Google Analytics 360とは?GA4との違いや料金・機能を徹底解説【2026年最新版】

「Googleアナリティクスの有料版であるGoogle Analytics 360について詳しく知りたい」「無料版のGA4との違いがわからない」とお悩みではありませんか?

Google Analytics 360(GA360)は、大規模サイトや企業向けに開発された有料版のアクセス解析ツールです。無料版のGA4と比較して、データ処理能力やサポート体制が大幅に強化されており、月間数億ヒットを超える大量データの分析にも対応できます。

この記事では、GA360の基本機能からGA4との詳細な違い、料金体系、導入メリット、具体的な活用事例まで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。GA360の導入を検討している方や、自社に本当に必要かを判断したい方は、ぜひ最後までご覧ください。


目次

Google Analytics 360(GA360)とは何か?基本概要

GA360の定義と位置づけ

Google Analytics 360(GA360)は、Googleが提供するアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」の有料エンタープライズ版です。

無料版のGoogle Analytics 4(GA4)と比較して、データ処理能力やサポート体制が大幅に強化されており、大規模サイトや企業向けに設計されています。以前は「Googleアナリティクス プレミアム」という名称でしたが、2016年に「Google Analytics 360」へと名称変更されました。

GA360は、Google Marketing Platformの中核製品として位置づけられており、Display & Video 360やSearch Ads 360などの広告プラットフォームとシームレスに連携できます。大企業やECサイト、メディアサイトなど、月間数億ヒットを超える大量のアクセスデータを扱う企業にとって、正確なデータ分析を実現するための強力なソリューションとなっています。

無料版のGA4では制限されている機能が大幅に解放されており、非サンプリングレポートや高度なデータ統合、専任サポートチームによる手厚いサポートなど、エンタープライズレベルのニーズに対応した機能が提供されています。


GA360の開発背景と歴史

GA360は、大規模サイトや企業が抱えるデータ分析の課題を解決するために開発されました。

無料版のGoogleアナリティクスは、個人サイトや中小企業にとっては十分な機能を備えていますが、月間数千万〜数億PVを超える大規模サイトでは、データ処理の上限やサンプリングの問題により、正確な分析ができないという課題がありました。

このような背景から、Googleは2011年に「Googleアナリティクス プレミアム」として有料版をリリースしました。その後、2016年にGoogle Marketing Platformの一部として「Google Analytics 360」へと統合され、現在に至ります。

従来はUniversal Analytics(UA)ベースのGA360が主流でしたが、2020年にGoogle Analytics 4(GA4)が正式リリースされ、2024年7月1日にUA版のGA360はサポートを終了しました。現在は、GA4をベースとしたGA360が提供されており、イベントベースの計測やAIを活用した予測分析など、次世代のアナリティクス機能を利用できるようになっています。


どのような企業に必要なツールなのか

GA360は、月間PV数が1,000万以上の大規模サイトや、正確なデータ分析が事業成長に直結する企業に適しています。

具体的には、以下のような企業がGA360の導入を検討すべきです。

  • 大規模ECサイト: 日々大量のトランザクションデータが発生し、サンプリングなしの正確なデータが必要
  • メディアサイト: 月間数千万PVを超えるアクセスがあり、コンテンツ戦略や広告収益の最適化が重要
  • SaaS企業: 複雑なカスタマージャーニーを追跡し、チャーン率の改善やLTV向上が求められる
  • B2B企業: 長期間の購買プロセスを正確に追跡し、リード育成や商談化率の向上が必要

また、以下のような特徴を持つ企業にも向いています。

企業の特徴詳細
データドリブン文化データに基づいた意思決定を重視している
専任アナリストチームデータ分析の専門チームが社内に存在する
BigQuery活用データウェアハウスを構築し、高度な分析を行う
マルチチャネル展開Web、アプリ、オフライン店舗など複数チャネルを統合分析

一方で、月間PV数が100万以下の中小サイトや、基本的なアクセス分析のみで十分な企業には、無料版のGA4で十分対応可能です。GA360は年間数百万円〜数千万円のコストがかかるため、費用対効果を慎重に検討する必要があります。


Google Analytics 360とGA4(無料版)の違いを徹底比較

比較表で一目瞭然!主要な違い

GA360と無料版のGA4では、データ処理能力、機能制限、サポート体制において大きな違いがあります。

以下の比較表で、主要な違いを確認しましょう。

項目GA4(無料版)GA360(有料版)
月間イベント数上限約1,000万イベント25億イベント以上(カスタマイズ可能)
データ保持期間最大14ヶ月最大50ヶ月(カスタマイズ可能)
サンプリング大量データで発生非サンプリングレポート対応
BigQueryエクスポート1日100万イベントまで1日数十億イベント対応
サポート体制コミュニティサポートのみ専任アカウントマネージャー
SLA(稼働率保証)なし99.9%保証
Salesforce連携非対応対応
ロールベースアクセス基本機能のみ高度なカスタマイズ可能
料金無料年間約2,000万円〜(変動制)

この表から分かるように、GA360は無料版と比較して、データ処理能力とサポート体制が圧倒的に優れています。特に、大量データを扱う企業にとって、サンプリングなしの正確なレポートが取得できる点は大きなメリットです。


データ処理能力の違い

GA360の最大の特徴は、無料版をはるかに超えるデータ処理能力です。

無料版のGA4では、月間イベント数が約1,000万イベントを超えると、データ処理に制限がかかる場合があります。一方、GA360では月間25億イベント以上の処理が可能で、さらに必要に応じてカスタマイズすることもできます。

イベント数とは、ページビュー、ボタンクリック、フォーム送信、動画再生など、ユーザーの行動すべてを指します。そのため、イベントトラッキングを多用するサイトでは、想定以上に早く上限に達することがあります。

サンプリングの有無による影響

無料版のGA4では、大量のデータを分析する際に「サンプリング」が発生します。サンプリングとは、全データの一部のみを抽出して分析する手法で、処理速度を高める代わりに精度が低下します。

例えば、100万件のデータがある場合、無料版では10万件(10%)のサンプルデータのみを使って分析結果を推定します。これにより、実際のデータとは数%〜10%程度のズレが生じることがあります。

一方、GA360では非サンプリングレポートが利用でき、全データを使った正確な分析が可能です。EC サイトで商品ごとのコンバージョン率を比較する場合や、広告キャンペーンのROIを正確に測定する場合など、1%の誤差が大きな影響を与えるビジネスでは、非サンプリングレポートは必須と言えます。


レポート機能の違い

GA360では、無料版にはない高度なレポート機能が利用できます。

最も大きな違いは「非サンプリングレポート」です。前述の通り、無料版では大量データを分析する際にサンプリングが発生しますが、GA360では全データを使った正確なレポートを作成できます。

カスタムレポートの自由度も大幅に向上しています。無料版では、カスタムディメンションとカスタム指標の数に制限がありますが、GA360では上限が大幅に緩和されており、より詳細なセグメント分析が可能です。

BigQueryエクスポートの詳細度

GA360では、BigQueryへのデータエクスポート量が大幅に増加します。無料版では1日あたり100万イベントまでしかエクスポートできませんが、GA360では1日あたり数十億イベントの送信が可能です。

これにより、SQLを使った高度な分析や、機械学習モデルとの統合、複数データソースとの結合分析など、データウェアハウスを活用した本格的なデータ基盤の構築が可能になります。

データ探索機能の制限解除

無料版のGA4では、データ探索機能で複雑なクエリを実行する際にサンプリングが発生しますが、GA360では制限が解除され、大量データでも高速かつ正確な分析が実行できます。


データ保持期間の違い

データ保持期間は、長期的な傾向分析を行う上で重要な要素です。

無料版のGA4では、ユーザー単位のイベントデータの保持期間は最大14ヶ月に制限されています。つまり、14ヶ月以前のユーザー行動データは自動的に削除され、分析に利用できなくなります。

一方、GA360では最大50ヶ月までデータを保持でき、さらに必要に応じてカスタマイズすることも可能です。これにより、過去数年間のデータを使った長期トレンド分析や、季節変動の比較、年次でのパフォーマンス評価などが実現できます。

長期データ保持のビジネスメリット

長期データの保持は、以下のようなビジネスメリットをもたらします。

  • 年次比較分析: 前年同期との比較により、成長率や季節変動を正確に把握
  • 顧客ライフタイム価値(LTV)の測定: 初回購入から2年後、3年後のリピート状況を追跡
  • 長期施策の効果検証: SEOやブランディングなど、効果が表れるまで時間がかかる施策の評価
  • 規制対応: 業界によっては、一定期間のデータ保管が法的に求められる場合がある

無料版でも、BigQueryにデータをエクスポートすることで長期保存は可能ですが、別途BigQueryの利用料金がかかる点に注意が必要です。


連携可能なツールの違い

GA360では、無料版では利用できない高度なツール連携が可能です。

最も注目すべきはSalesforce連携です。GA360限定の機能として、Salesforceと直接連携することで、Webサイト上のユーザー行動データとCRM上の顧客データを統合分析できます。これにより、どのようなWebコンテンツが実際の商談化や受注に貢献しているかを可視化できます。

Google広告との高度な連携

無料版でもGoogle広告との基本的な連携は可能ですが、GA360ではより高度な連携機能が利用できます。

  • インポート可能な目標数の拡大: 無料版では20個までの目標しかインポートできませんが、GA360では制限が大幅に緩和
  • コンバージョンデータの高速同期: リアルタイムに近い速度でデータが反映
  • 高度なアトリビューション分析: 複数の広告チャネルの貢献度を正確に測定

DMP/CDPとのデータ統合

GA360では、Adobe Audience ManagerやSalesforce DMPなどのData Management Platform(DMP)や、Customer Data Platform(CDP)との統合が容易です。これにより、オンライン行動データとオフラインデータ、第三者データを統合した360度の顧客ビューを構築できます。

BigQueryへのストリーミングエクスポート

GA360では、BigQueryへのストリーミングエクスポート(リアルタイムに近いデータ送信)も可能で、分析までのタイムラグを最小限に抑えられます。


サポート体制の違い

GA360の大きなメリットの一つが、手厚い有人サポート体制です。

無料版のGA4では、基本的にコミュニティフォーラムやヘルプセンターでの自己解決が前提となっており、Google社からの直接的なサポートは提供されません。トラブルが発生しても、自力で解決するか、外部のコンサルタントに依頼する必要があります。

一方、GA360では以下のような充実したサポートが受けられます。

専任アカウントマネージャー

GA360の契約企業には、Googleの専任アカウントマネージャーが割り当てられます。導入時の設定サポートから、運用中の技術的な質問、トラブルシューティングまで、直接Googleのスペシャリストに相談できます。

SLA(サービスレベル保証)

GA360では、99.9%の稼働率保証(SLA)が提供されます。万が一システムダウンが発生した場合でも、契約に基づいた補償が受けられます。無料版にはこのような保証はありません。

トレーニングプログラムの提供

GA360では、導入時のオンボーディングトレーニングや、定期的なベストプラクティスの共有セッションが提供されます。これにより、社内のアナリストチームのスキル向上を支援できます。

