CASE関数でデータを効率的且つ深いデータの分析をすることができます。分析する際によく直面する課題の一つが、「もしこの条件ならこの値、別の条件ならあの値」という条件分岐の実装です。
Looker StudioのCASE関数は、この問題を効率的に解決する関数です。
本記事では、CASE関数の基礎から高度な応用テクニックまで、実践的な例を交えて詳しく解説します。
データ変換の悩みを抱えるビジネスアナリストからデータサイエンティストまで、あらゆるレベルのユーザーに役立つ内容となっています。
この記事を読むことで、Looker Studioでのデータ分析スキルを大幅に向上させることができるでしょう。
独自で条件を作成して柔軟なデータの収集と分析ができるようになります。
データ分析において、CASE関数は柔軟なデータ処理を可能にする関数です。例えば、カテゴリ分類、条件付きフィルタリング、ダッシュボードの動的表示の調整など、データの視認性と解釈を向上させるために活用できます。
データの一貫性を保つためにも、条件付きデータ変換が求められます。CASE関数を利用することで、特定の条件を満たしたデータのみを分類し、フィルタリングすることで、正確なデータ分析を行うことが可能になります。
CASE関数は、Looker Studioにおけるデータ変換の要となる条件分岐関数です。この関数を使うことで、データの値に基づいて異なる結果を返すロジックを簡潔に実装できます。
例えば、売上データが特定の閾値を超えた場合に「好調」、下回った場合に「要注意」といったラベル付けが可能になります。
データに合わせて条件を設定することができます。設定する条件は任意で好きな条件が設定可能です。
CASE関数は条件付きロジックをデータに適用するための関数になります。これにより、数値データを意味のあるカテゴリに変換したり、複雑な計算ロジックを実装したりすることが可能になります。データ分析において、データから意味のある洞察を得るためには、このような変換処理が不可欠です。CASE関数はその中心的な役割を担っているのです。
CASE関数の基本構文と動作原理
CASE関数の基本構文は以下の通りです。
CASE
WHEN 条件1 THEN 結果1
WHEN 条件2 THEN 結果2
ELSE デフォルト結果
END
この構文を使用することで、特定の条件に基づいてデータの値を変更したり、分類したりすることができます。
CASE文の中のWHENとTHENの値を設定することで、条件が設定可能です。
この基本構文を理解しておくと設定が楽になります。少しプログラミングの要素もあるため、理解するまでに時間がかかるので、ここではコピペで使える参考例もご紹介します。
検索型CASE関数と単純CASE関数の違い
- 単純CASE関数: 直接的な比較による条件分岐(例:数値や文字列の一致)。
- 検索型CASE関数: より柔軟な条件設定が可能(例:範囲条件や複数条件の組み合わせ)。
- 適用場面の違い: 単純CASE関数は明確な値の比較が必要な場合に適し、検索型CASE関数は柔軟なデータ操作が求められる場合に有効。
Looker Studioの分析環境において、CASE関数は計算フィールドの作成時に特に重要な役割を果たします。データソースから直接得られない派生指標やセグメントの作成に不可欠なツールと言えるでしょう。
CASE関数の主な活用メリットには以下があります。
- データの条件付き分類が容易になる
- 複雑なビジネスロジックをダッシュボード上で実装できる
- 独自のセグメンテーションが可能になる
- レポートの可読性が向上する
これらのメリットにより、単なるデータの表示だけでなく、意思決定に直結する洞察をダッシュボード上で提供することが可能になります。
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WHENとTHENの使い方
WHEN句で条件を指定し、THEN句でその条件に一致する場合の結果表示させます。
下記で例のコードを掲載しておりますので参考にしてください。
ELSE句の重要性
ELSE句を活用することで、どの条件にも一致しない場合のデフォルト値を設定でき、データの欠損やNULL値を回避できます。デフォルト値がないと、意図しないNULL値が発生し、分析結果に影響を及ぼす可能性があります。
END句の役割
CASE関数の処理を明示的に終了し、適用結果を返します。
テキストの置き換え・変換
CASE WHEN Country = 'Japan' THEN 'JP' ELSE 'Other' END
