ワイヤーフレームテンプレート完全ガイド|無料で使える2025年最新版
Webサイトやアプリの設計で「どこから手をつけていいかわからない」と悩んでいませんか。デザインに入る前の設計図であるワイヤーフレームは、制作の成功を左右する重要な工程です。しかし、ゼロから作るには時間がかかり、経験も必要になります。
そこで活用したいのがワイヤーフレームテンプレートです。テンプレートを使えば、プロレベルの設計図を短時間で作成でき、制作の効率が格段に向上します。
この記事では、2025年最新の無料ワイヤーフレームテンプレートと、効果的な使い方を徹底解説します。初心者でもすぐに実践できる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ワイヤーフレームテンプレートとは?基礎知識
ワイヤーフレームの役割と必要性
ワイヤーフレームとは、Webサイトやアプリケーションのレイアウトを示す設計図のことです。建築における図面と同じように、制作に入る前の全体像を可視化する役割を果たします。
具体的には、ヘッダー、ナビゲーション、メインコンテンツ、フッターなどの配置を簡易的に表現します。色やデザインの詳細は含まず、情報の構造と配置に焦点を当てるのが特徴です。
ワイヤーフレームが必要な理由は3つあります。第一に、制作チーム全体で完成イメージを共有できます。デザイナー、エンジニア、ディレクターが同じゴールを見据えて作業できるため、認識のズレを防げます。第二に、ユーザー導線を事前に検証できます。実際にデザインする前に、ユーザーがどのように情報を得て行動するかを確認できます。第三に、修正コストを大幅に削減できます。デザイン完成後の大幅な変更は時間とコストがかかりますが、ワイヤーフレーム段階なら柔軟に調整できます。
UI/UX設計における位置づけとしては、情報設計(IA)とビジュアルデザインの橋渡し的な役割です。サイトマップで全体構造を決めた後、ワイヤーフレームで各ページの詳細を設計し、その後デザイン工程に進みます。
プロトタイプとの違いは、プロトタイプが実際に動作する試作品であるのに対し、ワイヤーフレームは静的な設計図である点です。ワイヤーフレームは構造の検討に、プロトタイプは操作性の検証に使われます。
テンプレートを使うメリット・デメリット
ワイヤーフレームテンプレートを使う最大のメリットは、制作時間の大幅な短縮です。ゼロから作成すると数時間かかる作業が、テンプレートを使えば30分程度で完了します。
テンプレートのメリットをまとめると以下の通りです。
効率化のメリット
- よく使われるレイアウトパターンがすぐに使える
- 一般的なUI要素(ボタン、フォーム、ナビゲーション)が用意済み
- チーム内での統一感が保ちやすい
品質向上のメリット
- プロが設計した導線設計を参考にできる
- ベストプラクティスが反映されている
- 初心者でもプロレベルの構成が作れる
学習効果のメリット
- 優れたレイアウトパターンを学べる
- 情報設計の考え方が身につく
- 業界標準の構成要素を理解できる
一方で、デメリットも理解しておく必要があります。
オリジナリティの問題 テンプレートをそのまま使うと、他サイトと似たデザインになる可能性があります。ブランドの独自性を出すには、テンプレートをベースにしつつカスタマイズが必要です。
柔軟性の制約 テンプレートの構造に縛られ、本来必要な要素を削ってしまうリスクがあります。テンプレートは出発点として活用し、プロジェクトの要件に合わせて調整する姿勢が重要です。
過度な依存のリスク テンプレートに頼りすぎると、設計の基礎力が身につきません。なぜこのレイアウトなのか、どんな意図があるのかを考えながら使うことで、スキルアップにつながります。
結論として、テンプレートは効率化のための強力なツールですが、盲目的に従うのではなく、プロジェクトの特性に合わせて柔軟に活用することが成功の鍵となります。
【2025年最新】無料で使えるワイヤーフレームテンプレート比較表
主要ツール一覧比較(表形式)
2025年現在、無料で使える主要なワイヤーフレームツールを機能別に比較します。プロジェクトの規模や目的に合わせて最適なツールを選びましょう。
| ツール名 | 料金プラン | 日本語対応 | テンプレート数 | 共同編集 | モバイル対応 | おすすめ度 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Figma | 無料〜 | ○ | 多数 | ◎ | ○ | ★★★★★ | ブラウザ完結、プロトタイプ作成も可能 |
| Miro | 無料〜 | ○ | 専用多数 | ◎ | ○ | ★★★★★ | コラボレーション特化、付箋機能充実 |
| Canva | 無料〜 | ○ | 数千種類 | ○ | ○ | ★★★★☆ | 直感的な操作、初心者向け |
| Adobe XD | 無料〜 | ○ | 中程度 | ○ | ○ | ★★★★☆ | Adobe製品との連携が強力 |
| Cacoo | 660円〜 | ○ | 100種類以上 | ○ | △ | ★★★★☆ | 日本製、図表作成も可能 |
| Moqups | 無料〜 | △ | 中程度 | ○ | ○ | ★★★☆☆ | シンプル操作、軽量 |
| Wireframe.cc | 無料 | × | 少ない | × | △ | ★★★☆☆ | 超シンプル、登録不要 |
選び方のポイント
初心者やデザイン未経験者には、Canvaがおすすめです。ドラッグ&ドロップの直感的な操作で、デザイン知識がなくても美しいワイヤーフレームが作れます。
チーム開発やクライアントとの共同作業が多い場合は、FigmaまたはMiroが最適です。リアルタイム共同編集機能により、離れた場所にいるメンバーとスムーズに作業できます。
プロフェッショナルな制作環境を求めるなら、Figmaが業界標準となっています。無料プランでも十分な機能があり、プロトタイプ作成まで一貫して行えます。
日本企業で導入しやすいのは、Cacooです。日本語UI完備で、サポートも日本語対応のため、社内展開がスムーズです。
予算を抑えつつ本格的な機能が欲しい場合は、Figma無料プランが最もコストパフォーマンスに優れています。無制限のデザインファイルと3つまでのプロジェクトが使えます。
おすすめワイヤーフレームツール&テンプレート7選
Figma|プロ仕様で共同編集も簡単
Figmaは、2025年現在もっとも人気のあるデザインツールで、ワイヤーフレーム作成にも最適です。最大の特徴は、ブラウザで動作するためインストール不要で、WindowsでもMacでも同じ環境で作業できる点です。
主な特徴
- リアルタイム共同編集機能により、複数人が同時に作業可能
- コンポーネント機能で再利用可能なパーツを作成できる
- Auto Layoutで自動的にレスポンシブ対応
- プロトタイプ機能で画面遷移も表現可能
- Community機能で世界中のデザイナーが作成したテンプレートを無料利用
テンプレート例 Figma Communityには、Webサイト用、モバイルアプリ用、ランディングページ用など、目的別のテンプレートが豊富にあります。検索窓で「wireframe」と入力するだけで、数千種類のテンプレートが見つかります。
ダウンロード・使い方
- Figmaアカウントを作成(無料)
- Community画面で「wireframe」を検索
- 気に入ったテンプレートを「Duplicate」で自分のファイルに複製
- そのまま編集開始
おすすめユーザー チーム開発を行う企業、エンジニアとの連携を重視するプロジェクト、プロトタイプまで一貫して作成したい方に最適です。デザインツール初心者でも、豊富なチュートリアルがあるため学習しやすい環境が整っています。
Miro|コラボレーションに最適
Miroは、オンラインホワイトボードツールとして出発しましたが、ワイヤーフレーム作成にも強力な機能を持っています。アイデア出しからワイヤーフレーム作成まで、一つのボード上で完結できるのが最大の強みです。
主な特徴
- 無限キャンバスで自由にレイアウト可能
- 付箋、投票、タイマーなどコラボレーション機能が充実
- テンプレートライブラリにワイヤーフレーム専用パターン多数
- Zoomやslackとの連携で会議中にリアルタイム編集
- 直感的なドラッグ&ドロップ操作
テンプレート例 Webサイトワイヤーフレーム、モバイルアプリワイヤーフレーム、ユーザーフロー図、情報アーキテクチャ図など、設計プロセス全体をカバーするテンプレートが用意されています。
ダウンロード・使い方
- Miroアカウントを作成(無料プランあり)
- 新規ボード作成画面で「Templates」を選択
- 「Wireframe」カテゴリから目的に合ったものを選択
- ボード上で自由に編集
おすすめユーザー ブレインストーミングから設計まで一貫して行いたいチーム、リモートワークでのコラボレーションが多いプロジェクト、アジャイル開発を実践している組織に最適です。会議中に全員で同時編集できる点が、従来のツールにはない大きなメリットです。