さらに、以下のようなサポートも含まれます。

  • 導入設定サポート
  • カスタマイズ相談
  • 緊急時の時間外対応
  • 四半期ごとのビジネスレビュー

大規模サイトでは、トラブル発生時の損失が大きいため、このような手厚いサポートは大きな価値があります。


Google Analytics 360の主要機能を詳しく解説

大規模データの高速処理機能

GA360は、無料版では処理しきれない大規模データを高速に処理できます。

月間数億ヒットを超えるアクセスデータでも、リアルタイムに近い速度でレポートに反映されます。これは、Googleのクラウドインフラを活用した強力なデータ処理エンジンによって実現されています。

リアルタイム処理能力

GA360では、リアルタイムレポートの精度と速度が向上しています。大規模なキャンペーンやイベント開催時でも、現在のサイト訪問者数や人気コンテンツをリアルタイムで把握でき、即座に施策を調整できます。

複数サイト・アプリの統合分析

GA360では、複数のWebサイトやモバイルアプリのデータを統合して分析できます。ロールアップレポート機能を使えば、グローバル展開している企業が各国のサイトデータを一元管理し、全体像を把握することが可能です。

クロスデバイストラッキングの精度

ユーザーがスマートフォン、タブレット、PCなど複数のデバイスを使って同一サイトを訪問した場合でも、GA360では高精度にユーザーを識別し、デバイスをまたいだカスタマージャーニーを追跡できます。

これにより、「スマホで商品を閲覧し、後日PCで購入」といった行動パターンを正確に把握でき、デバイス別の役割を理解した上でマーケティング戦略を最適化できます。


非サンプリングレポート機能

非サンプリングレポートは、GA360の最も重要な機能の一つです。

無料版のGA4では、大量のデータを分析する際に自動的にサンプリングが行われ、全データの一部のみを使って結果が推定されます。これにより、実際の数値とは数%〜数十%のズレが生じることがあります。

サンプリングとは何か

サンプリングとは、統計学的手法を用いて全体データの一部を抽出し、その結果から全体を推定する手法です。例えば、100万件のデータがある場合、10万件のサンプルを抽出して分析し、その結果を10倍にすることで全体を推定します。

一般的な分析では許容範囲内の誤差ですが、ビジネスの意思決定においては、わずかな誤差が大きな影響を与えることがあります。

サンプリングがビジネスに与える影響

以下のようなケースでは、サンプリングによる誤差が深刻な問題となります。

  • A/Bテストの評価: 2つのバージョンのコンバージョン率が3.2%と3.5%だった場合、サンプリング誤差により正しい判断ができない
  • 商品別売上分析: 1,000商品のうち、売上トップ10と売上ワースト10を正確に把握したい場合
  • 広告ROIの精密測定: 複数の広告チャネルに数千万円を投資しており、1%の誤差でも数百万円の差が生じる場合

正確なデータに基づく意思決定の価値

GA360の非サンプリングレポートを使えば、上記のような問題を回避し、100%正確なデータに基づいた意思決定が可能になります。特に、大規模ECサイトや広告予算が大きい企業にとって、この機能だけでもGA360導入の価値があると言えます。


BigQueryとの完全連携

BigQueryとの完全連携は、GA360の最も強力な機能の一つです。

BigQueryは、Googleが提供するクラウド型のデータウェアハウスサービスで、膨大なデータを高速に分析できます。GA360では、収集した全イベントデータをBigQueryにエクスポートし、SQL言語を使った自由度の高い分析が可能です。

生データのストリーミングエクスポート

GA360では、収集したイベントデータをほぼリアルタイムでBigQueryに送信できます。これにより、最新データを使った分析やダッシュボード作成が可能になります。

無料版でも BigQueryエクスポートは可能ですが、1日あたり100万イベントまでという制限があるため、大規模サイトでは全データをエクスポートできません。GA360では、1日あたり数十億イベントの送信が可能で、全データの完全なバックアップと分析が実現できます。

SQLでの柔軟なデータ分析

BigQueryにエクスポートされたデータは、標準SQL を使って自由に分析できます。GA360の管理画面では実現できない複雑な条件での抽出や、複数テーブルの結合分析などが可能になります。

例えば、以下のような分析が実現できます。

  • 特定の商品を購入したユーザーの、過去3ヶ月の行動履歴を抽出
  • 初回訪問から購入までの日数別のコンバージョン率を算出
  • 曜日・時間帯別のユーザー行動パターンの分析
  • カスタマージャーニーの各ステップでの離脱率計算

機械学習モデルとの統合

BigQueryには、Google Cloud Platform の機械学習サービスが統合されており、GA360のデータを使った予測モデルの構築が可能です。例えば、「購入確率が高いユーザー」「離脱リスクが高いユーザー」を予測し、先回りした施策を打つことができます。

データウェアハウス構築のメリット

BigQueryを活用することで、GA360のデータだけでなく、CRMデータ、広告配信データ、在庫データなど、複数のデータソースを統合したデータウェアハウスを構築できます。これにより、部門を超えた横断的なデータ分析が可能になります。


高度なセグメンテーション機能

GA360では、無料版よりも遥かに高度なセグメンテーション機能が利用できます。

セグメンテーションとは、全ユーザーを特定の条件で分類し、グループごとの行動を分析する手法です。例えば、「初回訪問者」「リピーター」「購入者」などのセグメントに分けて、それぞれの行動パターンを比較できます。

カスタムディメンション・指標の上限拡大

無料版のGA4では、カスタムディメンションとカスタム指標の数に制限がありますが、GA360では上限が大幅に緩和されています。これにより、より詳細なユーザー属性や行動指標を設定し、細かいセグメント分析が可能になります。

例えば、ECサイトであれば以下のようなカスタムディメンションを設定できます。

  • 会員ランク(ゴールド、シルバー、ブロンズ)
  • 購入商品カテゴリー(ファッション、家電、食品など)
  • 最終購入からの経過日数
  • 累計購入金額

ロールベースのアクセス制御

GA360では、ユーザーごとに細かいアクセス権限を設定できます。例えば、マーケティングチームには全データへのアクセスを許可し、外部パートナーには特定のビューのみ閲覧可能にするなど、柔軟な権限管理が実現できます。

データビューの柔軟な設定

無料版では25個までのビュー(データの表示方法)しか作成できませんが、GA360では400個まで作成可能です。部門別、国別、キャンペーン別など、多様な視点でのデータビューを用意できます。


機械学習による予測分析

GA360では、Googleの機械学習技術を活用した予測分析機能が利用できます。

これにより、過去のデータから未来のユーザー行動を予測し、先回りしたマーケティング施策を実施できます。

購買確率の予測

機械学習モデルが、各ユーザーの過去の行動パターンから、今後7日以内に購入する確率を予測します。購買確率が高いユーザーに対しては、リターゲティング広告を配信するなど、効率的なマーケティングが可能になります。

離脱予測モデル

アプリやサブスクリプションサービスでは、ユーザーの離脱(チャーン)を予測することが重要です。GA360の離脱予測機能は、過去の離脱ユーザーの行動パターンから学習し、「今後7日以内に離脱するリスクが高いユーザー」を特定します。

離脱リスクが高いユーザーには、割引クーポンや特別コンテンツの提供など、リテンション施策を実施することで、解約率を低減できます。

収益予測機能

各ユーザーが今後28日間に生み出すと予測される収益を算出します。高収益が見込まれるユーザーに対しては、より手厚いサポートやプレミアムコンテンツの提案を行うなど、LTV最大化の施策に活用できます。

アトリビューション分析の高度化

複数の広告チャネルやマーケティング施策が、最終的なコンバージョンにどの程度貢献したかを分析するアトリビューション機能も、GA360では高度化されています。データドリブンアトリビューションモデルを使えば、機械学習により各タッチポイントの真の貢献度を算出できます。


カスタムファネル・目標設定

GA360では、複雑なカスタマージャーニーを可視化し、各ステップでの最適化が可能です。

カスタムファネルとは、ユーザーが目標達成(購入、問い合わせなど)に至るまでのプロセスを視覚化したものです。例えば、ECサイトであれば「商品閲覧→カート追加→決済情報入力→購入完了」といったステップがファネルになります。

複雑なカスタマージャーニーの可視化

GA360では、単純な直線的なファネルだけでなく、複数の経路が存在する複雑なカスタマージャーニーも可視化できます。ユーザーがどのステップで離脱しているか、どの経路が最もコンバージョン率が高いかを分析し、ボトルネックを特定できます。

マルチチャネルコンバージョン分析

ユーザーは、検索広告、ディスプレイ広告、メール、ソーシャルメディアなど、複数のチャネルを経由してコンバージョンに至ります。GA360のマルチチャネルコンバージョン分析を使えば、各チャネルが果たした役割を可視化できます。

例えば、「初回接触はディスプレイ広告、2回目はオーガニック検索、最終的にメール経由で購入」といったユーザーの行動パスを追跡し、各チャネルの貢献度を評価できます。

アトリビューションモデリング

アトリビューションモデルとは、コンバージョンに至るまでの各タッチポイントに、どのように貢献度を割り当てるかのルールです。GA360では、以下のような複数のモデルを比較できます。

  • ラストクリック: 最後のタッチポイントに100%の貢献度を割り当て
  • ファーストクリック: 最初のタッチポイントに100%の貢献度を割り当て
  • 線形: すべてのタッチポイントに均等に貢献度を分配
  • 減衰: コンバージョンに近いタッチポイントほど高い貢献度を割り当て
  • データドリブン: 機械学習により最適な貢献度を自動算出(GA360限定)

これにより、マーケティング予算を最も効果的なチャネルに配分できます。


Google Analytics 360の料金体系を解説

基本料金プラン

GA360の料金は、年間契約制で、一般的には年間15万ドル(約2,000万円)からとなっています。

GA360は、Google Marketing Platformの一部として提供されており、単体での購入も可能ですが、他のツール(Display & Video 360など)と組み合わせてパッケージ契約することも可能です。

料金体系は、基本的に以下の2つの要素で構成されています。

  • 基本料金: 月間2,500万イベントまでは固定料金
  • 変動料金: 2,500万イベントを超えた分については、イベント数に応じた従量課金

月額換算すると、約150万円〜200万円程度が目安となりますが、データ量やカスタマイズ内容によって変動します。

見積もり取得の流れ

GA360は公式サイトに明確な価格が掲載されておらず、見積もりベースでの契約となります。導入を検討する場合は、以下の流れで進めます。

  1. Google公式またはセールスパートナーへ問い合わせ
  2. 現状のデータ量や利用目的をヒアリング
  3. カスタマイズ内容を含めた見積もり提示
  4. 契約内容の合意と発注

契約は基本的に1年単位で、自動更新が一般的です。


料金を決定する要素

GA360の料金は、複数の要素によって決定されます。

最も大きな影響を与えるのが、月間のイベント数(ヒット数)です。GA360では、月間2,500万イベントまでは固定料金ですが、それを超えると従量課金となります。

データボリューム(ヒット数)

イベント数とは、ユーザーの行動によって発生するデータのことで、以下が含まれます。

  • ページビュー
  • ボタンクリック
  • スクロール
  • 動画再生
  • フォーム送信
  • Eコマーストランザクション

イベントトラッキングを多用するサイトでは、ページビュー数の数倍〜数十倍のイベントが発生することもあるため、事前に正確な見積もりを取ることが重要です。

利用機能の範囲

GA360の全機能を利用するか、一部機能のみを利用するかによっても料金が変動します。例えば、BigQueryエクスポートやSalesforce連携などの高度な機能を追加する場合、別途費用が発生することがあります。