このように、特定の値を別の表記に変更することで、データを一貫した形式に保つことができます。
テキストの置きは、Looker studioでグループ化などを行う際などの使用することがあります。
数値データの分類・カテゴリ化
CASE
WHEN Amount < 1000 THEN 'Low'
WHEN Amount BETWEEN 1000 AND 5000 THEN 'Medium'
ELSE 'High'
END
このように、数値データをカテゴリ化することで、グループ別の集計や分析が容易になります。
スプレッドシートでの売上などの数値的なデータをまとめることができるため、分布図などのグラフの作成時には有効です。
日付データの処理
CASE
WHEN DATE(Updated_At) = CURRENT_DATE() THEN 'Today'
ELSE 'Past'
END
日付データを分類することで、時間的なデータ分析を行いやすくなります。
日付分類は、時間軸でグループ化してどの時間帯が多いかなどを判断する際に必要です。
AND/OR演算子を使った複合条件
CASE
WHEN Age > 18 AND Gender = 'Male' THEN 'Adult Male'
ELSE 'Other'
END
複数の条件を組み合わせることで、より細かい分類が可能になります。
AND/ORを使用することで複数の条件にマッチさせることができます。コードが少し複雑になるため、エラーになる可能性が高いので注意してください。
比較演算子(=, <, >, <= など)の応用
CASE
WHEN Sales >= 100000 THEN 'High Revenue'
ELSE 'Low Revenue'
END
売上などの数値データを基準に分析する際に活用できます。
取引金額や購入金額が多い顧客を分類したりすることにより、全体の購入の割合などを出すことでリピートが多いのか新規が多いのかを判断して、施策を行うことができます。
またECサイトでは、KPIとしてリピート率を向上させるための指標として有効です。
INとNOT INを使ったリスト条件
CASE
WHEN Country IN ('Japan', 'USA', 'UK') THEN 'Major Market'
ELSE 'Other Market'
END
特定のカテゴリをまとめて指定することで、複数の値を持つデータの分類が容易になります。
ネストされたCASE関数の活用法
CASE
WHEN Score >= 90 THEN 'A'
WHEN Score >= 80 THEN 'B'
ELSE
CASE
WHEN Score >= 70 THEN 'C'
ELSE 'D'
END
END
複雑な条件分岐を必要とする場合に有効です。
ネストする複雑な処理も可能ですが、あまりお勧めはしておりません。処理が複雑になりすぎるとLooker studioでレポートの表示に時間がかかったり、エラーになる場合があるため、処理はシンプルにしておいてください。
計算フィールドとの組み合わせ
計算フィールドを活用すると、データの動的な変換や集計をより柔軟に行うことができます。
文字列操作との連携
CASE
WHEN LEFT(Product, 3) = 'ABC' THEN 'Category A'
ELSE 'Other Category'
END
文字列データの特定パターンを識別し、カテゴリ化する際に便利です。
売上データの分析・セグメンテーション
- 顧客セグメンテーションによるマーケティング最適化
- 購入金額に基づく顧客ランク分け(VIP、プレミアム、一般など)
- 購入頻度によるユーザー分類(ヘビーユーザー、ミドルユーザー、ライトユーザーなど)
- 購入履歴の期間に基づく分類(新規顧客、リピーター、休眠顧客など)
- 地域別パフォーマンス分析
- 国や地域ごとの売上カテゴリ化(主要市場、成長市場、新興市場など)
- 地域別の目標達成率の視覚化(達成、未達成、超過達成など)
- 商品カテゴリ分析
- 商品コードや名前の一部を使った自動カテゴリ分類
- 販売数量に基づく人気商品ランキング(トップセラー、定番商品、低回転商品など)
- キャンペーン効果測定
- 広告キャンペーン期間中とそれ以外の期間での売上比較
- プロモーションコードの使用有無による購入額の違い分析
- KPI管理ダッシュボード
- 目標に対する達成度の色分け表示(緑:達成、黄:要注意、赤:未達成)
- 前年同月比の変動率によるパフォーマンス評価(成長、横ばい、減少)
- 季節性・時間帯分析
- 曜日や時間帯による顧客行動の違いの可視化
- 季節ごとの売上傾向の分類と対策立案