Canva|デザイン初心者に最適
Canvaは、デザイン未経験者でも直感的に使えるグラフィックデザインツールです。本来はSNS投稿やプレゼン資料作成が主な用途ですが、ワイヤーフレーム作成にも十分活用できます。
主な特徴
- ドラッグ&ドロップで誰でも簡単に操作可能
- 数千種類のデザイン素材がすぐに使える
- テンプレートをそのまま使えば5分でワイヤーフレーム完成
- PNG、PDF、JPG形式で簡単に書き出し
- スマホアプリからも編集可能
テンプレート例 ランディングページ、ECサイト、コーポレートサイト、ポートフォリオサイトなど、Webサイトの主要な形式に対応したテンプレートが豊富です。「ワイヤーフレーム」で検索すると、日本語対応のテンプレートも多数見つかります。
ダウンロード・使い方
- Canvaアカウント作成(無料)
- 検索窓で「ワイヤーフレーム」または「wireframe」を検索
- 気に入ったテンプレートを選択して「テンプレートを使用」
- テキストや画像を自分のコンテンツに置き換えて完成
- 「ダウンロード」からPNGまたはPDF形式で保存
おすすめユーザー デザインツールを初めて使う方、急ぎでワイヤーフレームが必要な方、視覚的に美しい資料を作りたい方に最適です。無料プランでも25万点以上の素材が使えるため、コストを抑えたい個人や小規模事業者にもおすすめです。
Cacoo|日本製で安心
Cacooは、日本のヌーラボ社が開発するオンライン作図ツールです。日本企業が開発しているため、UI・サポート・ドキュメントすべてが日本語で提供されており、国内企業での導入がスムーズです。
主な特徴
- 完全日本語対応のUI
- ワイヤーフレームだけでなく、フローチャートやネットワーク図も作成可能
- リアルタイム共同編集機能
- Googleドライブ、Slack、Confluenceなど他ツールとの連携
- セキュリティ対策が充実し、企業利用に適している
テンプレート例 Webサイトワイヤーフレーム、モバイルアプリUI、サイトマップ、画面遷移図など、Web制作に必要なテンプレートが100種類以上用意されています。iOS、Androidの標準的なUI要素も含まれており、モバイルアプリ設計にも対応しています。
おすすめユーザー 日本企業での社内展開を考えている方、日本語サポートを重視する方、ワイヤーフレーム以外の図表も作成したい方に最適です。月額660円からの有料プランは、企業での本格利用に十分な機能を備えています。
Adobe XD|Adobeユーザーなら
Adobe XDは、Adobe Creative Cloudの一部として提供されるUI/UXデザインツールです。PhotoshopやIllustratorなど他のAdobeソフトを使っている方には、特に親和性が高いツールです。
主な特徴
- PhotoshopやIllustratorのファイルを直接インポート可能
- Creative Cloud Librariesでアセット共有
- プロトタイプ機能で画面遷移やインタラクションを設定
- 音声プロトタイプにも対応
- WindowsとMac両対応のデスクトップアプリ
テンプレート例 Webサイト、モバイルアプリ、ウェアラブルデバイスなど、デバイス別のUI Kitが用意されています。Material DesignやiOS Human Interface Guidelines準拠のコンポーネントもあり、プラットフォーム標準に沿ったデザインが可能です。
おすすめユーザー 既にAdobe Creative Cloudを契約している方、PhotoshopやIllustratorと連携させたい方、音声UIやアニメーションも含めた高度なプロトタイプを作りたい方に最適です。デザイナーがワイヤーフレームからビジュアルデザインまで一貫して担当するプロジェクトに向いています。
Moqups|シンプル操作で素早く作成
Moqupsは、シンプルさを追求したワイヤーフレーム・プロトタイピングツールです。余計な機能を削ぎ落とし、ワイヤーフレーム作成に必要な機能だけを厳選しているため、直感的に操作できます。
主な特徴
- 軽量で動作が速い
- ドラッグ&ドロップの直感的UI
- ステンシル(あらかじめ用意されたUI要素)が豊富
- リアルタイムコラボレーション機能
- クラウドベースでどこからでもアクセス可能
注意点 日本語対応が限定的なため、英語インターフェースに慣れる必要があります。ただし、UI自体はシンプルなため、英語が苦手でも比較的使いやすい設計です。
おすすめユーザー シンプルなツールを好む方、アイデアを素早く形にしたい方、複雑な機能は不要でワイヤーフレーム作成だけに集中したい方に最適です。無料プランは機能制限がありますが、有料プラン(月額$13〜)でもリーズナブルな価格設定です。
Wireframe.cc|超シンプル派向け
Wireframe.ccは、「必要最小限」を極限まで追求したワイヤーフレームツールです。アカウント登録すら不要で、ブラウザを開いたらすぐに作業を開始できます。
主な特徴
- 登録不要で即座に使用開始
- 極めてシンプルなインターフェース
- ボックス、テキスト、画像、アイコンの4要素のみ
- PNG画像として保存可能
- 動作が非常に軽快
おすすめユーザー アイデアスケッチや打ち合わせ中のラフ作成、とにかく速さ重視の方、複雑な機能に惑わされたくない方に最適です。本格的なワイヤーフレームというより、簡易的なレイアウト案を素早く共有したい場面で力を発揮します。
ただし、保存機能やバージョン管理は限定的なため、あくまで初期段階のアイデア出しツールとして活用するのが賢明です。本番の制作にはFigmaやAdobe XDなど、より機能が充実したツールへの移行をおすすめします。
目的別ワイヤーフレームテンプレートの選び方
Webサイト制作向け
Webサイト制作でワイヤーフレームテンプレートを選ぶ際は、サイトの目的とページタイプに応じて最適なものを選びましょう。
コーポレートサイトの場合 企業の信頼性を伝えることが最優先です。テンプレート選びのポイントは、ヘッダーに企業ロゴとグローバルナビゲーションが明確に配置されているか、会社概要・事業内容・お問い合わせへの導線が分かりやすいか、採用情報やIR情報など複数セクションを整理できる構造かです。
FigmaやCanvaのコーポレートサイトテンプレートには、これらの要素がバランス良く配置されたパターンが多数あります。特に重要なのは、トップページから各ページへの導線設計です。ユーザーが3クリック以内に目的の情報にたどり着けるかを意識してテンプレートを選びましょう。
LPランディングページの場合 コンバージョン獲得に特化した縦長の一枚ページです。テンプレート選びのポイントは、ファーストビューでメインメッセージが伝わる構造か、ベネフィット説明セクションが明確か、社会的証明(お客様の声・実績)の配置があるか、CTAボタンが適切な位置に複数配置されているかです。
LP用テンプレートは、情報の優先順位が明確に設計されています。一般的には「キャッチコピー→問題提起→解決策提示→ベネフィット→社会的証明→CTA」という流れが効果的です。この構造を持つテンプレートを選ぶことで、成果の出やすいLPが作れます。
ECサイトの場合 商品の魅力を最大限に伝え、購入までのハードルを下げる設計が求められます。テンプレート選びのポイントは、商品画像を大きく配置できるスペースがあるか、価格・在庫状況・配送情報が見やすいか、レビュー・評価の表示エリアがあるか、関連商品やレコメンド機能の配置があるか、カート・決済への導線がスムーズかです。
ECサイトのワイヤーフレームでは、特に商品詳細ページとカートページの設計が重要です。Amazonや楽天など大手ECサイトのレイアウトを参考にしたテンプレートを選ぶと、ユーザーが使い慣れたUIで購入体験を提供できます。
モバイルアプリ開発向け
モバイルアプリのワイヤーフレームでは、限られた画面サイズと指での操作を前提とした設計が必要です。テンプレート選びの基準が、Webサイトとは大きく異なります。
iOS対応の場合 Appleが提供する「Human Interface Guidelines」に準拠したテンプレートを選びましょう。iOSユーザーが慣れ親しんだUI要素(タブバー、ナビゲーションバー、モーダルなど)が含まれているテンプレートなら、学習コストを下げられます。
FigmaやAdobe XDには、iOS標準のコンポーネントセットが用意されています。画面サイズも、iPhone 14 Pro Max、iPhone SE など主要デバイスに対応したテンプレートを選ぶことで、実機での表示を想定した設計ができます。
Android対応の場合 GoogleのMaterial Designガイドラインに沿ったテンプレートが理想的です。フローティングアクションボタン、ボトムシート、スナックバーなど、Android特有のUI要素が含まれているテンプレートを選びましょう。