サポートレベル

標準サポートに加えて、より手厚いプレミアムサポートを選択することも可能です。24時間365日の緊急対応や、専任コンサルタントによる戦略支援などが含まれます。

契約期間

一般的には1年契約ですが、3年以上の長期契約を結ぶことで、割引が適用される場合があります。


追加費用が発生するケース

基本料金以外に、追加費用が発生するケースがあります。

主な追加費用の発生ケースは以下の通りです。

データ量の超過

月間イベント数が契約した上限を超えた場合、超過分に対して追加料金が発生します。トラフィックが急増するキャンペーン時期などは、事前にデータ量の見直しを行う必要があります。

カスタムトレーニング

標準のオンボーディングトレーニング以外に、社内向けのカスタマイズされたトレーニングを依頼する場合、別途費用がかかります。ただし、投資対効果を考えると、初期段階でしっかりとトレーニングを受けることは重要です。

専門コンサルティング

GA360の専任アカウントマネージャーとは別に、データサイエンティストやマーケティングコンサルタントによる専門的な支援を依頼する場合、追加費用が発生します。

ただし、Google公式ではなく、セールスパートナー経由で契約する場合、これらのサービスがパッケージに含まれていることもあるため、契約前に詳細を確認しましょう。


ROI(投資対効果)の試算方法

GA360導入の意思決定には、具体的なROI試算が不可欠です。

年間数百万円〜数千万円の投資となるため、どのような効果が期待できるかを定量的に評価する必要があります。

【計算式と具体例】

ROIは以下の式で計算できます。

ROI = (GA360による年間効果 - GA360年間コスト) / GA360年間コスト × 100%

具体例を見てみましょう。

ケース1: 大規模ECサイト(年間売上100億円)

  • GA360年間コスト: 2,000万円
  • データ精度向上による意思決定改善効果:
    • サンプリングなしの正確なデータにより、広告ROIが5%改善
    • 広告予算10億円 × 5% = 5,000万円の効果
  • 工数削減効果:
    • 分析時間が50%削減され、アナリスト2名分の工数が他業務に充当可能
    • 年間約1,000万円の効果
  • 合計効果: 6,000万円
  • ROI: (6,000万円 – 2,000万円) / 2,000万円 × 100% = 200%

ケース2: SaaS企業(年間売上30億円)

  • GA360年間コスト: 2,000万円
  • チャーン率改善:
    • 離脱予測モデルにより、チャーン率が10%から8%に改善
    • 年間MRR(月次経常収益)の損失が2億円削減
  • LTV向上:
    • パーソナライゼーション精度向上により、アップセル率が15%向上
    • 年間約3,000万円の追加収益
  • 合計効果: 2億3,000万円
  • ROI: (2億3,000万円 – 2,000万円) / 2,000万円 × 100% = 1,050%

データ精度向上による意思決定改善効果

サンプリングによる誤差が解消されることで、以下のような効果が期待できます。

  • 広告の費用対効果測定の精度向上
  • A/Bテストの正確な評価
  • 商品別・カテゴリー別の売上分析の精度向上

工数削減効果の金額換算

GA360導入により、以下のような工数削減が可能です。

  • レポート作成時間の短縮(非サンプリングレポートにより再計算不要)
  • データエクスポート作業の自動化
  • トラブルシューティング時間の削減(専任サポートにより迅速解決)

売上向上への貢献度試算

GA360の高度な分析機能により、以下のような売上向上が期待できます。

  • コンバージョン率の改善
  • 顧客単価の向上
  • リピート率の改善

これらを総合的に評価し、自社にとってのROIを試算することが重要です。


無料版で十分なケース・GA360が必要なケース

GA360導入の判断には、自社の状況を客観的に評価することが重要です。

以下のチェックリストを使って、無料版で十分か、GA360が必要かを判断しましょう。

無料版GA4で十分なケース

  • [ ] 月間PV数が100万以下
  • [ ] 月間イベント数が500万以下
  • [ ] サンプリングの影響が限定的
  • [ ] 基本的なアクセス解析のみで十分
  • [ ] データ分析の専任チームがいない
  • [ ] 14ヶ月以内のデータ分析で問題ない
  • [ ] BigQueryを活用する予定がない
  • [ ] マーケティング予算が年間1,000万円以下

上記の項目に多く当てはまる場合、無料版のGA4で十分対応可能です。

GA360が必要なケース

  • [ ] 月間PV数が1,000万以上
  • [ ] 月間イベント数が1,000万以上
  • [ ] サンプリングにより正確なデータが取得できていない
  • [ ] 正確なデータ分析が事業成長に直結する
  • [ ] データ分析の専任チームが存在する
  • [ ] 長期データを使った傾向分析が必要
  • [ ] BigQueryを活用したデータ基盤を構築したい
  • [ ] マーケティング予算が年間1億円以上
  • [ ] Salesforceなど外部ツールとの連携が必要
  • [ ] 専任サポートが必要

上記の項目に多く当てはまる場合、GA360の導入を検討する価値があります。

段階的な移行戦略

いきなりGA360を導入するのではなく、段階的に移行する戦略も有効です。

  1. フェーズ1: まず無料版のGA4を導入し、基本的な分析を実施
  2. フェーズ2: BigQueryエクスポートを活用し、データ基盤の構築を開始
  3. フェーズ3: データ量の増加やサンプリングの影響が顕著になったタイミングでGA360へ移行

この approach により、投資リスクを最小限に抑えながら、段階的に高度な分析環境を構築できます。


Google Analytics 360の導入メリット

ビジネス上のメリット

GA360導入により、ビジネス全体のパフォーマンス向上が期待できます。

最も大きなメリットは、正確なデータに基づいた意思決定が可能になることです。無料版ではサンプリングにより数%〜数十%の誤差が生じる可能性がありますが、GA360では全データを使った分析により、100%正確な数値に基づいて判断できます。

正確なデータに基づく意思決定

大規模ECサイトの場合、わずか1%のコンバージョン率の改善でも、年間数千万円〜数億円の売上増加につながります。サンプリングによる誤差で間違った施策を実施してしまうリスクを回避できることは、GA360導入の大きな価値です。

例えば、A/Bテストでバージョンαとβのコンバージョン率がそれぞれ3.2%と3.5%だった場合、無料版のサンプリングデータでは誤差範囲内で判断できませんが、GA360の非サンプリングレポートであれば、統計的に有意な差であることを確認できます。

マーケティングROIの可視化

GA360では、複数の広告チャネルやマーケティング施策のROIを正確に測定できます。データドリブンアトリビューションを活用することで、各チャネルの真の貢献度を把握し、予算配分を最適化できます。

これにより、効果の低いチャネルへの投資を削減し、効果の高いチャネルに予算をシフトすることで、全体的なマーケティングROIが向上します。

データドリブン文化の醸成

GA360を導入することで、組織全体にデータドリブンな文化が根付きます。専任アカウントマネージャーによるトレーニングや、充実したレポート機能により、経営層から現場担当者まで、データに基づいた議論と意思決定が可能になります。

具体的なビジネスメリットは以下の通りです。

  • 売上・収益の向上: 正確なデータ分析によるコンバージョン率改善
  • コスト削減: 効果の低い施策の早期発見と停止
  • 意思決定の迅速化: リアルタイムデータによる素早い施策調整
  • 競争優位性の確保: 高度なデータ分析による差別化

技術的なメリット

GA360は、技術面でも多くのメリットをもたらします。

最も重要なのは、データエンジニアリングの効率化です。BigQueryへの大量データエクスポートが可能になることで、データパイプラインの構築が容易になり、データサイエンスチームの生産性が向上します。

データエンジニアリングの効率化

無料版では、BigQueryエクスポートに1日100万イベントの制限があるため、大規模サイトでは全データをエクスポートできません。そのため、独自のデータ収集基盤を構築する必要があり、開発・運用コストが発生します。

GA360では、1日数十億イベントのエクスポートが可能なため、既存のデータ収集基盤をそのまま活用でき、開発コストを大幅に削減できます。

分析基盤の統一

GA360をデータ基盤の中核として活用することで、以下のような統一的なデータ環境を構築できます。

  • ウェブ行動データ: GA360から取得
  • 広告データ: Google広告、Display & Video 360から取得
  • CRMデータ: Salesforceから取得
  • 在庫・販売データ: 社内システムから取得

これらを BigQueryで統合することで、部門を超えた横断的な分析が可能になります。

セキュリティとコンプライアンスの強化

GA360では、エンタープライズグレードのセキュリティ機能が提供されます。

  • データ暗号化: 転送時・保存時ともに暗号化
  • アクセス制御: ロールベースの詳細な権限管理
  • 監査ログ: すべてのアクセスと変更の記録
  • プライバシー保護: GDPRやCCPAなどの規制への対応

特に、金融業界や医療業界など、厳格なデータ管理が求められる業界では、これらのセキュリティ機能は導入の必須条件となります。

さらに、以下の技術的メリットもあります。

  • 高速なレポート生成: 大量データでも高速処理
  • APIの拡張: より高度なAPI機能による自動化
  • データ品質の向上: 非サンプリングによる正確なデータ
  • スケーラビリティ: トラフィック増加にも柔軟に対応

マーケティング施策への活用

GA360の高度な機能は、マーケティング施策の精度向上に直結します。

特に効果的なのが、高度なオーディエンス作成機能です。無料版よりも詳細な条件でユーザーセグメントを作成でき、それをGoogle広告やDisplay & Video 360に連携することで、精度の高いターゲティングが可能になります。

高度なオーディエンス作成

GA360では、以下のような複雑な条件でオーディエンスを作成できます。

  • 「過去30日間に3回以上訪問し、商品詳細ページを10ページ以上閲覧したが、購入していないユーザー」
  • 「過去6ヶ月間で累計購入金額が10万円以上で、最終購入から30日以上経過したユーザー」
  • 「特定のキャンペーンから流入し、特定のカテゴリーの商品を閲覧したユーザー」

これらのオーディエンスを広告配信に活用することで、コンバージョン率が大幅に向上します。

パーソナライゼーションの精度向上

GA360のデータを活用することで、ユーザーごとに最適化されたコンテンツや商品レコメンデーションを提供できます。

例えば、過去の閲覧履歴や購入履歴から、各ユーザーの興味関心を推定し、トップページに表示する商品を動的に変更することで、エンゲージメントとコンバージョン率が向上します。

クロスチャネル最適化

GA360のマルチチャネルコンバージョン分析とアトリビューション機能を活用することで、複数のマーケティングチャネルを横断した最適化が可能になります。

具体的には、以下のような施策が実現できます。

  • チャネル別予算配分: 真の貢献度に基づいた予算配分
  • リターゲティング戦略: 各チャネルでの接触回数を考慮した配信
  • クリエイティブ最適化: どのメッセージが効果的かをチャネル横断で分析
  • タイミング最適化: 各ユーザーに最適な配信タイミングを特定

実際の活用例として、以下のような成果が報告されています。

  • 広告ROIが平均20〜30%向上
  • コンバージョン率が15〜25%改善
  • 顧客獲得コストが10〜20%削減

組織全体への波及効果

GA360導入の効果は、マーケティング部門だけでなく、組織全体に波及します。

最も重要な効果は、部門横断的なデータ活用の促進です。GA360を中心としたデータ基盤を構築することで、マーケティング、営業、カスタマーサポート、商品開発など、各部門がデータを共有し、協働できるようになります。

