション品質 | 流入元別リード数、ページ別離脱率、資料DL数 |
| メディアサイト | PV数、セッション時間、直帰率、回遊率 | 新規ユーザー率、検索流入比率、記事別PV |
| SaaS | サインアップ数、トライアル開始率、有料転換率 | 機能別利用率、離脱ページ、流入元別LTV |
どの業種でも共通して含めるべきなのは「セッション数」「ユーザー数」「主要CV数」「前期比較」の4つです。ここに業種固有の指標を2〜3個追加する形が最もバランスの良い構成になります。
KPIの階層構造 — 概要→詳細の情報設計
ダッシュボードのレイアウトは「上から下へ、概要から詳細へ」が基本原則です。人間の視線は左上から始まり、Z字型に移動します。この特性を活かして、以下の3層構造でレイアウトを設計します。
第1層(最上部):KPIサマリー — スコアカード4〜6個を横一列に配置。数字と前期比だけで「良いか悪いか」が即座に分かる。
第2層(中央):トレンド — 時系列グラフ1〜2つ。セッション推移やCV推移で「いつから変化があったか」が分かる。
第3層(下部):内訳 — チャネル別・ページ別の棒グラフやテーブル。「なぜ変化が起きたか」の原因を特定できる。
この3層構造を頭に入れた上で、実際の構築ステップに進みましょう。
GA4プロパティの選択と接続
Looker Studioでダッシュボードを作成するには、まずGA4のデータソースを接続する必要があります。
- Looker Studioにアクセスし、左上の「作成」→「レポート」をクリック
- データソースの選択画面で「Google アナリティクス」を選択
- GA4のアカウント → プロパティを選択(UA=旧アナリティクスではなく、GA4のプロパティを選んでください)
- 右下の「追加」→ ポップアップで「レポートに追加」をクリック
これでGA4のデータがLooker Studioに接続されます。キャンバスに自動でテーブルが1つ配置されますが、これは後で削除するので気にしなくて大丈夫です。
GA4の初期設定がまだの方はこちら
接続時の注意点 — サンプリングとデータ鮮度
GA4をLooker Studioに接続する際に知っておくべき注意点が2つあります。
1つ目はデータの鮮度です。GA4のデータがLooker Studioに反映されるまで、最大24〜48時間のタイムラグが発生する場合があります。「昨日のデータがまだ表示されない」という場合は、少し待ってから確認してください。
2つ目はサンプリングの問題です。データ量が多い場合やカスタムディメンションを多用している場合、GA4側でサンプリング(データの一部だけを使った推計)が発生し、Looker Studio上の数値が実際の値と異なることがあります。サンプリングが発生しているかどうかは、グラフの右上に表示される盾のアイコンで確認できます。
GA4とLooker Studioの数値差異について詳しく知りたい方は「GA4の数値が合わない5つの原因と対策」を参照してください。
そのGA4、正しくデータ取れていますか?