Androidは端末の画面サイズが多様なため、レスポンシブ対応を前提としたテンプレートが必須です。特に、小型スマホから大画面タブレットまで対応できる柔軟な構造のテンプレートを選ぶことが重要です。
レスポンシブ考慮のポイント モバイルアプリでも、タブレット表示を考慮する必要があります。テンプレート選びでは、画面サイズに応じてレイアウトが自動調整される構造(Auto LayoutやConstraintsなど)を持っているかを確認しましょう。
また、横画面表示にも対応できるテンプレートを選ぶと、動画視聴やゲームなど特定の機能で横画面を使う際にも対応できます。FigmaのAuto Layout機能を使ったテンプレートなら、画面サイズの変更に柔軟に対応できます。
チーム開発向け
複数人でワイヤーフレームを作成・レビューする場合は、コラボレーション機能が充実したツールとテンプレートを選びましょう。
共同編集機能の重要性 リアルタイムで複数人が同時編集できる機能は、チーム開発では必須です。FigmaやMiroのテンプレートは、コメント機能、バージョン履歴、編集権限管理など、チームワークに必要な機能が統合されています。
テンプレートを選ぶ際は、コンポーネント化されているか(ボタン、フォーム、カードなど)を確認しましょう。コンポーネントを使えば、一箇所の修正がすべてのインスタンスに反映されるため、大規模プロジェクトでも一貫性を保てます。
コメント機能活用のポイント ワイヤーフレームに直接コメントを残せる機能は、レビュープロセスを効率化します。デザイナー、ディレクター、エンジニアそれぞれが気づいた点をその場で指摘できるため、メールやチャットでのやり取りが減ります。
FigmaやAdobe XDのテンプレートでは、コメント用のレイヤーを用意している場合があります。このようなテンプレートを選ぶと、フィードバックの整理がしやすくなります。
バージョン管理の実践方法 ワイヤーフレームは制作過程で何度も修正されます。Figmaの「Version History」やAdobe XDの「Document History」など、自動でバージョンが保存される機能を持つツールのテンプレートを選びましょう。
重要なマイルストーン(初稿、第二稿、最終版など)では、手動でバージョンに名前をつけて保存することをおすすめします。これにより、過去のバージョンに簡単に戻れますし、クライアントへの提出バージョンも明確になります。
個人制作・副業向け
個人や副業でWebサイト制作を行う場合、コストを抑えつつも品質の高い成果物を出す必要があります。無料プランで完結でき、納品しやすい形式のテンプレートを選びましょう。
無料範囲で完結するツール選び Figma、Canva、Miroは無料プランでも十分な機能があります。特にFigmaは、無料プランでも無制限のデザインファイルと3つまでのプロジェクトが作成できるため、個人や小規模な副業には最適です。
テンプレート選びでは、商用利用が明記されているものを選びましょう。Figma Communityの多くのテンプレートは商用利用可能ですが、念のため利用規約を確認することをおすすめします。
納品しやすい形式への書き出し クライアントへの納品では、相手の環境に依存しないファイル形式が重要です。PDF、PNG、JPGなど、一般的なビューアで開ける形式に書き出せるテンプレートを選びましょう。
Figma、Adobe XD、Canvaはすべて、これらの形式への書き出しに対応しています。特にPDF形式は、コメントやリンクも含めて書き出せるため、クライアントレビューに適しています。
効率化のためのテンプレート活用術 副業で時間が限られている場合、テンプレートのカスタマイズ方法を学ぶことが効率化の鍵です。よく使うパターン(ヘッダー、フッター、お問い合わせフォームなど)を自分用のテンプレートとして保存しておくと、次回からの作業が格段に速くなります。
Figmaのコンポーネント機能やCanvaのブランドキット機能を使えば、自分専用のデザインシステムを構築できます。案件が増えるほど、この投資が時間短縮につながります。
ワイヤーフレームテンプレートの効果的な使い方
ダウンロード後のカスタマイズ手順
テンプレートをダウンロードしたら、そのまま使うのではなく、プロジェクトの要件に合わせてカスタマイズすることが重要です。効果的なカスタマイズ手順を4ステップで解説します。
ステップ1: デバイスサイズの確認(PC/SP) まず、ターゲットとするデバイスの画面サイズを確認します。PC向けなら一般的に1920×1080px、スマートフォン向けなら375×812px(iPhone 13基準)が標準的です。
テンプレートの画面サイズが自分のプロジェクトと合わない場合は、アートボードサイズを調整します。Figmaなら右パネルのFrameサイズを変更、Canvaならカスタムサイズで設定します。レスポンシブ対応が必要なら、PC版とスマホ版の両方のアートボードを用意しましょう。
ステップ2: グリッドシステムの設定 プロフェッショナルなワイヤーフレームでは、グリッドシステムを使うことで一貫性のあるレイアウトが実現します。12カラムグリッドが最も一般的で、要素の配置がきれいに整います。
Figmaの場合、アートボードを選択し、右パネルの「Layout grid」で「Columns: 12」「Gutter: 20px」「Margin: 40px」などと設定します。この数値はBootstrapなどのCSSフレームワークとも互換性があり、エンジニアへの引き継ぎがスムーズになります。
ステップ3: コンテンツ優先度の整理 テンプレートの要素をすべて使う必要はありません。プロジェクトで本当に必要な情報は何かを明確にし、優先順位をつけます。
ユーザーに最も伝えたいメッセージをファーストビュー(スクロールなしで見える範囲)に配置し、補足情報は下部に移動させます。不要な要素は削除し、必要な要素を追加します。この「引き算と足し算」のプロセスが、テンプレートを自分のプロジェクトに最適化する鍵です。
ステップ4: 実際のコンテンツへの置き換え テンプレートのダミーテキストや画像を、実際のコンテンツに置き換えます。この段階で、文字数や画像サイズが想定と合わない場合があるため、レイアウトを微調整します。
特に重要なのは、実際の文章の長さを反映させることです。短いダミーテキストで美しく見えても、実際の文章は長くなることが多く、レイアウトが崩れる原因になります。できるだけ本番に近いコンテンツを使ってワイヤーフレームを作成しましょう。
よくある失敗パターンと対策
ワイヤーフレームテンプレートを使う際、初心者が陥りやすい失敗パターンと、その対策を解説します。
失敗パターン1: テンプレートに頼りすぎてユーザー視点が抜ける テンプレートの構造に従うあまり、実際のユーザーがどう使うかという視点を忘れてしまうケースです。テンプレートは一般的なベストプラクティスに基づいていますが、あなたのプロジェクト固有のユーザーニーズには対応していません。
対策方法 ペルソナ(想定ユーザー像)を明確にし、そのユーザーがサイトを訪れる目的と行動を考えます。例えば「30代女性が子供向けの商品を探している」なら、カテゴリー検索や年齢別フィルターを追加するなど、ユーザー視点での機能追加を行います。テンプレートは出発点に過ぎず、最終的にはユーザーのニーズに合わせてカスタマイズすることが必須です。
失敗パターン2: カスタマイズ不足で他社と似たデザインになる テンプレートをほぼそのまま使ってしまい、結果的に他サイトと区別がつかないデザインになるケースです。特にCanvaなどの人気テンプレートは、多くの人が使っているため、差別化が難しくなります。
対策方法 ブランドの独自性を反映させる要素を追加します。具体的には、企業のブランドカラーを適用する、独自のイラストや写真を使用する、メッセージや価値観を表現するコピーを配置する、競合サイトにはない独自機能を追加する、などです。テンプレートは骨格として活用し、肉付けの部分でオリジナリティを出すことで、他社との差別化が実現します。
失敗パターン3: 詳細すぎて工数が増える ワイヤーフレームの段階で、色やフォント、細かな装飾まで作り込んでしまうケースです。これは「ハイファイワイヤーフレーム」と呼ばれ、確かに完成イメージは伝わりやすいのですが、修正コストが高くなります。
対策方法 ワイヤーフレームの役割を「情報の構造とレイアウトの確認」と割り切り、グレースケールやシンプルな線画で表現します。色やフォントなどのビジュアル要素は、ワイヤーフレーム承認後のデザインフェーズで決定します。
時間とコストのバランスを考えると、初期段階では「ローファイワイヤーフレーム(簡易的な表現)」で構造を固め、承認が得られたら「ハイファイプロトタイプ(詳細なデザイン)」へ進むという二段階のアプローチが効率的です。
チームでの共有・フィードバック方法