部門横断的なデータ活用

例えば、以下のような部門間連携が実現できます。

  • マーケティング×営業: Webでの行動データをSalesforceに連携し、営業担当者が商談時に活用
  • マーケティング×商品開発: ユーザーの行動パターンから、新商品のニーズを発見
  • マーケティング×カスタマーサポート: よくある質問をWebコンテンツで先回りして解決し、問い合わせ件数を削減

データリテラシーの向上

GA360の専任アカウントマネージャーによるトレーニングや、充実したレポート機能により、組織全体のデータリテラシーが向上します。

これまでデータ分析に馴染みがなかった部門でも、GA360のわかりやすいダッシュボードを通じて、データの価値を実感できるようになります。その結果、組織全体でデータドリブンな意思決定文化が醸成されます。

アナリティクスチームの強化

GA360導入により、社内のアナリティクスチームの能力が飛躍的に向上します。

  • スキルアップ: Googleの専門家によるトレーニングで最新の分析手法を習得
  • 生産性向上: 非サンプリングレポートや自動化機能により、分析時間を短縮
  • 戦略的業務へのシフト: ルーチン作業が削減され、戦略立案に時間を割ける
  • キャリア開発: 最先端のツールを使った経験が、チームメンバーのキャリアに貢献

組織全体への波及効果をまとめると、以下のようになります。

  • データドリブン文化の醸成
  • 部門間のサイロ解消とコラボレーション促進
  • 意思決定の迅速化と精度向上
  • イノベーションの加速
  • 従業員のスキル向上とエンゲージメント向上

Google Analytics 360の導入事例

EC事業者の事例

大規模ECサイトでは、GA360の導入により劇的な成果が報告されています。

ある大手ECサイトでは、月間PV数が3,000万、月間トランザクション数が50万件という大規模なデータを扱っていました。無料版のGA4では、これだけのデータ量になるとサンプリングが頻繁に発生し、商品別・カテゴリー別の正確な売上分析ができないという課題がありました。

課題:大量のトランザクションデータ分析

主な課題は以下の通りでした。

  • サンプリングにより、商品別の売上データに10〜15%の誤差が発生
  • A/Bテストの結果が不正確で、改善施策の評価ができない
  • 広告ROIの測定精度が低く、予算配分を最適化できない
  • データ分析に多くの時間がかかり、施策実行が遅れる

導入効果:CV率15%向上、データ分析時間70%削減

GA360導入後、以下の成果が得られました。

  • コンバージョン率15%向上: 非サンプリングレポートにより、正確なA/Bテスト評価が可能になり、UI/UX改善の効果が明確に。結果として、コンバージョン率が2.3%から2.65%に向上
  • データ分析時間70%削減: レポート生成の高速化と自動化により、週40時間かかっていた分析作業が12時間に短縮
  • 広告ROI30%改善: データドリブンアトリビューションにより、真に効果のあるチャネルを特定し、予算を最適配分
  • 年間売上5億円増加: これらの改善により、年間売上が100億円から105億円に増加

具体的な活用方法

このECサイトでは、以下のようにGA360を活用しました。

  1. 商品レコメンデーションの最適化: BigQueryにエクスポートしたデータを機械学習モデルに投入し、ユーザーごとの購買確率を予測
  2. カート放棄対策: カートに商品を追加したが購入しなかったユーザーをセグメント化し、リターゲティング広告を配信
  3. 在庫最適化: 商品別の閲覧数・購入率データを在庫管理システムと連携し、欠品や過剰在庫を削減

SaaS企業の事例

SaaS企業では、GA360を活用してチャーン率の削減とLTV向上に成功しています。

ある中堅SaaS企業(従業員数200名、年間売上30億円)では、複雑なカスタマージャーニーの可視化が課題でした。無料トライアルから有料プラン契約、そしてアップグレードまでの過程で、ユーザーがどのような行動をしているかを正確に把握できていませんでした。

課題:複雑なカスタマージャーニーの可視化

SaaS企業特有の課題として、以下がありました。

  • トライアル開始から契約までの期間が長く(平均30日)、その間の行動を追跡できない
  • どの機能の利用が契約に結びついているか不明
  • チャーン(解約)の予兆を捉えられない
  • ユーザー属性と利用パターンの相関を分析できない

導入効果:チャーン率10%削減、LTV20%向上

GA360導入により、以下の成果が得られました。

  • チャーン率10%削減: 月次チャーン率が10%から9%に改善。年間MRR(月次経常収益)の損失が約2億円削減
  • LTV20%向上: アップセル・クロスセルの精度向上により、顧客あたりのLTVが平均50万円から60万円に向上
  • トライアル→有料転換率15%改善: 転換に効果的な機能を特定し、オンボーディングプロセスを最適化
  • 営業効率30%向上: Salesforce連携により、営業担当者がユーザーの利用状況を把握し、的確な提案が可能に

BigQuery連携による予測モデル構築

この企業では、以下のような予測モデルを構築しました。

  1. チャーン予測モデル: 過去の解約ユーザーの行動パターンを機械学習で分析し、解約リスクが高いユーザーを7日前に予測
  2. アップセル予測モデル: 有料プランの利用状況から、上位プランへのアップグレード確率を算出
  3. 契約予測モデル: トライアルユーザーの行動から、有料契約する確率をリアルタイムで予測

これらのモデルにより、先回りしたリテンション施策やアップセル提案が可能になりました。


メディア企業の事例

大規模メディアサイトでは、GA360により広告収益の最適化に成功しています。

ある大手ニュースメディア(月間PV数5,000万)では、膨大なアクセスデータを正確に分析できないことが課題でした。記事ごとのパフォーマンス測定や、読者のエンゲージメント分析にサンプリングの影響が出ており、コンテンツ戦略の立案に支障が出ていました。

課題:膨大なPVデータの正確な分析

メディアサイト特有の課題として、以下がありました。

  • 1日あたり150万PV以上のアクセスがあり、サンプリングが常に発生
  • 記事ごとの正確な滞在時間やスクロール深度が測定できない
  • 読者の回遊パターンや興味の変化を追跡できない
  • 広告枠ごとのクリック率やビューアビリティが不正確

導入効果:広告収益最適化、ユーザーエンゲージメント向上

GA360導入により、以下の成果が得られました。

  • 広告収益25%向上: 記事カテゴリーと広告パフォーマンスの正確な相関分析により、広告配置を最適化。月間広告収益が2億円から2.5億円に増加
  • 平均滞在時間40%向上: エンゲージメントの高いコンテンツの特徴を分析し、編集方針に反映。平均滞在時間が1分30秒から2分10秒に向上
  • リピート率30%改善: 読者の興味関心に基づいたレコメンデーションにより、月間訪問回数が平均2.3回から3.0回に増加
  • 記事制作効率向上: どのテーマ・形式の記事が読まれるかを正確に把握し、編集リソースを効率配分

コンテンツ戦略への活用

このメディアでは、GA360のデータを以下のように活用しました。

  1. コンテンツタイプ別分析: 長文記事、リスト記事、動画コンテンツなど、形式ごとのエンゲージメントを比較
  2. 時間帯別配信最適化: 読者の活動時間を分析し、記事公開のタイミングを最適化
  3. パーソナライゼーション: 読者の過去の閲覧履歴から興味分野を推定し、トップページの表示コンテンツを最適化
  4. サブスクリプション転換: 無料読者がどのような記事を読むと有料会員になるかを分析し、ペイウォール戦略を策定

B2B企業の事例

B2B企業では、GA360を活用して長期的な購買プロセスを可視化し、営業効率を向上させています。

ある中堅IT企業(従業員数500名、年間売上80億円)では、商談化までの期間が平均90日と長く、その間のリードの行動を追跡できないことが課題でした。無料版では14ヶ月のデータ保持期間があるものの、サンプリングの影響で正確なデータが取得できませんでした。

課題:長期間の購買プロセス追跡

B2B企業特有の課題として、以下がありました。

  • 初回訪問から商談化まで平均90日、受注まで180日かかり、全プロセスの追跡が困難
  • 複数の意思決定者が関与するため、個人単位ではなく企業単位での行動分析が必要
  • どのコンテンツが商談化に貢献しているか不明
  • オフライン施策(展示会、セミナーなど)とオンライン行動の統合分析ができない

導入効果:リード育成の最適化、商談化率向上

GA360導入により、以下の成果が得られました。

  • 商談化率35%向上: リードスコアリングモデルを構築し、商談化確率の高いリードを優先的にフォロー。商談化率が8%から10.8%に向上
  • 受注率20%向上: Salesforce連携により、営業担当者がリードの関心度合いを把握し、的確な提案が可能に。受注率が25%から30%に向上
  • 営業サイクル30日短縮: 効果的なコンテンツを適切なタイミングで提供することで、意思決定を加速。平均商談期間が180日から150日に短縮
  • マーケティングROI50%改善: 商談化・受注に貢献するチャネルを特定し、予算を最適配分

Salesforce連携による営業支援

このB2B企業では、GA360とSalesforceを連携し、以下を実現しました。

  1. リードスコアリング: Webサイト上の行動(ページ閲覧数、資料ダウンロード、デモ申込など)を点数化し、ホットリードを自動抽出
  2. 営業アラート: ホットリードが重要ページ(料金ページ、事例ページなど)を閲覧したタイミングで、営業担当者にアラート通知
  3. カスタマージャーニー可視化: Salesforceの商談管理画面から、そのリードがWebサイトでどのような行動をしているかをリアルタイムで確認
  4. コンテンツ効果測定: ホワイトペーパーやウェビナーなど、各コンテンツが商談化・受注にどの程度貢献しているかを測定

これらの施策により、マーケティングと営業の連携が強化され、全体的な売上増加に貢献しました。


Google Analytics 360の導入手順と準備

導入前の準備事項

GA360の導入を成功させるには、事前の綿密な準備が不可欠です。

導入を決定する前に、以下の3つの準備を行いましょう。

現状分析(データ量・利用目的の明確化)

まず、自社の現状を正確に把握する必要があります。

  • 月間PV数・イベント数の測定: 現在のGA4で実際のデータ量を確認
  • サンプリングの影響度評価: どの程度サンプリングが発生しているか、それがビジネスにどのような影響を与えているかを分析
  • 利用目的の明確化: GA360で何を実現したいのか(ROI向上、チャーン削減、売上増加など)を具体的に設定
  • 現状の課題整理: 無料版で困っていること、GA360で解決したいことをリストアップ

社内体制の整備

GA360を効果的に活用するには、適切な社内体制が必要です。

  • 専任アナリストの配置: 最低でも1名、できれば2〜3名のデータアナリストを専任で配置
  • 関係部門の巻き込み: マーケティング、営業、商品開発など、データを活用する部門の協力を確保
  • トレーニング計画: 導入後のトレーニングスケジュールを事前に計画
  • KPI設定: GA360導入の成果を測定するKPIを設定(例:広告ROI、コンバージョン率、分析工数など)

予算確保と稟議プロセス

年間数百万円〜数千万円の投資となるため、経営層の承認が必要です。

  • ROI試算書の作成: 前述のROI試算方法を使って、具体的な効果を数値化
  • 段階的導入プランの提示: いきなり全社導入ではなく、特定部門でのパイロット導入から始める選択肢も検討
  • 競合他社の事例収集: 同業他社や類似規模の企業での導入事例を調査
  • 稟議書の作成: 経営層向けに、課題・解決策・期待効果・投資金額を簡潔にまとめた資料を準備