Looker Studioのダッシュボードは、GA4の設定が正しくなければ意味がありません。「CV計測がズレている」「流入元が正しく分類されない」といった問題は、GA4の初期設定に起因していることがほとんどです。
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ここからは実際に手を動かしてダッシュボードを作っていきます。完成イメージは「1ページで5つのKPIと2つのグラフ、1つのテーブルが収まったダッシュボード」です。
ステップ1:レポートの新規作成とページ設定
GA4のデータソースを追加した直後の状態から始めます。
まず、自動で配置されたテーブルを選択してDeleteキーで削除してください。白紙のキャンバスからスタートします。
次にキャンバスのサイズを設定します。メニューの「ファイル」→「レポートの設定」を開き、キャンバスサイズを幅1200px × 高さ900pxに設定します。これは16:9の比率で、PCのブラウザで最も見やすいサイズです。
続いてテーマカラーを設定します。「テーマとレイアウト」メニューからテーマを選択するか、カスタムで自社のブランドカラーを設定してください。テーマを最初に決めておくと、後から追加するグラフやテキストのカラーが自動で統一されます。
ステップ2:ヘッダーエリアにKPIスコアカードを配置
ダッシュボードの最上部にKPIサマリーを配置します。
ツールバーの「グラフを追加」→「スコアカード」を選択し、キャンバスの上部に配置します。以下の4つのスコアカードを横一列に並べてください。
配置する4つのスコアカード:
1つ目は「セッション数」です。スコアカードを配置したら、右側のプロパティパネルの「データ」タブで、指標を「セッション」に設定します。
2つ目は「総ユーザー数」です。同様にスコアカードを追加し、指標を「総ユーザー数」に設定します。
3つ目は「キーイベント数」(旧コンバージョン数)です。指標を「キーイベント」に設定します。GA4でキーイベントを設定していない場合は、「イベント数」で代用してください。
4つ目は「エンゲージメント率」です。指標を「エンゲージメント率」に設定します。直帰率の代わりにこちらを使うのがGA4の標準的な考え方です。
各スコアカードには前期比較を追加しましょう。プロパティパネルの「データ」タブにある「比較期間」で「前の期間」を選択すると、前期比が自動で表示されます。数値が上昇していれば緑、下降していれば赤で表示されるため、一目で良し悪しが分かります。
スコアカードのデザインや詳細な設定は「Looker Studioスコアカードの作り方完全ガイド」で詳しく解説しています。
ステップ3:セッション推移の折れ線グラフを追加
第2層のトレンドエリアに、日別のセッション推移グラフを配置します。
「グラフを追加」→「期間」→「折れ線グラフ」を選択し、スコアカードの下に配置します。プロパティパネルで以下を設定してください。
ディメンションは「日付」、指標は「セッション」を設定します。これだけで日別のセッション推移グラフが完成します。
さらに比較期間を重ねて表示すると、前月や前年と同じ時期の推移を並べて見ることができます。「スタイル」タブで比較期間の折れ線を点線にすると、現在の期間と区別しやすくなります。
前年比・前月比の詳しい設定方法はこちら
グラフのサイズはキャンバスの横幅60〜70%程度に設定するのがおすすめです。残りの30〜40%は次のステップで配置するチャネル別グラフのスペースとして空けておきます。
ステップ4:流入チャネル別の棒グラフを作成
セッション推移グラフの右側に、流入チャネル別の横棒グラフを配置します。
「グラフを追加」→「横棒グラフ」を選択し、折れ線グラフの右側に配置します。
ディメンションは「セッションのデフォルトチャネルグループ」、指標は「セッション」を設定します。並び順を「セッション」の降順にすると、流入の多いチャネルから順に表示されます。
チャネルごとに色を分けたい場合は、「スタイル」タブの「棒の色」セクションで、ディメンション値ごとのカラーを設定できます。一般的にはOrganic Searchを緑、Paid Searchを青、Directをグレー、Socialを赤やオレンジにすると直感的に理解しやすくなります。
棒グラフの詳しいデザイン設定は「Looker Studio棒グラフの作り方|見やすいデザインと効果的な設定のコツ」で解説しています。
ステップ5:ページ別パフォーマンステーブルを配置
第3層の詳細エリアに、ランディングページ別のパフォーマンステーブルを配置します。
「グラフを追加」→「テーブル」を選択し、グラフエリアの下に配置します。
ディメンションは「ランディングページ + クエリ文字列」、指標は以下の4つを追加します。セッション数、エンゲージメント率、キーイベント数、キーイベント率の4つです。