- コンバージョン率の詳細分析
- 流入経路別のコンバージョン率カテゴリ化(高効率、中効率、低効率チャネル)
- ユーザー属性別の行動パターン分類
- 在庫管理の最適化
- 在庫回転率に基づく商品分類(高回転、普通、滞留在庫)
- 発注点に基づく在庫アラート設定(適正、警告、緊急発注必要)
- 顧客満足度分析
- NPS(Net Promoter Score)や評価点数に基づく顧客分類
- 問い合わせ内容の種類別分類と傾向分析
- 従業員パフォーマンス評価
- 売上目標達成率による営業担当者の評価
- 対応時間や解決率に基づくサポート担当者の効率分析
データソースや自社で分析してLooker studioのレポートとして表示させるべきものかどうかは判断して実装するようにしてください。特に重要な指標であるKPIは必ずレポートとして数値を見える化してください。
これらのCASE関数を活用することで、単純な数値の羅列ではなく、意思決定に直結する洞察を持ったダッシュボードを構築できます。
この記事は、Looker StudioのCASE関数について詳しく解説したものです。CASE関数は、条件分岐によるデータ変換を可能にする強力なツールで、「もしこの条件ならこの値、別の条件ならあの値」という処理を実装できます。
記事では、CASE関数の基本構文(WHEN-THEN-ELSE-END)から始まり、検索型と単純型の違い、そして実践的な活用例まで段階的に説明しています。特に、テキストの置き換え、数値データの分類、日付データの処理、複合条件の活用など、様々なユースケースが紹介されています。
さらに、ネストされたCASE関数や計算フィールドとの組み合わせなど、応用テクニックも解説され、実際のビジネスシーンでの活用例(売上データの分析やユーザー行動の分類)も提示されています。
記事の最後には、CASE関数使用時の制限、文法エラーの解決方法、高度なロジックの実装方法、NULL値の処理方法、ダッシュボードでの視覚的活用法などのFAQも掲載されており、読者が実務でCASE関数を効果的に活用できるよう総合的な情報が提供されています。
主要なポイント
- CASE関数の基本:条件分岐を活用したデータ変換の仕組みを理解。
- 単純CASE関数と検索型CASE関数:適用場面の違いを学ぶことで、最適な関数の選択が可能に。
- 実務での応用:売上分析、ユーザー行動分析、データフィルタリングに活用。
- パフォーマンス最適化:不要なCASE文の簡略化、計算フィールドの活用など。
- CASE関数を使用する際の制限はありますか?
- Looker Studioでは、CASE関数を計算フィールドで使用できますが、複雑すぎるCASE文やネストの深いCASE文を使用すると、パフォーマンスに影響を与えることがあります。また、使用するデータ型が一致していない場合、エラーが発生する可能性があります。
- 文法エラーが発生した場合の一般的な解決方法は?
- CASE関数の文法エラーの多くは、以下の要因によるものです。
・WHEN条件で適切なデータ型を指定していない。
・ELSE句を省略している。
・END句を忘れている。
エラーが発生した場合は、これらのポイントを確認し、文法の確認をしてください。
- CASE関数を使ってより高度なロジックを実装するには?
- 高度なロジックを実装するためには、以下のテクニックを活用するとよいでしょう。
・ネストされたCASE関数の利用:複数の条件を組み合わせることで、より細かいデータ分類が可能になります。
・他の関数との組み合わせ:SUM、COUNT、IF関数と組み合わせることで、集計や条件付き集計を行うことができます。
・パフォーマンスを考慮した設計:CASE文の評価順を工夫し、無駄な計算を減らすことで、ダッシュボードの応答速度を向上させることができます。
- NULL値が発生した場合の対処法は?
- CASE関数を使用する際、NULL値を適切に処理することが重要です。NULL値を防ぐために、ELSE句を活用し、デフォルト値を設定することで、意図しないデータ欠損を防ぐことができます。
- CASE関数の結果をダッシュボードで視覚的に活用するには?
- CASE関数を利用して作成したカテゴリやフィルタリング結果を、ダッシュボードのフィルターやグラフと組み合わせることで、視覚的にわかりやすいデータ分析が可能になります。例えば、売上をカテゴリ別に分類し、棒グラフや円グラフで表示することで、データの傾向を直感的に把握できるようになります。
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