これらの準備を丁寧に行うことで、導入後のスムーズな運用と成果創出につながります。


申し込みから導入までの流れ

GA360の導入は、以下の7つのステップで進みます。

1. Google公式パートナーへの問い合わせ

GA360は、Google公式サイトまたはセールスパートナー経由で申し込みます。日本では、以下のような認定パートナーが存在します。

  • 電通デジタル
  • アユダンテ
  • イー・エージェンシー
  • プリンシプル
  • トランスコスモス

パートナー経由の場合、導入支援や運用サポートが充実していることが多いため、社内にデータ分析の専門家がいない場合は、パートナー経由をお勧めします。

2. ヒアリングと見積もり取得

担当者が訪問またはオンラインでヒアリングを実施します。主な確認事項は以下の通りです。

  • 現在のデータ量(月間PV数、イベント数)
  • サイト・アプリの規模と構成
  • 利用目的と期待効果
  • 既存のマーケティングツール(Salesforce、CRMなど)
  • 社内の分析体制

これらの情報を基に、カスタマイズされた見積もりが提示されます。

3. 契約手続き

見積もりに合意したら、契約手続きに進みます。契約期間は通常1年間で、自動更新が一般的です。契約書には、以下の内容が含まれます。

  • 利用料金と支払条件
  • データ量の上限
  • SLA(サービスレベル保証)の内容
  • サポート範囲
  • 契約期間と更新条件

4. アカウント設定

契約完了後、GA360のアカウントが発行されます。無料版のGA4プロパティをGA360にアップグレードする場合は、管理画面から設定を行います。

5. データ移行

既存のGA4データは引き続き利用できますが、GA360固有の機能(非サンプリングレポートなど)は、アップグレード後に収集されたデータから適用されます。

過去データをBigQueryにエクスポートしている場合は、そのデータも引き続き活用できます。

6. トレーニング実施

専任アカウントマネージャーによる初期トレーニングが実施されます。内容は以下の通りです。

  • GA360の基本操作
  • 非サンプリングレポートの活用方法
  • BigQueryエクスポートの設定
  • データドリブンアトリビューションの使い方
  • ベストプラクティスの共有

トレーニングは、オンラインまたはオンサイトで実施され、2〜3日間のプログラムが一般的です。

7. 本格運用開始

トレーニング完了後、本格的な運用を開始します。導入初期は、専任アカウントマネージャーが定期的にフォローアップを行い、疑問点の解消やベストプラクティスの共有を支援します。

全体のスケジュールとしては、問い合わせから運用開始まで約2〜3ヶ月が目安です。


必要な社内リソース

GA360を効果的に活用するには、適切な社内リソースの確保が重要です。

最も重要なのは、専任のデータアナリストの配置です。GA360の高度な機能を使いこなすには、データ分析のスキルとビジネス理解の両方が必要です。

専任アナリストの配置

理想的には、以下のようなスキルセットを持つアナリストを2〜3名配置します。

  • データ分析スキル: 統計学の基礎知識、SQL、データビジュアライゼーション
  • Googleアナリティクスの知識: GA4の操作に精通していること
  • ビジネス理解: 自社のビジネスモデルとKPIを深く理解
  • コミュニケーション能力: 分析結果を経営層や現場に分かりやすく説明できること

小規模組織の場合は、最低でも1名の専任アナリストを配置し、必要に応じて外部パートナーのサポートを受ける体制が現実的です。

データエンジニアとの連携

BigQueryを活用した高度な分析を行う場合、データエンジニアの協力が必要です。

  • データパイプラインの構築: GA360からBigQueryへのデータエクスポート設定
  • データマートの作成: 分析しやすい形にデータを加工
  • 他システムとのデータ統合: CRM、広告プラットフォームなどとのデータ結合
  • 機械学習モデルの構築: 予測分析やレコメンデーションエンジンの開発

専任のデータエンジニアがいない場合は、外部パートナーに委託する選択肢もあります。

マーケティングチームの教育

GA360のデータを実際の施策に活かすには、マーケティングチーム全体のデータリテラシー向上が必要です。

  • 基礎トレーニング: GA360の基本操作と主要レポートの見方
  • ユースケース研修: 自分の業務にどう活かせるかの具体例を学習
  • 定期的な勉強会: 最新機能やベストプラクティスの共有
  • データドリブン文化の醸成: 施策の企画・実行・評価すべてをデータで行う習慣づけ

特に重要なのは、経営層の理解とコミットメントです。トップダウンでデータドリブン経営を推進することで、組織全体の変革が加速します。


導入時の注意点とよくある失敗

GA360導入を成功させるには、よくある失敗パターンを事前に知っておくことが重要です。

多くの企業が陥りがちな失敗とその対策を紹介します。

過度な期待値設定

GA360は強力なツールですが、導入しただけで自動的に売上が上がるわけではありません。

  • 失敗例: 「GA360を導入すれば、すべての課題が解決する」と期待し、実際には使いこなせずに終わる
  • 対策: GA360はあくまでツールであり、それをどう活用するかが重要。導入前に具体的なユースケースと活用プランを策定する

運用体制の不備

専任アナリストを配置せず、既存メンバーの兼務で運用しようとするケースです。

  • 失敗例: 「誰かが時間があるときに見る」という体制で、結局誰も使わなくなる
  • 対策: 最低でも1名は専任でアサインし、明確な役割と責任を定義する。初期は外部パートナーのサポートを受けることも検討

データガバナンスの欠如

データの品質管理や、誰がどのデータにアクセスできるかのルールが整備されていないケースです。

  • 失敗例: 各部門が勝手にタグを追加し、データが乱雑になる。または、機密情報が意図せず共有される
  • 対策: データガバナンスポリシーを策定し、タグ設置のルール、アクセス権限の管理、データ品質のチェック体制を整備する

段階的導入の重要性

いきなり全社で全機能を使おうとして、混乱するケースです。

  • 失敗例: 初日から全部門に展開し、トレーニングが追いつかず、誰も使えない
  • 対策: まずはマーケティング部門などコアチームで導入し、成功事例を作ってから他部門に展開する

その他のよくある失敗として、以下があります。

  • 技術的な準備不足: BigQueryなどの関連サービスの理解が不十分
  • ビジネス目標との乖離: 分析のための分析になってしまい、ビジネス成果につながらない
  • 継続的な改善の欠如: 導入時だけ頑張って、その後は放置される

これらの失敗を避けるため、導入前に綿密な計画を立て、継続的な改善サイクルを回すことが重要です。


Google Analytics 360を最大限活用するためのポイント

BigQueryを活用した高度な分析

GA360の真価を発揮するには、BigQueryとの連携が不可欠です。

BigQueryは、Googleが提供するクラウド型データウェアハウスで、膨大なデータを高速に分析できます。GA360から収集した全イベントデータをBigQueryにエクスポートすることで、GA360の管理画面では実現できない高度な分析が可能になります。

データマートの構築方法

データマートとは、特定の目的や部門向けに最適化されたデータセットのことです。BigQueryにエクスポートされた生データは、そのままでは分析しにくいため、データマートとして整形します。

例えば、以下のようなデータマートを構築できます。

  • ユーザー行動サマリー: ユーザーごとの訪問回数、滞在時間、閲覧ページ数などを集計
  • 商品パフォーマンス: 商品ごとの閲覧数、カート追加数、購入数、売上を集計
  • 広告効果測定: キャンペーンごとのクリック数、コンバージョン数、ROIを集計
  • カスタマージャーニー: 初回訪問から購入までの経路を可視化

データマートを構築することで、分析の度に複雑なSQLを書く必要がなくなり、分析効率が大幅に向上します。

SQLクエリ例の紹介

BigQueryでは、標準SQLを使って柔軟にデータを分析できます。以下に、実用的なSQLクエリ例を紹介します。

-- 例1: デバイス別のコンバージョン率を算出
SELECT
  device.category AS device,
  COUNT(DISTINCT user_pseudo_id) AS users,
  COUNTIF(event_name = 'purchase') AS conversions,
  ROUND(COUNTIF(event_name = 'purchase') / COUNT(DISTINCT user_pseudo_id) * 100, 2) AS conversion_rate
FROM
  `project.dataset.events_*`
WHERE
  _TABLE_SUFFIX BETWEEN '20250101' AND '20250131'
GROUP BY
  device.category
ORDER BY
  conversion_rate DESC;

-- 例2: 初回訪問から購入までの日数を分析
WITH first_visit AS (
  SELECT
    user_pseudo_id,
    MIN(PARSE_DATE('%Y%m%d', event_date)) AS first_visit_date
  FROM
    `project.dataset.events_*`
  GROUP BY
    user_pseudo_id
),
purchase AS (
  SELECT
    user_pseudo_id,
    MIN(PARSE_DATE('%Y%m%d', event_date)) AS purchase_date
  FROM
    `project.dataset.events_*`
  WHERE
    event_name = 'purchase'
  GROUP BY
    user_pseudo_id
)
SELECT
  DATE_DIFF(p.purchase_date, f.first_visit_date, DAY) AS days_to_purchase,
  COUNT(*) AS user_count
FROM
  first_visit f
JOIN
  purchase p ON f.user_pseudo_id = p.user_pseudo_id
GROUP BY
  days_to_purchase
ORDER BY
  days_to_purchase;

これらのクエリを参考に、自社のビジネスに合わせた分析を実施できます。

Looker Studio(旧Data Studio)との連携

BigQueryのデータをLooker Studioと連携することで、美しいダッシュボードを作成できます。Looker Studioは、Googleが提供する無料のBIツールで、BigQueryと直接接続してリアルタイムでデータを可視化できます。

例えば、以下のようなダッシュボードを作成できます。

  • 経営ダッシュボード: 売上、コンバージョン率、広告ROIなどのKPIを一覧表示
  • マーケティングダッシュボード: チャネル別の流入数、コンバージョン数、獲得単価を可視化
  • 商品分析ダッシュボード: 商品カテゴリー別の売上、人気商品ランキング、在庫状況を表示
  • カスタマージャーニーダッシュボード: ファネルの各ステップでの離脱率、経路分析を可視化

Looker Studioのダッシュボードは、リアルタイムで更新され、スマートフォンからも閲覧できるため、いつでもどこでもデータを確認できます。


他のGoogle Marketing Platform製品との連携

GA360は、Google Marketing Platformの他の製品とシームレスに連携できます。

Google Marketing Platformは、データ分析、広告配信、タグ管理などを統合したマーケティングプラットフォームです。GA360をハブとして、他のツールと連携することで、マーケティング活動全体を最適化できます。

Google広告との統合

GA360とGoogle広告を連携することで、以下のことが可能になります。

  • GA360の目標をGoogle広告にインポート: GA360で設定した目標をGoogle広告のコンバージョンとして自動的に取り込み、広告の最適化に活用
  • オーディエンスの共有: GA360で作成した高度なオーディエンスセグメントをGoogle広告のリマーケティングに活用
  • コンバージョンデータの高速同期: リアルタイムに近い速度でコンバージョンデータが反映され、入札戦略の精度が向上
  • 詳細なアトリビューション分析: Google広告の各キャンペーンがコンバージョンにどの程度貢献したかを正確に測定