ワイヤーフレームを作成したら、チームメンバーやクライアントと共有し、フィードバックを収集する必要があります。効率的な共有とフィードバック収集の方法を解説します。
ツール別の共有リンク生成 FigmaとAdobe XDは、URLを共有するだけで相手がブラウザで閲覧できます。Figmaの場合、右上の「Share」ボタンから「Copy link」を選択し、閲覧権限を「Can view」に設定してURLを共有します。相手はFigmaアカウントがなくても閲覧可能です。
Canvaの場合も同様に、「共有」ボタンからリンクを生成できます。ただし、編集権限を与える場合は相手もCanvaアカウントが必要になります。MiroはURLを共有すれば、リアルタイムで全員が同時に閲覧・編集できるため、オンライン会議での共同作業に最適です。
コメント機能の活用 FigmaとAdobe XDには、ワイヤーフレーム上に直接コメントを残せる機能があります。気になる箇所をクリックしてコメントを入力すると、その位置にピンが表示されます。
効果的なコメント活用のポイントは、コメントに担当者をメンション(@名前)して通知すること、コメントに番号や優先度(高・中・低)を付けて整理すること、解決したコメントは「Resolve」して履歴として残すこと、です。これにより、どの指摘が対応済みで、どれが未対応かが一目で分かります。
バージョン管理のコツ ワイヤーフレームは制作過程で何度も修正されるため、バージョン管理が重要です。Figmaの「Version History」機能を使えば、自動的に保存される変更履歴から過去のバージョンに戻ることができます。
実践的なバージョン管理のコツは、重要なマイルストーンで手動保存すること(「初稿完成」「クライアントレビュー後」「最終版」など)、ファイル名にバージョン番号と日付を含めること(例: wireframe_v1.0_20250115)、大きな変更前にはファイルを複製してバックアップすることです。
これらの方法を実践することで、チーム内でのコミュニケーションがスムーズになり、フィードバックの反映漏れや認識の齟齬を防げます。
ワイヤーフレーム作成のポイントとベストプラクティス
ユーザー導線を意識した配置
ワイヤーフレームで最も重要なのは、ユーザーがどのように情報を閲覧し、行動するかという導線設計です。効果的な導線を作るための原則を解説します。
Fパターン・Zパターンの活用 人間の視線は一定のパターンで動くことが研究で明らかになっています。テキストが多いページでは「Fパターン」(左上から右へ、次の行へ降りて再び左から右へという F字の動き)、画像が多いページでは「Zパターン」(左上から右上、左下、右下へとZ字に動く)が一般的です。
Fパターンを活かすなら、最も重要な情報を左上に配置し、次に重要な情報を左側に配置します。Zパターンを活かすなら、メインビジュアルを左上、サブメッセージを右上、詳細情報を左下、アクションボタンを右下に配置します。ワイヤーフレームを作成する際は、この視線の流れに沿って要素を配置することで、ユーザーが自然に情報を受け取れます。
CTA配置の最適化 CTA(Call To Action / 行動喚起)は、ユーザーに次の行動を促すボタンやリンクです。効果的なCTA配置のポイントは、ファーストビューに必ず1つ配置すること、長いページでは複数箇所に配置すること(3スクロールごとが目安)、周囲に余白を設けて目立たせること、動詞で行動を明確に示すこと(「詳しく見る」「今すぐ申し込む」など)です。
ワイヤーフレーム段階では、CTAボタンの位置と大きさを明確に示すことが重要です。後のデザイン段階で、色や形状を決定します。ユーザーの視線が自然に向かう位置にCTAがあれば、コンバージョン率は格段に向上します。
情報の階層構造を明確に ユーザーが迷わないためには、情報の階層構造を明確にする必要があります。見出しの大きさ、余白の取り方、グルーピングなどで視覚的に階層を表現します。
ワイヤーフレームでは、H1、H2、H3といった見出しレベルを明確に区別し、関連する情報をまとめて余白で区切ります。カードUIやボックスで囲むことで、情報のまとまりが視覚的に理解しやすくなります。階層が深すぎる(4階層以上)とユーザーが迷うため、可能な限りシンプルな構造を目指しましょう。
レスポンシブデザイン対応
現代のWebサイトは、PC、タブレット、スマートフォンなど様々なデバイスで閲覧されます。ワイヤーフレーム段階からレスポンシブ対応を考慮することが重要です。
ブレークポイントの設定 レスポンシブデザインでは、画面幅に応じてレイアウトを切り替える「ブレークポイント」を設定します。一般的なブレークポイントは、スマートフォン(〜767px)、タブレット(768px〜1023px)、デスクトップ(1024px〜)の3段階です。
ワイヤーフレーム作成では、少なくともスマートフォン版とデスクトップ版の2パターンを作成することをおすすめします。タブレットはスマートフォンの拡張版として対応するか、デスクトップの縮小版として対応するかを決めます。
各ブレークポイントで、どの要素を表示し、どの要素を非表示にするか、またはどのようにレイアウトを変更するかをワイヤーフレームで明確にします。例えば、PCでは横並びのメニューをスマホではハンバーガーメニューにする、PC版の3カラムレイアウトをスマホでは1カラムに変更する、などです。
モバイルファーストの考え方 近年の主流は「モバイルファースト」、つまりスマートフォン版から設計し、それを拡張してデスクトップ版を作るアプローチです。この方法には3つのメリットがあります。
第一に、限られた画面サイズで本当に必要な要素を厳選できます。すべての情報をスマホに詰め込むことはできないため、優先順位を明確にする必要があります。第二に、モバイルユーザーの体験を最優先できます。多くのサイトでモバイル経由のアクセスが半数を超える現在、モバイル体験の質がビジネスに直結します。第三に、パフォーマンスの最適化につながります。モバイルを基準に設計すると、軽量で高速なサイトになります。
ワイヤーフレーム作成では、まずスマートフォン版(375px幅が標準)を作り、次にデスクトップ版(1920px幅が標準)へ拡張します。スマホ版で確立した情報の優先順位を維持しつつ、デスクトップの広い画面を活かした追加情報や機能を配置します。
レスポンシブ対応のチェックポイント ワイヤーフレーム完成後、以下の点を確認しましょう。テキストがすべてのデバイスで読みやすいサイズか(スマホで最小16px推奨)、タッチ操作に適したボタンサイズか(最小44×44px推奨)、スクロールなしで重要な情報が見えるか、画像や動画が各デバイスで適切に表示されるかです。
これらの確認を経て、すべてのユーザーに快適な体験を提供できるワイヤーフレームが完成します。
情報設計(IA)との連携
ワイヤーフレームは、情報設計(IA: Information Architecture)という上流工程と密接に連携します。IAで決定したサイト構造を、ワイヤーフレームで具体的なレイアウトに落とし込む流れを解説します。
サイトマップからワイヤーフレームへの落とし込み 情報設計の最初のステップは、サイトマップの作成です。サイトマップはサイト全体のページ構成を階層構造で表したもので、「トップページ→カテゴリーページ→詳細ページ」といった親子関係を示します。
ワイヤーフレーム作成では、このサイトマップに基づいて各ページタイプのレイアウトを設計します。すべてのページを個別に作る必要はなく、「トップページ」「カテゴリーページ」「詳細ページ」「お問い合わせページ」など、主要なページタイプのワイヤーフレームを作成します。
同じページタイプは同じワイヤーフレームを流用できるため、効率的に進められます。例えば、「商品A詳細ページ」と「商品B詳細ページ」は同じワイヤーフレームを使い、コンテンツだけを差し替えます。
ナビゲーション設計の重要性 ユーザーがサイト内を迷わず移動できるよう、ナビゲーションの設計が重要です。ワイヤーフレームでは、グローバルナビゲーション(サイト全体で共通のメニュー)、ローカルナビゲーション(セクション内のメニュー)、パンくずリスト(現在位置を示すナビゲーション)、フッターナビゲーション(ページ下部のリンク集)を明確に配置します。
特にグローバルナビゲーションは、ユーザーがどのページからでも主要コンテンツにアクセスできる重要な要素です。7±2項目(5〜9項目)以内に収めることが、認知負荷を下げるポイントです。項目が多い場合は、ドロップダウンメニューやメガメニューで階層化します。
コンテンツの優先順位付け ワイヤーフレームで表現すべきもう一つの重要な要素が、コンテンツの優先順位です。すべての情報を同じ扱いにすると、ユーザーは何が重要か判断できません。
情報設計の段階で、ビジネスゴールとユーザーニーズの両面から優先順位を決定します。ワイヤーフレームでは、この優先順位を視覚的に表現します。高優先度の情報は、画面上部に配置、サイズを大きくする、余白を多く取って目立たせる、などの手法を使います。