テーブルの行数は10〜15行に設定してください。それ以上は情報過多になり、ダッシュボードの俯瞰性が損なわれます。詳細を見たい場合はフィルターで絞り込む運用にしましょう。
条件付き書式(ヒートマップ)を設定すると、数値の大小が色の濃淡で可視化され、パフォーマンスの高いページ・低いページが直感的に分かります。「スタイル」タブの各指標列で「条件付き書式」→「カラースケール」を選択してください。
テーブルの種類や使い分けの詳細は「Looker Studioの表・テーブルの作り方と使い方」で完全解説しています。
ステップ6:日付フィルターとデバイスフィルターを追加
ダッシュボードにフィルターコントロールを追加して、閲覧者が自由に期間やデバイスを切り替えられるようにします。
ツールバーの「コントロールを追加」→「期間設定」を選択し、ヘッダーエリア(スコアカードの上または右側)に配置します。デフォルト期間は「過去28日間」に設定するのがおすすめです。過去7日間だと短すぎてトレンドが読みにくく、過去90日間だと直近の変化が埋もれてしまいます。
次に「コントロールを追加」→「プルダウンリスト」を選択し、コントロールフィールドに「デバイスカテゴリ」を設定します。これにより、desktop・mobile・tabletでデータを絞り込めるようになります。モバイルだけのパフォーマンスを確認したい場合に非常に便利です。
フィルター機能の詳しい使い方は「Looker Studioフィルター機能完全マスター」で基礎から応用テクニックまで解説しています。
ステップ7:デザイン調整と共有設定
最後にダッシュボード全体のデザインを調整し、共有設定を行います。
背景色の設定: キャンバスの背景を薄いグレー(#f8f9faなど)にすると、白いグラフエリアとのコントラストが生まれ、情報のまとまりが分かりやすくなります。
セクション区切り: 第1層(スコアカード)、第2層(グラフ)、第3層(テーブル)の間に薄い区切り線(長方形シェイプ)を配置すると、情報の階層構造が視覚的に伝わります。
タイトルとラベル: ダッシュボードの左上に「〇〇サイト GA4ダッシュボード」というタイトルをテキストで配置してください。各グラフにも「セッション推移(日別)」「流入チャネル別セッション」のようなラベルをつけると、初めて見る人でも理解しやすくなります。
共有設定: 画面右上の「共有」ボタンからリンクを発行できます。「閲覧者」権限でリンクを共有すれば、相手がデータを見ることはできますが、レポートの構成を変更されることはありません。定期的にメールで自動配信したい場合は、「共有」→「配信のスケジュール」から設定できます。
ここまでの手順で基本的なダッシュボードは完成しますが、「見やすさ」を追求するためのデザイン原則を5つ紹介します。
原則1:情報の視覚的優先順位をつける
最も重要な数値(セッション数、CV数など)は最も大きく、最も目立つ位置に配置してください。スコアカードのフォントサイズを大きくし、補助的な指標は小さめに表示することで、視覚的な優先順位が明確になります。
原則2:色は3色以内に抑える
ダッシュボード全体で使う色は、ブランドカラーを基調に3色以内に抑えるのが理想です。色が多すぎると「どこを見ればいいか分からない」状態になります。例えば、メインカラー(青系)、アクセントカラー(オレンジ系)、ネガティブ表示(赤系)の3色構成が最もバランスが良い組み合わせです。
原則3:グラフの種類を目的で選ぶ
データの種類に応じて最適なグラフを選択することが重要です。時系列データには折れ線グラフ、構成比には円グラフまたはドーナツグラフ、カテゴリ比較には棒グラフ、単一KPIにはスコアカードが適しています。
グラフの種類ごとの特徴と選び方の詳細は「Looker Studioのグラフ・表の用途別選び方」で解説しています。
原則4:余白を恐れない
ダッシュボードの空白スペースを埋めたくなる衝動がありますが、余白は「情報の区切り」として機能する重要な要素です。グラフとグラフの間に最低20px以上の余白を確保し、情報のグループが明確に分かれるようにしてください。
原則5:モバイルでの閲覧も意識する
Looker Studioのダッシュボードはレスポンシブではないため、モバイルで閲覧すると自動的に縮小表示されます。スコアカードのフォントサイズを極端に小さくしたり、グラフを横に4つ以上並べたりすると、モバイルではほぼ読めなくなります。閲覧者の多くがスマートフォンで確認する場合は、レイアウトを縦長にするか、モバイル用の別ページを作成することを検討してください。
基本のダッシュボードが完成したら、以下のテクニックで分析力をさらに高めることができます。
計算フィールドでカスタムKPIを作成