これにより、広告のパフォーマンスが大幅に向上し、無駄な広告費を削減できます。

Display & Video 360との連携

Display & Video 360は、ディスプレイ広告や動画広告を一元管理できるプラットフォームです。GA360と連携することで、以下が実現できます。

  • クロスチャネル分析: 検索広告、ディスプレイ広告、動画広告の効果を統合的に分析
  • オーディエンスの活用: GA360で作成したオーディエンスをDisplay & Video 360でターゲティングに使用
  • フリークエンシー管理: ユーザーが広告を見る回数を最適化し、広告疲れを防止
  • ビューアビリティの測定: 広告が実際に表示されたかを正確に測定

Search Ads 360での活用

Search Ads 360は、Google広告だけでなく、Yahoo!広告やMicrosoft広告など、複数の検索広告プラットフォームを一元管理できるツールです。

GA360と連携することで、すべての検索広告の効果を統合的に分析し、最適な予算配分を実現できます。

Campaign Managerとの接続

Campaign Managerは、広告配信とトラッキングを一元管理できるツールです。GA360と連携することで、オンライン広告のすべての接触点を追跡し、正確なアトリビューション分析が可能になります。

これらのツールを組み合わせることで、データ収集から分析、広告配信、効果測定までを一気通貫で管理できる強力なマーケティングエコシステムを構築できます。


外部ツールとの統合戦略

GA360は、Google製品以外の外部ツールとも連携できます。

特に重要なのが、CRM(顧客関係管理)システムやMA(マーケティングオートメーション)ツールとの連携です。これにより、オンライン行動データとオフラインデータを統合し、360度の顧客ビューを構築できます。

CRM(Salesforce等)との連携

GA360の最も強力な機能の一つが、Salesforceとの直接連携です。これにより、以下のことが実現できます。

  • リード情報の同期: Webサイト上の行動データをSalesforceのリード情報に自動的に追加
  • 営業活動の可視化: 営業担当者がどのリードにアプローチすべきかを、Webサイト上の行動から判断
  • コンバージョンの逆流: Salesforceで成約したデータをGA360に戻し、どのマーケティング施策が受注に貢献したかを分析
  • ROI測定の高度化: マーケティング投資から最終的な売上までを一気通貫で測定

例えば、以下のようなワークフローを構築できます。

  1. 見込み客がWebサイトで資料をダウンロード
  2. GA360がその行動を記録し、Salesforceにリードとして登録
  3. 営業担当者がリードにアプローチ
  4. 商談化・受注
  5. 受注データがGA360に戻され、元の流入チャネルや閲覧ページとの関連を分析

MAツールとのデータ同期

Marketo、HubSpot、Pardotなどのマーケティングオートメーションツールと連携することで、以下が可能になります。

  • スコアリングの精度向上: Webサイト上の行動データをMAツールのリードスコアリングに活用
  • セグメントの同期: GA360で作成したセグメントをMAツールのメール配信に活用
  • パーソナライゼーション: ユーザーの行動履歴に基づいて、最適なメールコンテンツを配信
  • カスタマージャーニーの可視化: メール開封からWebサイト訪問、コンバージョンまでの流れを追跡

BIツールでの可視化

Tableau、Power BI、Looker(Looker Studioとは別製品)などのBIツールと連携することで、より高度なデータ可視化が可能になります。

BigQueryにエクスポートされたGA360のデータと、社内の基幹システムのデータを統合し、経営ダッシュボードを構築することで、データドリブンな意思決定を支援できます。

これらの外部ツールとの統合により、GA360を中心としたマーケティングデータ基盤を構築し、組織全体でデータを活用できるようになります。


組織的なデータ活用体制の構築

GA360の効果を最大化するには、組織全体でデータを活用する文化を醸成することが重要です。

ツールを導入しただけでは成果は出ません。組織的にデータを活用する体制を構築し、継続的に改善していくことが必要です。

データガバナンスポリシーの策定

データガバナンスとは、データの品質、セキュリティ、アクセス権限などを管理する仕組みです。GA360を効果的に運用するには、以下のようなポリシーを策定します。

  • データ定義の標準化: イベント名、パラメータ名などの命名規則を統一
  • タグ設置のルール: 誰が、どのような手順でタグを追加・変更できるかを明確化
  • アクセス権限の管理: 部門や役職に応じて、閲覧・編集できるデータを制限
  • データ品質のチェック: 定期的にデータの正確性を検証し、異常値を検出
  • プライバシーポリシーの遵守: GDPRやCCPAなどの規制に準拠したデータ収集と管理

データガバナンスポリシーを文書化し、全社で共有することで、データの信頼性が向上し、安心してデータに基づいた意思決定ができるようになります。

定期的なトレーニング実施

GA360は機能が豊富で常にアップデートされるため、継続的な学習が必要です。以下のようなトレーニングプログラムを実施しましょう。

  • 月次勉強会: 最新機能やベストプラクティスの共有
  • 新入社員向けオンボーディング: GA360の基本操作と社内ルールの教育
  • 部門別ワークショップ: 各部門の業務に特化した活用方法を学習
  • 外部セミナーへの参加: Google主催のイベントやパートナー企業のセミナーに参加
  • 資格取得の推奨: Google Analytics認定資格の取得を奨励

特に重要なのは、実践的なトレーニングです。座学だけでなく、実際のデータを使ったハンズオン形式の研修を実施することで、スキルが定着します。

成功指標(KPI)の設定と追跡

GA360導入の効果を測定するために、明確なKPIを設定します。

  • 分析効率: レポート作成にかかる時間、データ抽出の工数
  • ビジネス成果: コンバージョン率、売上、広告ROI
  • データ活用度: GA360にアクセスするユーザー数、レポート閲覧数
  • データ品質: タグエラーの発生率、データの正確性
  • 組織変革: データに基づいた意思決定の割合、データリテラシースコア

これらのKPIを定期的に追跡し、経営層に報告することで、GA360投資の価値を可視化できます。また、改善が必要な領域を特定し、継続的な最適化につなげられます。

成功事例の社内共有

GA360を活用して成果を上げた事例を社内で共有することで、他部門への展開が加速します。

  • 月次レポート: 主要なKPIの推移と成功事例を全社に共有
  • ケーススタディ: 具体的な施策とその効果を詳細にドキュメント化
  • 表彰制度: データ活用で顕著な成果を上げたチームを表彰
  • ナレッジベースの構築: 分析手法やSQLクエリなどをドキュメント化し、全社で共有

組織的なデータ活用体制を構築することで、GA360の投資効果を最大化し、持続的な競争優位を確立できます。


Google Analytics 360に関するよくある質問(FAQ)

GA4の無料版からGA360へ移行すべきタイミングは?

GA360への移行タイミングは、データ量とビジネスへの影響度で判断します。

無料版のGA4で十分なケースもあれば、GA360が必要なケースもあります。以下の基準で判断しましょう。

データ量の目安

月間イベント数が1,000万を超えるようになったら、GA360への移行を検討すべきタイミングです。この水準になると、無料版ではサンプリングが頻繁に発生し、正確なデータ分析が困難になります。

具体的には、以下のような状況であればGA360が必要です。

  • 月間PV数が1,000万以上
  • 月間イベント数が1,000万以上
  • 日次のアクティブユーザー数が10万人以上
  • ECサイトで月間トランザクション数が10万件以上

サンプリングの影響度

サンプリングが発生しているかどうかは、GA4の管理画面で確認できます。データ探索レポートを作成する際に、レポート上部に「このレポートはサンプリングされたデータに基づいています」という警告が表示される場合、サンプリングが発生しています。

サンプリング率が10%以下(つまり、全データの10%のみを使って分析している)になると、誤差が大きくなり、正確な意思決定が困難になります。この状態が頻繁に発生するようであれば、GA360への移行を検討すべきです。

判断チェックリスト

以下のチェックリストで、5項目以上に該当する場合は、GA360への移行を検討する価値があります。

  • [ ] 月間イベント数が1,000万を超えている
  • [ ] サンプリングにより、正確なデータが取得できていない
  • [ ] A/Bテストの結果が不正確で、判断に迷うことがある
  • [ ] 広告予算が年間1億円以上で、ROIの正確な測定が必要
  • [ ] 14ヶ月以上のデータ保持が必要
  • [ ] BigQueryに大量データをエクスポートしたい
  • [ ] Salesforceとの連携が必要
  • [ ] データ分析の専任チームがいる
  • [ ] データに基づいた意思決定が事業成長の鍵を握っている
  • [ ] トラブル発生時の迅速なサポートが必要

逆に、以下に該当する場合は、無料版のGA4で十分です。

  • 月間イベント数が500万以下
  • サンプリングの影響がほとんどない
  • 基本的なアクセス解析のみで十分
  • データ分析の専任チームがいない

移行を決断する際は、ROI試算を行い、投資に見合う効果が期待できるかを慎重に評価しましょう。


GA360の契約期間と解約条件は?

GA360の契約は、一般的に1年単位の年間契約となります。

Google Marketing Platformの他のサービスと同様、GA360も年間契約が基本です。契約の詳細は以下の通りです。

最低契約期間

最低契約期間は1年間です。途中解約は原則として認められておらず、1年間の契約期間中は料金が発生します。ただし、特別な事情がある場合は、Googleまたはセールスパートナーとの交渉により、例外的に対応される場合もあります。

大企業の場合、3年契約などの長期契約を結ぶことで、割引が適用されることがあります。長期契約を検討する際は、自社のビジネス計画とGA360の必要性を慎重に評価しましょう。

自動更新の有無

契約は基本的に自動更新となります。契約期間満了の一定期間前(通常は30〜60日前)までに解約の申し出がない限り、同条件で自動的に契約が更新されます。

契約更新を希望しない場合は、契約書に記載された期限までに、書面またはメールで解約の意思を通知する必要があります。期限を過ぎてからの解約申し出は、次の契約期間の解約扱いとなり、さらに1年間の料金が発生する可能性があるため、注意が必要です。

中途解約時のペナルティ

原則として、契約期間中の中途解約は認められていません。仮に中途解約が認められた場合でも、以下のようなペナルティが発生する可能性があります。

  • 残契約期間分の料金の一部または全額の支払い
  • 解約手数料の発生
  • BigQueryにエクスポートしたデータへのアクセス制限

契約前に、解約条件を詳細に確認し、万が一の場合のリスクを理解しておくことが重要です。

ダウングレードの選択肢

GA360から無料版のGA4にダウングレードすることは可能です。ダウングレードすると、以下のようになります。

  • GA360固有の機能(非サンプリングレポート、高度なBigQueryエクスポートなど)が使えなくなる
  • 既存のデータは保持されるが、無料版の制限が適用される
  • 専任アカウントマネージャーのサポートが終了する

ダウングレードを希望する場合は、契約更新のタイミングで行うのが一般的です。契約期間中のダウングレードは、中途解約と同様の扱いとなる場合があるため、注意が必要です。

契約条件は、契約書に詳細に記載されています。不明点がある場合は、契約前に必ずGoogleまたはセールスパートナーに確認しましょう。


GA360のデータ保証とSLAは?