例えばECサイトの商品詳細ページなら、商品画像と価格が最優先、次に商品説明とスペック、その次にレビューと関連商品、という優先順位になります。この順序でページ上部から配置することで、ユーザーが必要な情報を効率よく得られます。
情報設計とワイヤーフレームが適切に連携することで、使いやすく目的達成しやすいWebサイトの基盤が完成します。
ワイヤーフレームからプロトタイプへの発展
ツール別のプロトタイプ機能
ワイヤーフレームが承認されたら、次は動きのあるプロトタイプを作成します。プロトタイプは実際のWebサイトのように操作でき、ユーザー体験を事前に検証できる重要なステップです。
Figma: Auto Layout、インタラクション Figmaのプロトタイプ機能は、業界トップクラスの充実度です。最も革新的な機能が「Auto Layout」で、コンテンツ量に応じて自動的にサイズが調整されるフレームを作成できます。
Auto Layoutの設定方法は、フレームを選択して右パネルの「+」ボタンから「Auto Layout」を追加します。Paddingで内側の余白、Gapで要素間の間隔を設定します。これにより、テキストが増減しても自動的にレイアウトが調整されるため、レスポンシブデザインの実装が容易になります。
インタラクション機能では、画面遷移やアニメーションを設定できます。右パネルの「Prototype」タブで、要素から次の画面へドラッグし、「On Click」などのトリガーと「Navigate to」などのアクションを設定します。「Dissolve」や「Slide in」などのトランジション効果も選べ、よりリアルなプロトタイプが作成できます。
Smart Animate機能を使えば、同じ名前の要素間で自動的にアニメーションが生成されます。例えば、ボタンの色変化やメニューの開閉など、細かなインタラクションを簡単に実装できます。
Adobe XD: トランジション設定 Adobe XDもプロトタイプ機能が充実しています。画面遷移のトランジションは、「Dissolve(フェード)」「Slide(スライド)」「Push(プッシュ)」「Auto-Animate(自動アニメーション)」の4タイプから選べます。
Auto-Animate機能は、2つのアートボード間で同じ名前の要素を自動的にアニメーション化します。位置、サイズ、色、透明度などの変化がスムーズにアニメーションされるため、洗練されたマイクロインタラクションを簡単に作れます。
Adobe XDの独自機能として、音声プロトタイプがあります。音声コマンドでの操作を想定したプロトタイプを作成でき、音声UIの設計に役立ちます。また、ビデオオーバーレイ機能で動画を再生するインタラクションも実装できます。
プロトタイプ作成のベストプラクティス 効果的なプロトタイプを作るポイントは、目的を明確にすること(導線検証なのか、操作感の確認なのか)、主要な画面遷移に絞ること(すべてのページを作る必要はない)、実際のコンテンツを使うこと(ダミーテキストでは検証の精度が下がる)です。
また、プロトタイプは関係者との認識合わせにも有効です。静的なワイヤーフレームでは伝わりにくい操作感や画面遷移を、プロトタイプで実際に体験してもらうことで、より正確なフィードバックが得られます。
エンジニアへの引き継ぎ方法
ワイヤーフレームやプロトタイプが完成したら、次は開発フェーズです。デザイナーからエンジニアへスムーズに引き継ぐための方法を解説します。
仕様書との紐付け ワイヤーフレームと仕様書は別々に存在するのではなく、相互に参照できる状態が理想です。Figmaのコメント機能を使って、各要素に仕様を直接記載する方法が効果的です。
例えば、ボタン要素に「クリック時のアクション: お問い合わせフォームへ遷移、バリデーション: メールアドレス必須」といったコメントを残します。また、Confluenceやnotion などのドキュメントツールに仕様書を作成し、各項目にFigmaのリンクを貼ることで、双方向の参照が可能になります。
重要なのは、エンジニアが迷わないよう、以下の情報を明確にすることです。画面遷移のパターン(どのボタンでどのページに移動するか)、フォームのバリデーションルール(必須項目、入力形式など)、エラー時の表示内容、ローディング中の表示、レスポンシブ時の挙動(どの画面サイズで何を表示するか)。
コンポーネント単位での整理 エンジニアが実装しやすいよう、ワイヤーフレームをコンポーネント単位で整理します。「ヘッダー」「フッター」「カードUI」「ボタン」「フォーム」など、再利用可能な部品ごとに分けることで、開発の効率が上がります。
Figmaのコンポーネント機能を使えば、一つのマスターコンポーネントを修正すると、すべてのインスタンスに反映されます。エンジニアも同様に、一つのコンポーネントを実装すれば複数のページで再利用できるため、開発工数が削減されます。
コンポーネントのバリエーション(状態)も明記しましょう。ボタンなら「通常」「ホバー」「押下中」「無効化」などの状態を用意します。フォーム要素なら「未入力」「入力中」「エラー」「成功」などの状態を示します。
デザインシステムの構築 中長期的なプロジェクトでは、デザインシステムの構築をおすすめします。デザインシステムとは、UIコンポーネント、カラーパレット、タイポグラフィ、余白のルールなどを統一的に管理する仕組みです。
Figmaではライブラリ機能を使って、プロジェクト間で共通のコンポーネントを共有できます。エンジニア側でも、React ComponentやVue Componentとして実装することで、デザインと開発の一貫性が保たれます。
デザインシステムがあれば、新しいページを追加する際も既存のコンポーネントを組み合わせるだけで済み、デザインとコードの両方で効率化が実現します。また、ブランドの一貫性も保ちやすくなります。
引き継ぎミーティングの実施 最後に、デザイナーとエンジニアが直接コミュニケーションを取る引き継ぎミーティングを開催しましょう。ワイヤーフレームやプロトタイプを画面共有しながら、意図や注意点を説明します。
このミーティングで確認すべき項目は、全体の画面遷移フロー、複雑なインタラクションの実装方法、技術的に実装困難な箇所の代替案、優先順位(どの機能から実装するか)、スケジュールと各マイルストーンです。
エンジニアからの質問や懸念点もこの場で解決することで、開発中の手戻りを減らせます。また、実装困難な部分は早期に発見し、デザインの調整を行うことで、プロジェクト全体の円滑な進行につながります。
よくある質問(FAQ)
ワイヤーフレームとモックアップの違いは?
ワイヤーフレームとモックアップは、どちらもWebサイトやアプリの設計段階で使われる成果物ですが、役割と詳細度が大きく異なります。両者の違いを正しく理解することで、適切な制作プロセスを選択できます。
ワイヤーフレームの特徴 ワイヤーフレームは、情報の配置と構造を示す設計図です。基本的にグレースケール(白黒やグレー)で表現され、色やフォント、画像などのビジュアル要素は含まれません。目的は、どこに何の情報を配置するか、ユーザーがどのように操作するかといった構造の検討です。
作成するタイミングは、プロジェクトの初期段階で、デザイン工程に入る前です。制作時間は比較的短く、1ページあたり30分〜2時間程度で作成できます。変更も容易なため、試行錯誤しながら最適な構造を見つけられます。
モックアップの特徴 モックアップは、実際のデザインに近い見た目を持つ静的な完成イメージです。実際の色、フォント、画像、アイコンなどすべてのビジュアル要素が含まれます。目的は、最終的な見た目の確認とクライアントへのプレゼンテーションです。
作成するタイミングは、ワイヤーフレームが承認された後のデザイン工程です。制作時間はワイヤーフレームより長く、1ページあたり数時間〜1日かかることもあります。この段階での大幅な変更はコストが高いため、慎重に進めます。
制作プロセスにおける位置づけ 理想的な制作フローは、「1. 情報設計・サイトマップ作成 → 2. ワイヤーフレーム作成 → 3. ワイヤーフレーム承認 → 4. ビジュアルデザイン・モックアップ作成 → 5. モックアップ承認 → 6. プロトタイプ作成 → 7. 開発」という流れです。
ワイヤーフレームで構造を固めてからデザインに入ることで、手戻りを最小限に抑えられます。逆に、最初からモックアップを作り始めると、構造の問題が後から見つかった場合、デザインを全面的にやり直す必要が生じます。
どちらを使うべきか 小規模プロジェクトや予算が限られている場合は、ワイヤーフレームを簡略化してモックアップから始めることもあります。しかし、中規模以上のプロジェクトでは、ワイヤーフレームとモックアップの両方を作成することを強くおすすめします。
初期段階でしっかりと構造を検討することが、最終的に高品質なWebサイトを効率的に作る鍵となります。
無料プランでどこまで使える?