GA4のデフォルト指標だけでは、ビジネスに必要なKPIを表現できない場合があります。そんなときは計算フィールドを使って独自のKPIを作成します。
例えば「フォーム送信CVR」を作成するには、以下の計算式を使います。
フォーム送信数 / セッション数計算フィールドの作成方法は、メニューの「リソース」→「追加済みのデータソース」→「フィールドを追加」から行います。計算式の書き方や20の実用パターンは「Looker Studio計算フィールド完全ガイド」で詳しく解説しています。
パラメーターで動的なしきい値を設定
「CVRが何%以上なら合格」というしきい値を、ダッシュボードの閲覧者が自由に変更できるようにしたい場合は、パラメーター機能を使います。
パラメーターを作成し、スコアカードや条件付き書式と組み合わせると、「CVR 3%以上のページは緑、以下は赤」といった動的な表示切替が可能になります。閲覧者ごとに基準が異なる場合に特に有効です。
パラメーターの詳しい設定方法は「Looker Studioのパラメーター完全ガイド」を参照してください。
Search Consoleデータとのブレンドで流入キーワードも可視化
GA4のダッシュボードにSearch Consoleのデータを統合すると、「どんなキーワードでサイトに流入しているか」「どのキーワードの順位が変動しているか」もダッシュボード上で確認できるようになります。
Looker Studioでは「データの統合(ブレンド)」機能を使って、GA4とSearch Consoleのデータを日付やランディングページをキーにして結合できます。これにより、例えば「検索流入が増えたページのキーワード別内訳」といった深い分析が可能になります。
データの統合方法の詳細は「Looker Studioデータ統合(ブレンド)完全ガイド」で図解付きで解説しています。
「記事を読みながら作る時間がない」「まずは完成形を見てみたい」という方は、DataVistaが無料で配布しているGA4レポートテンプレートをご活用ください。
テンプレートはGA4のデータソースと接続済みの状態で設計されているため、ご自身のGA4プロパティに差し替えるだけですぐに使い始めることができます。全13ページのダッシュボードで、セッション分析、ユーザー属性、流入元分析、ページ分析、CV分析まで網羅しています。
テンプレートをベースに、本記事で紹介したカスタマイズ(スコアカードの前期比追加、フィルターの設置、条件付き書式など)を適用すれば、自社に最適なダッシュボードに仕上げることができます。
- GA4のデータがLooker Studioに反映されるまでどれくらいかかりますか?
通常は数時間以内に反映されますが、最大24〜48時間かかる場合があります。特に初回接続直後はデータの読み込みに時間がかかることがあるため、接続後すぐにデータが表示されない場合は1日待ってから確認してください。
- 複数のGA4プロパティを1つのダッシュボードにまとめられますか?
はい、可能です。Looker Studioでは1つのレポートに複数のデータソースを追加できるため、異なるGA4プロパティのデータを同じダッシュボード上に表示できます。ただし、データソースが異なるグラフ同士はフィルターが連動しない場合があるため、クロスフィルタリングの設定を別途行う必要があります。
- ダッシュボードの閲覧者にGA4の権限は必要ですか?
Looker Studioのデータソース設定で「オーナーの認証情報」を選択している場合、閲覧者にGA4の権限は不要です。レポートの作成者(オーナー)のGA4権限でデータが取得されるため、閲覧者はLooker Studioの共有リンクにアクセスするだけでダッシュボードを見ることができます。
- データのサンプリングが発生する場合はどうすればいいですか?
サンプリングを回避するには、期間を短く区切る(90日以内)、カスタムディメンションの使用を最小限にする、BigQueryエクスポートを活用する、の3つの方法があります。日常的なダッシュボード利用であれば、過去28日間の設定で運用すればサンプリングが発生することはほとんどありません。大規模データの分析には「Looker StudioとBigQuery連携ガイド」を参照してください。
GA4のデータをLooker Studioのダッシュボードに集約すれば、毎日の意思決定に必要な情報を一画面で把握できるようになります。
本記事の要点は3つです。まず、ダッシュボードに載せるKPIは業種に合わせて5〜7個に絞ること。次に、レイアウトは「概要→トレンド→詳細」の3層構造で設計すること。そして、デザインは色を3色以内に抑え、余白を活かして視認性を確保すること。
まずは本記事の7ステップに沿って基本のダッシュボードを作成し、その後に上級編のテクニックを少しずつ取り入れていくのがおすすめです。