GA360では、無料版にはないサービスレベル保証(SLA)が提供されます。

SLA(Service Level Agreement)とは、サービス提供者が顧客に対して保証するサービスの品質水準のことです。GA360では、以下のような保証が提供されます。

稼働率保証

GA360では、月間稼働率99.9%が保証されています。これは、1ヶ月(30日)のうち、サービスが利用できない時間が最大でも43分程度であることを意味します。

稼働率99.9%の内訳は以下の通りです。

  • 1年間で許容されるダウンタイム: 約8.76時間
  • 1ヶ月間で許容されるダウンタイム: 約43分
  • 1週間で許容されるダウンタイム: 約10分

無料版のGA4には稼働率保証がなく、万が一システムダウンが発生しても補償はありません。ミッションクリティカルなビジネスを運営している企業にとって、この保証は大きな安心材料となります。

データ損失時の補償

万が一、Googleのシステム障害によりデータが損失した場合、GA360の契約には補償条項が含まれています。具体的な補償内容は契約により異なりますが、一般的には以下のようなものが含まれます。

  • サービス利用料金の一部返金
  • 契約期間の延長
  • 追加のサポートサービスの提供

ただし、ユーザー側の設定ミスや、外部要因(ネットワーク障害など)によるデータ損失は補償の対象外となります。そのため、重要なデータはBigQueryにエクスポートして二重にバックアップしておくことを推奨します。

サポート応答時間

GA360では、専任アカウントマネージャーによる迅速なサポートが保証されています。

  • 緊急度:高: 4時間以内に初回応答
  • 緊急度:中: 8時間以内に初回応答
  • 緊急度:低: 24時間以内に初回応答

さらに、プレミアムサポートを契約している場合は、24時間365日の緊急対応が可能です。重大なシステム障害が発生した場合でも、即座にGoogleのエンジニアに連絡できるため、ビジネスへの影響を最小限に抑えられます。

無料版のGA4では、このような手厚いサポートは提供されず、基本的にコミュニティフォーラムでの自己解決が前提となります。

SLAの詳細は、契約書に明記されています。契約前に必ず確認し、自社のビジネス要件を満たしているかを確認しましょう。


中小企業でもGA360は導入可能?

技術的には可能ですが、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

GA360は、年間数百万円〜数千万円の投資となるため、中小企業にとっては大きな負担となります。しかし、ビジネスの特性によっては、中小企業でもGA360が有効なケースがあります。

費用対効果の考え方

中小企業がGA360を導入すべきかどうかは、以下の観点で評価します。

ケース1:導入すべき中小企業

  • 月間PV数は少ないが、1件あたりの取引額が非常に高い(B2B SaaS、不動産、高額商材など)
  • データ分析の精度向上が、直接的に売上増加につながる
  • 競合他社に対してデータ分析で差別化したい
  • 急成長フェーズで、将来的には大規模サイトになる見込みがある

例えば、年間売上10億円のB2B SaaS企業で、1件の受注で1,000万円の売上がある場合、GA360による分析精度向上で受注率が5%改善すれば、年間5,000万円の売上増加が期待できます。GA360のコストが年間2,000万円としても、十分にROIが見込めます。

ケース2:導入すべきでない中小企業

  • 月間PV数が100万以下
  • 取引額が小さく、1件あたりの利益が数千円程度
  • データ分析の専門人材がおらず、活用しきれない
  • 無料版のGA4で十分な分析ができている

例えば、年間売上5,000万円の小規模ECサイトの場合、GA360に年間2,000万円を投資するのは現実的ではありません。この場合は、無料版のGA4で基本的な分析を行い、その分の予算を広告費や商品開発に投資した方が効果的です。

段階的な導入アプローチ

中小企業がGA360を導入する場合、以下のような段階的アプローチを推奨します。

フェーズ1: 無料版GA4での基盤構築(6〜12ヶ月)

  • GA4を導入し、基本的なタグ設定と分析を実施
  • データ分析の専任担当者を配置し、スキルを育成
  • BigQueryへのエクスポートを開始し、データ基盤を構築
  • ROIを測定し、データ分析の効果を実証

フェーズ2: 成長とデータ量増加(12〜24ヶ月)

  • ビジネスが成長し、月間PV数が増加
  • サンプリングの影響が顕著になる
  • データ分析による成果が明確になり、経営層の理解が深まる

フェーズ3: GA360導入(24ヶ月以降)

  • データ量とビジネスへの影響度を評価し、GA360導入を決定
  • 社内体制とスキルが整っており、スムーズに運用開始

このアプローチにより、投資リスクを最小限に抑えながら、段階的にデータ活用を高度化できます。

代替ソリューション

GA360が予算的に厳しい場合、以下の代替ソリューションも検討できます。

  • 無料版GA4 + BigQuery: BigQueryを活用することで、GA360に近い分析が可能(ただし、サンプリングは解消されない)
  • Adobe Analytics: GA360の競合製品で、価格帯も近い。一部機能ではGA360より優れている
  • Mixpanel / Amplitude: プロダクトアナリティクスに特化したツールで、SaaS企業に向いている
  • オープンソース(Matomo): 完全に自社でホストするため、データの完全なコントロールが可能(ただし、運用負荷は高い)

中小企業がGA360を導入する際は、費用対効果を慎重に評価し、自社のビジネスフェーズに合った判断をすることが重要です。


Universal Analytics版のGA360はどうなる?

Universal Analytics版のGA360は、2024年7月1日にサポートが終了しました。

Googleは、2023年7月1日に無料版のUniversal Analytics(UA)のサポートを終了し、2024年7月1日にはUniversal Analytics版のGA360もサポートを終了しました。現在は、GA4ベースのGA360のみが提供されています。

GA4への移行状況

Universal Analytics版のGA360を利用していた企業は、すでにGA4版のGA360に移行済みか、移行作業中です。移行が完了していない場合、以下のような影響があります。

  • データ収集の停止: 2024年7月1日以降、UAでの新規データ収集は停止
  • 管理画面へのアクセス制限: 2024年10月1日以降、UAの管理画面にアクセスできなくなる可能性
  • データの完全削除: 2025年7月1日以降、UAのデータが完全に削除される可能性

まだ移行していない場合は、至急GA4への移行を完了させる必要があります。

データ移行の方法

UAからGA4へのデータ移行は、以下の方法で行います。

1. 過去データのエクスポート

UAの過去データは、GA4には自動的には移行されません。そのため、以下の方法で過去データを保存します。

  • BigQueryへのエクスポート: UAのデータをBigQueryにエクスポートし、長期保存
  • Googleスプレッドシートへのエクスポート: 重要なレポートをスプレッドシートにエクスポート
  • PDF/CSVでの保存: 主要なレポートをPDFやCSV形式で保存

2. GA4の新規設定

GA4は、UAとは全く異なる仕組みで動作するため、タグの再設定が必要です。

  • GA4プロパティの作成: 新規にGA4プロパティを作成
  • タグの設置: Google Tag Managerを使ってGA4のタグを設置
  • イベントの設定: UAの目標をGA4のイベントとして再設定
  • コンバージョンの定義: GA4でコンバージョンイベントを定義

3. 並行運用期間の確保

UAとGA4を並行して運用することで、データの連続性を確保します。

  • 最低でも3〜6ヶ月間は並行運用を実施
  • UAとGA4のデータを比較し、差異を理解
  • GA4のデータが安定したことを確認してから、UAを停止

並行運用の考え方

UAとGA4は計測方法が異なるため、完全に同じ数値にはなりません。主な違いは以下の通りです。

項目UAGA4
計測単位ページビュー(セッションベース)イベント(ユーザーベース)
セッション定義30分間操作がないとセッション終了エンゲージメント重視の定義
直帰率ページビューが1だけのセッションエンゲージメントがないセッション

これらの違いを理解した上で、GA4のデータを新しい基準として受け入れることが重要です。

UA版のGA360を利用していた企業は、すでに移行を完了しているか、急ぎ移行作業を進める必要があります。不明点がある場合は、専任アカウントマネージャーまたはセールスパートナーに相談しましょう。


GA360のトレーニングは受けられる?

GA360では、専任アカウントマネージャーによる充実したトレーニングプログラムが提供されます。

無料版のGA4とは異なり、GA360では人的サポートが手厚く、導入から運用まで継続的にトレーニングを受けられます。

公式トレーニングプログラム

GA360の契約に含まれる主なトレーニングプログラムは以下の通りです。

1. 初期オンボーディングトレーニング

契約後、専任アカウントマネージャーによる初期トレーニングが実施されます。内容は以下の通りです。

  • GA360の基本操作と管理画面の使い方
  • 非サンプリングレポートの活用方法
  • BigQueryエクスポートの設定と活用
  • データドリブンアトリビューションの使い方
  • Google Marketing Platform他製品との連携方法

トレーニングは通常2〜3日間で、オンラインまたはオンサイトで実施されます。

2. 定期的なベストプラクティス共有

四半期ごとにビジネスレビューが実施され、以下のような情報が共有されます。

  • 最新機能のアップデート情報
  • 業界別のベストプラクティス
  • 他社の成功事例
  • データ活用のヒント

3. カスタムトレーニング

標準トレーニング以外に、自社の課題に特化したカスタムトレーニングを依頼することも可能です(別途費用が発生する場合があります)。

  • 特定業界向けのトレーニング(EC、SaaS、メディアなど)
  • 高度な分析手法のトレーニング(SQLクエリ、機械学習など)
  • 部門別トレーニング(マーケティング、営業、経営層など)

認定資格制度

Googleは、Google Analytics Individual Qualification(GAIQ)という認定資格を提供しています。この資格は無料で受験でき、GA4の基礎知識を証明できます。

GA360を活用する担当者には、この資格の取得を推奨します。資格取得により、以下のメリットがあります。

  • 体系的にGA4の知識を習得できる
  • 社内外で専門性を証明できる
  • キャリアアップにつながる

試験はオンラインで受験でき、合格すると認定証がもらえます。有効期限は12ヶ月なので、定期的に再受験して知識を更新しましょう。

パートナー企業のサポート

セールスパートナー経由でGA360を契約している場合、パートナー企業から追加のサポートやトレーニングを受けられることがあります。

主なサポート内容は以下の通りです。

  • 導入コンサルティング
  • タグ実装サポート
  • カスタムダッシュボード作成
  • 定期的な分析レポート提供
  • データ分析代行サービス

特に、社内にデータ分析の専門家がいない場合は、パートナー企業のサポートを活用することで、GA360を効果的に運用できます。

トレーニングを最大限活用することで、GA360への投資効果を高め、組織全体のデータリテラシーを向上させることができます。


Google Analytics 360の代替ツール比較

Adobe Analytics

Adobe Analyticsは、GA360の最大の競合製品であり、一部の機能ではGA360を上回ります。

Adobe Analyticsは、Adobe Experience Cloudの一部として提供されるエンタープライズ向けアクセス解析ツールです。GA360と同様に、大規模サイトや企業向けに設計されており、高度なデータ分析機能を提供します。

機能比較

GA360とAdobe Analyticsの主な機能を比較すると、以下のようになります。

機能GA360Adobe Analytics
データ処理能力月間25億イベント以上無制限(サーバーコール課金)
サンプリング非サンプリング対応非サンプリング対応
リアルタイム分析対応対応
セグメンテーション高度より高度(無制限のセグメント作成)
アトリビューションデータドリブン対応より詳細なモデル選択可能
カスタマイズ性中〜高非常に高い
UI/UX直感的複雑(学習曲線が急)
データ保持期間最大50ヶ月無制限(追加料金で)
外部連携Google製品と強力Adobe製品と強力

料金帯の違い

Adobe Analyticsの料金は、GA360と同程度か、やや高めです。

  • GA360: 年間約2,000万円〜(月間25億イベントまで固定、超過分は従量課金)
  • Adobe Analytics: 年間約2,500万円〜(サーバーコール数に応じた従量課金)

Adobe Analyticsは、サーバーコール(データ送信)ごとに課金されるため、イベントトラッキングを多用するサイトでは、GA360よりもコストが高くなる可能性があります。