ワイヤーフレーム作成ツールの無料プランは、個人利用や小規模プロジェクトには十分な機能を備えています。主要ツールの無料プラン範囲を詳しく解説します。
Figmaの無料プラン Figmaの無料プラン(Starterプラン)は、個人や小規模チームなら十分実用的です。具体的な制限は、デザインファイル数は無制限、プロジェクト数は3つまで、編集者は1アカウントのみ、バージョン履歴は30日間、共同編集者は無制限に招待可能(閲覧・コメントのみ)です。
つまり、自分一人で編集する限り、ほぼ無制限に使えます。チームメンバーやクライアントは、閲覧とコメントは自由にできるため、フィードバック収集には問題ありません。プロジェクト数の制限(3つ)も、完了したプロジェクトをアーカイブすれば実質的には無制限です。
制作会社や大規模チームで、複数人が同時に編集する必要がある場合のみ、有料プラン(Professional: 月額$15/編集者)が必要になります。
Canvaの無料プラン Canvaの無料プランは非常に寛大で、25万点以上のテンプレートと素材が使用可能、クラウドストレージ5GBまで、チームメンバー招待は無制限、商用利用も可能です。
制限されるのは、プレミアムテンプレートや素材(王冠マークがついているもの)、背景リムーバーなどのAI機能、ブランドキット(ロゴやカラーパレットの一元管理)、リサイズ機能などです。しかし、ワイヤーフレーム作成においては、無料素材だけで十分対応できます。
Miroの無料プラン Miroの無料プランは、ボード数は3つまで、チームメンバーは無制限に招待可能、基本的な図形・付箋・コネクターは使い放題、テンプレートライブラリにアクセス可能です。
ボード数の制限が最大のネックですが、一つのボードに複数のワイヤーフレームを配置できるため、工夫次第で十分使えます。プロジェクトが完了したらボードを削除すれば、新しいプロジェクトに使えます。
無料プランの賢い使い方 複数のツールを組み合わせることで、無料範囲でほぼすべての作業が完結します。例えば、初期のアイデア出しはMiro(無料)、詳細なワイヤーフレーム作成はFigma(無料)、クライアント向けのプレゼン資料はCanva(無料)という使い分けです。
また、学生や教育機関には無料の教育プランを提供しているツールも多いため、該当する方は申請してみる価値があります。Figmaの教育プランは、Pro機能がすべて無料で使えます。
結論として、個人や小規模チームのワイヤーフレーム作成においては、無料プランだけで十分にプロフェッショナルな成果物を作成できます。
商用利用は可能?
ワイヤーフレームテンプレートを商用プロジェクトで使用する際、ライセンスの確認は必須です。無料テンプレートでも商用利用の可否はツールやテンプレートによって異なります。
主要ツールの商用利用ポリシー Figma Communityのテンプレートは、多くが商用利用可能です。各テンプレートのページに「License」の記載があり、「Free for commercial use」または「CC BY 4.0」などのライセンスが明記されています。ただし、一部のテンプレートは「Personal use only」(個人利用のみ)の場合もあるため、必ず確認が必要です。
Canvaの無料素材は、無料プランでも商用利用が可能です。ただし、Canvaで作成したデザインを「そのまま再販」することは禁止されています。つまり、クライアントのWebサイト制作に使う分には問題ありませんが、Canvaのテンプレートを別の場所で販売することはできません。
Miroのテンプレートも商用利用可能です。Miro上で作成したワイヤーフレームをクライアントワークに使用することに制限はありません。
テンプレートのライセンス種類 一般的なライセンス形態を理解しておくと安心です。
CC0(パブリックドメイン)は、著作権を放棄しており、商用利用・改変・再配布すべて自由です。 CC BY(クリエイティブ・コモンズ 表示)は、作者名を表示すれば商用利用・改変可能です。 MIT Licenseは、ソフトウェア向けのライセンスで、商用利用・改変・再配布が自由です。 Personal Use Onlyは、個人的な用途のみで、商用利用不可です。
商用利用時の注意点 テンプレートを使用する際は、以下のポイントを守りましょう。
ライセンス表記の確認は、テンプレートをダウンロードする前に必ず行います。カスタマイズの実施では、テンプレートをそのまま使うのではなく、プロジェクトに合わせてカスタマイズします。クレジット表記は、CC BYなど表示が必要なライセンスの場合、適切にクレジットを記載します(通常、フッターや仕様書に記載)。再配布の禁止として、テンプレート自体を第三者に販売・配布することは避けます。
安全に商用利用するために 最も安全な方法は、明確に「商用利用可能」と記載されているテンプレートのみを使用することです。不明な場合は、テンプレート作成者に直接問い合わせるか、別のテンプレートを探すことをおすすめします。
また、企業でのプロジェクトの場合は、有料プランに移行することで、商用利用に関するサポートやライセンスの明確化が得られます。FigmaやAdobe XDの有料プランは、商用利用に関する懸念を完全に解消できます。
結論として、無料テンプレートでも多くは商用利用可能ですが、必ずライセンスを確認し、適切に使用することが重要です。
スマホアプリでも作成できる?
ワイヤーフレーム作成は従来デスクトップPCで行うのが一般的でしたが、近年はスマートフォンやタブレットでも作成可能なツールが増えています。移動中や外出先でもアイデアを形にできる利便性がありますが、制約も理解しておく必要があります。
スマホ対応している主要ツール Figmaは、iOS・Androidの両方でアプリを提供しています。スマホアプリでは閲覧とコメント機能が中心ですが、簡単な編集も可能です。タブレット(iPadなど)ならより本格的な編集作業ができます。ただし、複雑なレイアウト調整や細かな作業はデスクトップの方が効率的です。
Canvaも iOS・Androidアプリがあり、テンプレートの検索、選択、編集がすべてスマホで完結します。直感的なタッチ操作に最適化されており、初心者でも扱いやすいのが特徴です。ワイヤーフレームのような比較的シンプルなデザインなら、スマホだけで十分作成できます。
Miroもモバイルアプリを提供しており、ホワイトボード上での図形配置や付箋の追加がタッチ操作で行えます。チームメンバーとのリアルタイムコラボレーションもスマホから可能です。
スマホでの作成に適した作業 スマホやタブレットでのワイヤーフレーム作成は、以下のような用途に適しています。
アイデアスケッチとして、打ち合わせ中や移動中に思いついたレイアウト案を素早く形にする、簡易的なワイヤーフレームの作成で、テンプレートをベースに簡単なカスタマイズを行う、レビューとフィードバックとして、作成済みのワイヤーフレームを確認し、コメントを残す、クライアントプレゼンで、タブレットを使ってワイヤーフレームを見せながら説明する場合です。
スマホでの制約と対策 一方で、スマホでの作成には制約もあります。
画面サイズが小さく、全体像の把握が難しいです。対策として、タブレット(iPad Proなど)を使用するか、重要な編集作業はデスクトップで行います。細かな操作がしにくく、ピクセル単位の調整や複雑なレイアウトが困難です。対策は、大まかなレイアウトをスマホで作り、詳細調整はデスクトップで行います。ショートカットキーが使えないため、作業効率がデスクトップより劣ります。対策として、よく使う操作を覚え、タッチ操作に慣れることで効率を上げます。
ハイブリッドな作業スタイル 最も効率的なのは、スマホとデスクトップを使い分けるハイブリッドな作業スタイルです。外出先や移動中にスマホでアイデアを形にし、オフィスや自宅でデスクトップで詳細を詰める、という流れなら、時間を有効活用できます。
クラウド同期により、スマホで作成したファイルがそのままデスクトップで開けるため、シームレスに作業を継続できます。Figma、Canva、Miroはすべてリアルタイム同期に対応しているため、デバイス間の切り替えがスムーズです。
結論として、スマホでもワイヤーフレーム作成は可能ですが、本格的な制作にはデスクトップが依然として最適です。用途に応じて使い分けることで、柔軟で効率的な制作環境を構築できます。
エクセルやパワポでも代用できる?
専門ツールを使わずに、ExcelやPowerPointでワイヤーフレームを作成することは可能です。実際、多くの制作現場で今でもOfficeソフトが使われています。メリットとデメリットを理解した上で、適切に選択しましょう。
ExcelやPowerPointを使うメリット 最大のメリットは、追加コストが不要な点です。多くの企業や個人がすでにMicrosoft Officeを所有しているため、新しいツールの導入費用がかかりません。また、操作に慣れている人が多く、学習コストも低いです。
社内共有も容易で、ExcelやPowerPointのファイルなら誰でも開けるため、クライアントや上司への共有がスムーズです。専門ツールの場合、相手もそのツールを持っている必要がありますが、Officeソフトならその心配がありません。
オフライン作業が可能な点も利点です。インターネット接続が不安定な環境でも作業でき、セキュリティが厳しい企業でもクラウドツールより導入しやすい場合があります。
ExcelやPowerPointを使うデメリット 一方で、専門ツールと比べると機能面で劣る部分があります。
UI要素のライブラリが少なく、ボタンやフォームなどの標準的なUI要素を一から作る必要があり、時間がかかります。レスポンシブ対応が難しく、PC版とスマホ版を別々に作る必要があり、一貫性を保つのが困難です。プロトタイプ機能がないため、画面遷移やインタラクションを表現できず、静的な設計図にとどまります。バージョン管理が煩雑で、ファイル名に日付やバージョン番号を付けて管理する必要があり、変更履歴の追跡が面倒です。
Excelでのワイヤーフレーム作成方法 Excelを使う場合、セルを方眼紙のように使ってレイアウトを作ります。手順は以下の通りです。
すべてのセルの行高と列幅を同じサイズに設定します(例: 行高15、列幅2)、セルを結合して大きな領域を作り、そこにテキストや図形を配置します、図形機能で四角形や線を挿入し、ボタンやフォームを表現します、セルの背景色を変えて、エリアを視覚的に区別します。
Excelのメリットは、細かなピクセル調整がしやすく、テーブル形式のコンテンツ(価格表や仕様表など)を表現しやすい点です。
PowerPointでのワイヤーフレーム作成方法 PowerPointは、Excelより視覚的なレイアウトに適しています。
スライドサイズをWebページサイズに設定します(例: ワイド画面 16:9)、図形機能で四角形、線、テキストボックスを配置します、スライドマスター機能で共通要素(ヘッダー、フッター)を定義します、複数のスライドで画面遷移を表現します。
PowerPointのメリットは、ビジュアル的に美しいプレゼン資料が作りやすく、クライアントへの提案時に効果的です。アニメーション機能を使えば、簡易的なインタラクションも表現できます。
いつOfficeソフトを選ぶべきか 以下のような状況では、ExcelやPowerPointが適しています。
短期間の小規模プロジェクトで、専門ツールを導入する余裕がない、クライアントや上司がITツールに不慣れで、見慣れたOfficeソフトの方が安心、社内規定でクラウドツールの使用が制限されている、予算が限られており、追加コストをかけられない場合です。
ただし、中長期的にWeb制作に携わるなら、FigmaやAdobe XDなどの専門ツールを学ぶことを強くおすすめします。初期の学習コストは高いですが、長期的には圧倒的に効率的です。
結論として、ExcelやPowerPointでもワイヤーフレームは作成できますが、専門ツールの方が効率的で高機能です。プロジェクトの規模や状況に応じて、最適なツールを選択しましょう。
ワイヤーフレームは何画面分作るべき?
ワイヤーフレームを作成する画面数は、プロジェクトの規模や目的によって異なります。すべてのページを作る必要はなく、戦略的に選択することが効率化の鍵です。
基本的な考え方: ページタイプで分類 すべてのページを個別に作るのではなく、「ページタイプ」ごとにワイヤーフレームを作成します。ページタイプとは、同じレイアウト構造を持つページのグループです。
例えば、ECサイトなら以下のページタイプが考えられます。トップページ(1画面)、カテゴリー一覧ページ(1画面、すべてのカテゴリーで流用)、商品詳細ページ(1画面、すべての商品で流用)、カートページ(1画面)、お問い合わせページ(1画面)、会社概要ページ(1画面)。
この場合、6画面のワイヤーフレームを作れば、サイト全体の構造を表現できます。商品が100個あっても、商品詳細ページのワイヤーフレームは1つで十分です。
プロジェクト規模別の推奨画面数 小規模サイト(5〜10ページ程度)は、3〜5画面のワイヤーフレームが目安です。トップページ、サービス紹介ページ、お問い合わせページなど、主要ページのみ作成します。
中規模サイト(10〜50ページ程度)は、5〜10画面のワイヤーフレームが目安です。主要なページタイプをすべてカバーし、レスポンシブ対応も考慮します。
大規模サイト(50ページ以上)は、10〜20画面のワイヤーフレームが目安です。複雑な機能ごとにワイヤーフレームを作成し、ユーザーフローも詳細に設計します。
優先的に作成すべき画面 限られた時間で効率的に進めるには、以下の画面を優先的に作成しましょう。
トップページは、サイトの顔となるページで、全体のデザイントーンを決定します。コンバージョンポイントとなるページとして、商品購入ページ、お問い合わせページ、会員登録ページなど、ビジネスゴールに直結するページです。ユーザーが最も閲覧するページで、アクセス解析データがあれば、上位3〜5ページを優先します。複雑な機能を持つページとして、検索機能、フィルタリング、フォーム入力など、技術的に複雑なページは詳細なワイヤーフレームが必要です。
レスポンシブ対応の画面数 PC版とスマホ版の両方を作る必要があるかは、プロジェクトによります。
最低限必要なのは、主要な2〜3ページのレスポンシブ版です。トップページ、商品詳細ページなど、最も重要なページはPC・スマホ両方のワイヤーフレームを作成します。
その他のページは、「スマホではPC版のレイアウトを縦に並べる」などの原則を決めておけば、個別にワイヤーフレームを作らなくても対応できます。
時間がない場合の効率化 予算や時間が限られている場合の優先順位は以下の通りです。
最優先: トップページとコンバージョンページ、優先: よくアクセスされるページ、可能なら: その他のページタイプ、省略可能: 似たレイアウトのページ(ニュース記事ページなど)です。
また、ローファイワイヤーフレーム(簡易版)で全体を把握し、重要なページのみハイファイワイヤーフレーム(詳細版)を作成する方法も効率的です。
結論: 柔軟に判断する 画面数に絶対的な正解はありません。プロジェクトの規模、予算、期間、チームの経験値によって最適な画面数は変わります。
重要なのは、「なぜこの画面のワイヤーフレームが必要なのか」を常に考え、効率と品質のバランスを取ることです。すべてを完璧に作ろうとするより、重要な部分に集中して高品質に仕上げる方が、プロジェクト全体の成功につながります。
クライアントへの提出形式は?(PDF/PNG推奨)
ワイヤーフレームをクライアントに提出する際、適切なファイル形式を選ぶことで、スムーズなレビューとフィードバックが可能になります。一般的にはPDFまたはPNG形式が推奨されますが、状況に応じて最適な形式を選びましょう。
PDF形式のメリットと使い方 PDFは、ワイヤーフレーム提出の最も一般的な形式です。主なメリットは、どのデバイスでも確実に開けること(Windows、Mac、スマホ、タブレットすべてで表示可能)、レイアウトが崩れないこと(作成時の見た目がそのまま保持される)、複数ページを一つのファイルにまとめられること、ページ間のリンクやしおり機能が使えること(目次から各ページへジャンプ可能)、印刷品質が高いこと(紙での資料配布にも適している)です。
FigmaからPDF書き出しする方法は、メニューから「File」→「Export」を選択、形式を「PDF」に設定、複数のフレームを選択して一括書き出し、または「Print」機能でPDF保存も可能です。
Adobe XDからの書き出しは、「File」→「Export」→「PDF」を選択、書き出し設定で「All Artboards」または「Selected Artboards」を選択します。
PNG形式のメリットと使い方 PNGは、画像形式でワイヤーフレームを提出する場合に使われます。主なメリットは、画質が劣化しないこと(ロスレス圧縮)、透明背景に対応していること、Webブラウザで直接表示できること、チャットやSlackなどで手軽に共有できることです。
ただし、複数ページがある場合はファイルが分かれてしまうデメリットがあります。対策として、ページごとに番号付きファイル名を付けるか(wireframe_01_top.png、wireframe_02_about.png など)、ZIPファイルにまとめて送付します。
書き出し時の推奨設定は、解像度: 2倍(Retina対応)、背景: 白または透明、ファイル名: 分かりやすい命名規則を使用です。
インタラクティブプロトタイプのリンク共有 より高度な提出方法として、Figma、Adobe XD、Miroなどのツールで生成できる「共有リンク」があります。この方法のメリットは、実際にクリックして画面遷移を体験できること、最新版が自動的に反映されること(ファイル再送不要)、コメント機能で直接フィードバックを受けられることです。
ただし、クライアントがインターネット環境にいる必要があり、セキュリティポリシーが厳しい企業では使えない場合があります。この場合はPDFやPNG形式にフォールバックします。
クライアントのITリテラシーに応じた選択 ITに詳しいクライアントには、インタラクティブプロトタイプのリンク共有が最適です。最新版が自動反映され、効率的にレビューできます。
ITにあまり詳しくないクライアントには、PDF形式が無難です。開くだけで確実に見られ、印刷して紙でレビューすることもできます。
複数の関係者で回覧する場合は、PDFがおすすめです。メールに添付しやすく、社内での転送も容易です。
提出時の工夫とベストプラクティス ファイル名は分かりやすく付けましょう。悪い例: wireframe_final_final_2.pdf、良い例: 20250115_ProjectName_Wireframe_v1.0.pdf
表紙をつけると、プロジェクト名、作成日、バージョン、ページ数などの基本情報を記載した表紙を付けると、クライアントが管理しやすくなります。
目次(しおり)を追加し、PDF内で各ページへジャンプできるしおり機能を活用すると、大規模なワイヤーフレームでもナビゲーションが容易になります。
注釈を付ける場合、各要素の意図や注意点をテキストで記載しておくと、誤解を防げます。特に、インタラクティブな要素(ドロップダウンメニューなど)は、動きを文章で説明します。
まとめ: 推奨される提出形式 一般的な提出形式としては、PDF形式が最も無難で推奨されます。どのクライアントでも確実に開け、レビューしやすい形式です。補助的にPNG形式も用意しておくと、メールやチャットでの部分的な共有がしやすくなります。
可能であれば、インタラクティブプロトタイプのリンクも併せて共有し、実際の操作感を体験してもらうと、より正確なフィードバックが得られます。
クライアントの環境や要望に応じて、柔軟に形式を選択することが、スムーズなプロジェクト進行の鍵となります。
デザインツールの経験がなくても使える?
ワイヤーフレームツールは、デザインツールの経験がなくても十分に使えます。実際、多くのツールは初心者向けの機能を充実させており、デザインの専門知識がなくてもプロフェッショナルなワイヤーフレームを作成できます。
初心者に最も優しいツール: Canva デザイン経験が全くない方には、Canvaが最もおすすめです。理由は、直感的なドラッグ&ドロップ操作で、マウスを動かすだけで要素を配置できること、豊富なテンプレートがあり、選んで少し変更するだけで完成すること、チュートリアルが充実しており、使い方を動画で学べること、日本語の UI・サポートが完備されていることです。
実際の使い方として、テンプレートを選び、「ワイヤーフレーム」で検索して好きなデザインを選択します。テキストを編集し、ダミーテキストを自分のコンテンツに置き換えます。画像を変更し、用意された素材から選ぶか、自分の画像をアップロードします。配置を調整し、ドラッグで要素を移動、サイズ変更します。完成したら、PDFやPNGで書き出します。
これだけの手順で、デザイン経験がなくても30分程度でワイヤーフレームが完成します。
少し本格的に学びたいなら: Figma Canvaより機能が豊富で、将来的にプロを目指すならFigmaがおすすめです。学習曲線はやや急ですが、以下の理由で初心者でも習得可能です。
無料の学習リソースが豊富で、公式チュートリアル動画、日本語解説記事、YouTube講座などが多数あります。コミュニティが活発で、Figma Community で他のデザイナーが作ったファイルを参考にできます。基本操作はシンプルで、「フレーム作成」「図形挿入」「テキスト入力」「配置調整」の4つをマスターすれば最低限使えます。
初心者がFigmaを学ぶステップは以下の通りです。公式チュートリアルの視聴(1〜2時間)、テンプレートをダウンロードして分解・研究(1〜2時間)、簡単なワイヤーフレームを自分で作成(2〜3時間)、チュートリアル動画で応用技術を学習(継続的に)。
合計で5〜10時間程度の学習で、基本的なワイヤーフレームが作れるようになります。
学習を助けるリソース デザインツール初心者が活用すべきリソースを紹介します。
公式チュートリアルとして、Figma公式サイトの「Learn」セクション、Canvaデザインスクールの無料講座、Adobe XD公式チュートリアルがあります。
YouTube学習として、Figmaの使い方を解説する日本語チャンネル、Canva Japan公式チャンネル、個人クリエイターの実践的なチュートリアルが役立ちます。
書籍・オンライン講座では、UdemyやSkillshareのワイヤーフレーム講座、技術書「UIデザインの教科書」などの入門書が参考になります。
デザインセンスは必要ない 重要なポイントとして、ワイヤーフレーム作成に「デザインセンス」や「芸術的才能」は必要ありません。ワイヤーフレームは情報の構造と配置を示すものであり、美しさよりも「使いやすさ」「分かりやすさ」が重要です。
必要なのは、論理的思考力(どこに何を配置すれば伝わりやすいか)、ユーザー視点(使う人の立場に立って考える力)、基本的なツール操作(ドラッグ&ドロップ、コピー&ペースト程度)です。
これらは、デザインの経験がなくても誰でも身につけられるスキルです。
実践的なアドバイス 初心者が挫折しないためのアドバイスは以下の通りです。
完璧を目指さないこと。最初から完璧なワイヤーフレームを作ろうとせず、まずは手を動かして作ってみることが重要です。失敗から学ぶことで、上達が早まります。
テンプレートを徹底活用すること。自分でゼロから考えるのではなく、優れたテンプレートを研究し、真似することから始めましょう。プロの構造を学ぶことが最も効率的な学習方法です。
小さく始めること。最初は1ページだけ、シンプルな構成から始めましょう。慣れてきたら徐々に複雑なレイアウトに挑戦します。
フィードバックを求めること。作ったワイヤーフレームを同僚や友人に見てもらい、意見をもらいましょう。他者の視点が、自分では気づかない改善点を教えてくれます。
結論: 誰でも使えます 結論として、デザインツールの経験がなくても、ワイヤーフレームツールは十分に使えます。Canvaなら今日からすぐに始められますし、Figmaも数時間の学習で基本操作をマスターできます。
重要なのは、「難しそう」という先入観を捨て、まずは手を動かしてみることです。最初の一歩を踏み出せば、思ったより簡単だと気づくはずです。
まとめ:目的に合ったワイヤーフレームテンプレートを選ぼう
ワイヤーフレームテンプレートは、Web制作の効率を格段に向上させる強力なツールです。この記事で解説したポイントを振り返りながら、次のステップに進みましょう。
ツール別の最終おすすめ 初心者やデザイン未経験者には、Canvaを強くおすすめします。直感的な操作で今日からすぐに始められ、豊富なテンプレートが制作をサポートします。視覚的に美しい成果物をクライアントに提示したい場合にも最適です。
中級者やチーム開発では、Figmaが業界標準となっています。無料プランでも十分な機能があり、プロトタイプ作成まで一貫して行えます。共同編集機能により、離れた場所のメンバーともスムーズに作業できます。将来的にUIデザインやプロトタイピングまで学びたい方にも最適な選択です。
チーム向けコラボレーションを重視するなら、Miroが最強です。ホワイトボード感覚でアイデア出しからワイヤーフレーム作成まで、一つのボード上で完結できます。リモートワークでのブレインストーミングにも威力を発揮します。
まずは無料で試してみる重要性 どのツールが自分に合うかは、実際に使ってみないと分かりません。幸いなことに、Figma、Canva、Miroはすべて無料プランを提供しているため、リスクなく試せます。
おすすめの試し方は、同じワイヤーフレームを3つのツールでそれぞれ作成してみることです。操作性、テンプレートの質、書き出し機能などを比較することで、自分の作業スタイルに最も合ったツールが見つかります。
重要なのは、「とりあえず始めてみる」ことです。完璧なツール選びに時間をかけるより、まず手を動かして作ってみることで、実践的なスキルが身につきます。
次のステップ: デザインツール習得、UI/UX学習への導線 ワイヤーフレーム作成に慣れてきたら、次のステップに進みましょう。
デザインツールの本格的な習得として、Figmaの高度な機能(Auto Layout、コンポーネント、バリアント)を学ぶ、Adobe XDでアニメーションやプロトタイピングを実践する、Sketchでデザインシステムを構築するなどが次の目標です。
UI/UXデザインの理論学習として、ユーザーリサーチとペルソナ設定の方法、情報アーキテクチャ(IA)の基礎理論、ビジュアルデザインの原則(色彩、タイポグラフィ、レイアウト)、ユーザビリティテストの実施方法を学ぶことで、より高度な設計ができるようになります。
実践的なポートフォリオ構築として、架空のプロジェクトでワイヤーフレームからデザインまで一貫制作、実際のクライアントワークでの事例蓄積、Behance やDribbble での作品公開を通じて、プロフェッショナルとしての道が開けます。
最後に ワイヤーフレームテンプレートは、あくまでスタート地点です。テンプレートを活用しながら、自分の設計力とデザインスキルを磨き続けることが重要です。
この記事で紹介した無料テンプレートとツールを使えば、今日からプロレベルのワイヤーフレーム作成が可能です。ユーザーにとって使いやすく、ビジネスゴールを達成できるWebサイトを設計する第一歩を、今すぐ踏み出しましょう。
成功するWeb制作の鍵は、優れたワイヤーフレームから始まります。あなたのプロジェクトが成功することを願っています。
関連記事
【初心者向け】ワイヤーフレームとは?作り方やツール、実例を徹底解説【2025年最新版】