選択基準

以下のような企業には、Adobe Analyticsが向いています。

  • 既にAdobe製品を活用している: Adobe Experience ManagerやAdobe Targetなど、他のAdobe製品を使っている場合、統合が容易
  • 高度なセグメンテーションが必要: 無制限のセグメント作成や、より複雑な条件でのユーザー分類が必要
  • データアナリストチームが充実: Adobe Analyticsは学習曲線が急ですが、使いこなせれば非常に強力
  • データ保持期間の制限を受けたくない: 長期間のデータ保持が重要なビジネス

一方、以下のような企業には、GA360が向いています。

  • Google広告を多用している: Google広告やDisplay & Video 360との連携が強力
  • シンプルで直感的なUIを好む: GA360の方が学習しやすい
  • BigQueryを活用したい: GA360はBigQueryとの親和性が非常に高い
  • コストを抑えたい: 一般的にGA360の方が初期コストは低め

どちらを選ぶかは、既存のマーケティングスタック、社内のスキルセット、予算などを総合的に考慮して判断しましょう。


Mixpanel

Mixpanelは、プロダクトアナリティクスに特化したツールで、SaaS企業に人気があります。

Mixpanelは、ユーザーの行動を詳細に追跡し、プロダクトの改善につなげることに特化したアナリティクスツールです。GA360とは異なるアプローチで、プロダクト中心の分析を実現します。

プロダクトアナリティクスとしての強み

Mixpanelの最大の特徴は、ユーザー単位での行動追跡に優れている点です。GA360がセッションやイベントを中心に分析するのに対し、Mixpanelは個々のユーザーのライフサイクル全体を追跡します。

主な強みは以下の通りです。

  • ユーザーコホート分析: 特定の期間に登録したユーザーグループの継続率や行動パターンを分析
  • ファネル分析: オンボーディングプロセスや購買プロセスの各ステップでの離脱率を詳細に分析
  • リテンション分析: ユーザーがどの程度リピートして利用するかを可視化
  • A/Bテスト: プロダクト内でのA/Bテストを簡単に実施・分析
  • プッシュ通知・メール配信: 分析とアクション(通知配信)が一体化

GA360との使い分け

Mixpanelは、GA360とは異なる用途に適しています。

用途GA360Mixpanel
Webサイトのアクセス解析
広告効果測定
プロダクト内のユーザー行動分析
リテンション分析
コホート分析
ファネル分析
大規模サイトのデータ処理

料金比較

Mixpanelの料金は、トラッキングするユーザー数(MTU: Monthly Tracked Users)に応じて変動します。

  • 無料プラン: 月間100万イベントまで無料
  • 有料プラン: 月間約10万円〜(月間1,000万イベント程度)
  • エンタープライズプラン: 見積もりベース(月間数億イベント)

GA360と比較すると、小〜中規模のプロダクトであればMixpanelの方がコストを抑えられます。ただし、大規模サイトになると、GA360と同程度か、それ以上のコストになる可能性があります。

どちらを選ぶべきか

以下のような企業には、Mixpanelが向いています。

  • SaaSやモバイルアプリを提供: プロダクト内のユーザー行動分析が重要
  • リテンション改善が最優先: チャーン率削減やエンゲージメント向上が目標
  • アクショナブルな分析が必要: 分析結果を即座に施策に反映したい
  • 小〜中規模のユーザーベース: 月間アクティブユーザー数が数十万〜数百万程度

一方、以下のような企業には、GA360が向いています。

  • Webサイト中心のビジネス: ECサイトやメディアサイトなど
  • 広告効果測定が重要: Google広告など外部広告との連携が必須
  • 大規模なデータ処理: 月間数億ヒットのアクセスがある
  • 包括的なマーケティング分析: 広告、SEO、コンテンツマーケティングなど全体を統合分析

実際には、GA360とMixpanelを併用する企業も多く、Webサイトのアクセス解析はGA360、プロダクト内の行動分析はMixpanelという使い分けが効果的です。


Amplitude

Amplitudeは、行動分析に特化したツールで、データサイエンスの専門知識がなくても高度な分析が可能です。

Amplitudeは、Mixpanelと同様にプロダクトアナリティクスに特化したツールですが、より高度な分析機能と使いやすさを両立している点が特徴です。

行動分析に特化した機能

Amplitudeの最大の特徴は、ユーザー行動のパスを詳細に可視化できる点です。主な機能は以下の通りです。

  • Pathfinder(パスファインダー): ユーザーがどのような経路でプロダクトを利用しているかを自動的に発見
  • Behavioral Cohorting: 特定の行動パターンを示すユーザーグループを自動的に抽出
  • Predictive Analytics: 機械学習により、ユーザーの将来の行動を予測
  • Revenue LTV: ユーザーの生涯価値を自動計算
  • Experiment Results: A/Bテストの結果を統計的に分析

これらの機能により、データサイエンティストでなくても、プロダクトマネージャーやマーケターが高度な分析を実施できます。

GA360との機能比較

機能GA360Amplitude
Webサイト分析
アプリ分析
ユーザーパス分析
予測分析
A/Bテスト
広告連携
データ保持期間50ヶ月無制限
リアルタイム分析

価格比較

Amplitudeの料金体系は、トラッキングするイベント数に応じて変動します。

  • 無料プラン: 月間1,000万イベントまで無料(機能制限あり)
  • 有料プラン: 月間約15万円〜(月間数千万イベント)
  • エンタープライズプラン: 見積もりベース(年間数百万円〜)

GA360と比較すると、小〜中規模であればAmplitudeの方がコストを抑えられます。ただし、大規模になると価格差は縮まります。

選択基準

以下のような企業には、Amplitudeが向いています。

  • プロダクト改善が最優先: 機能追加や UI/UX改善のためのデータが必要
  • データサイエンスチームがいない: 専門知識がなくても高度な分析が可能
  • スタートアップ〜成長企業: 無料プランから始められ、成長に合わせてスケール
  • モバイルアプリ中心: アプリ内のユーザー行動分析に特化

一方、以下のような企業には、GA360が向いています。

  • Webサイト中心: ECサイト、メディアサイトなど
  • Google広告を多用: Google Marketing Platformとの統合が重要
  • 大規模サイト: 月間数億ヒット以上のアクセスがある
  • 包括的なマーケティング分析: SEO、広告、コンテンツなど全体を分析

Amplitude、Mixpanel、GA360を比較すると、以下のような使い分けができます。

  • GA360: Webサイトのアクセス解析と広告効果測定
  • Mixpanel: SaaS/アプリのユーザー行動分析とエンゲージメント改善
  • Amplitude: プロダクト改善のための詳細な行動分析と予測

実際には、これらを組み合わせて使う企業も多く、それぞれの強みを活かした分析体制を構築できます。


オープンソース系(Matomo等)

オープンソースのアナリティクスツールは、データの完全なコントロールが可能ですが、運用負荷が高くなります。

Matomoは、最も有名なオープンソースのアクセス解析ツールで、Googleアナリティクスの代替として利用されています。完全に自社サーバーでホストできるため、データのプライバシーとセキュリティを完全にコントロールできます。

コスト面でのメリット

Matomoの最大のメリットは、コストを大幅に抑えられる点です。

  • オープンソース版: 完全無料(ただし、サーバー代と運用コストは発生)
  • クラウド版: 月間約5万PVで月額2,000円程度から(PV数に応じて変動)
  • エンタープライズ版: 月額数万円〜(高度な機能とサポート付き)

GA360が年間2,000万円以上かかるのに対し、Matomoであれば年間数十万円〜数百万円で運用可能です。ただし、これには自社でのサーバー管理やメンテナンスのコストは含まれていません。

カスタマイズ性

Matomoはオープンソースのため、ソースコードを自由に修正できます。これにより、以下のようなカスタマイズが可能です。

  • 独自のトラッキング機能追加: 自社のビジネスに特化した計測項目を追加
  • カスタムレポート作成: 標準レポート以外に、独自のレポート画面を開発
  • 他システムとの統合: 社内の基幹システムと直接連携
  • プラグイン開発: 必要な機能を自作またはコミュニティから取得

このカスタマイズ性は、GA360では実現できない柔軟性をもたらします。

運用負荷の比較

一方で、Matomoを自社でホストする場合、以下のような運用負荷が発生します。

項目GA360Matomo(自社ホスト)
サーバー管理不要必要
ソフトウェア更新自動手動
スケーリング自動手動
バックアップ自動手動
セキュリティ対策Google が管理自社で管理
トラブルシューティングサポートあり自己解決

大規模サイトの場合、Matomoを安定稼働させるには、専任のインフラエンジニアが必要になる可能性があります。

プライバシーとコンプライアンス

Matomoの最大の利点は、データを完全に自社でコントロールできる点です。これは、以下のようなメリットをもたらします。

  • GDPR完全準拠: データが自社サーバーに保存されるため、EU圏外へのデータ移転の問題がない
  • プライバシー保護: Cookie同意なしでも利用可能な設定が可能
  • データ主権: 特定の国や業界で求められるデータの国内保管要件を満たせる
  • セキュリティ: 外部サービスにデータを送信しないため、情報漏洩リスクが低い

金融業界、医療業界、政府機関など、厳格なデータ管理が求められる組織では、この点が大きな価値となります。

どちらを選ぶべきか

以下のような組織には、Matomoが向いています。

  • 厳格なプライバシー要件: GDPRなど、データ保護規制が厳しい
  • データ主権が重要: データを国外に出せない
  • 技術力が高い: 自社でサーバー管理できるエンジニアチームがいる
  • コストを抑えたい: 予算が限られているが、高度な分析は必要

一方、以下のような企業には、GA360が向いています。

  • 運用負荷を最小化したい: サーバー管理に人員を割けない
  • スケーラビリティが重要: トラフィックが急増しても自動対応
  • Google製品との連携: Google広告などとシームレスに連携したい
  • 手厚いサポートが必要: 専任アカウントマネージャーのサポートが欲しい

Matomoは、GA360の代替として有力な選択肢ですが、運用負荷とのトレードオフを十分に検討する必要があります。クラウド版のMatomoを選択することで、運用負荷を軽減しながらプライバシー保護のメリットを享受することも可能です。


まとめ:Google Analytics 360導入の判断基準

GA360が適している企業の特徴(チェックリスト)

以下のチェックリストで、自社にGA360が適しているかを判断しましょう。

GA360は強力なツールですが、すべての企業に必要なわけではありません。以下の項目をチェックし、5項目以上に該当する場合は、GA360の導入を検討する価値があります。

データ量とビジネス規模

  • [ ] 月間PV数が1,000万以上ある
  • [ ] 月間イベント数が1,000万以上ある
  • [ ] 年間売上が10億円以上ある
  • [ ] 日次のアクティブユーザー数が10万人以上いる
  • [ ] ECサイトで月間トランザクション数が10万件以上ある

データ分析の重要性

  • [ ] 正確なデータ分析が事業成長に直結する
  • [ ] データに基づいた意思決定が組織文化として定着している
  • [ ] サンプリングにより、現在正確なデータが取得できていない
  • [ ] 1%の誤差が数百万円〜数千万円の影響を与えるビジネスである
  • [ ] 広告予算が年間1億円以上で、ROIの正確な測定が必要

組織体制とスキル

  • [ ] データ分析の専任チームが存在する(最低1名以上)
  • [ ] BigQueryなどのデータ基盤を活用する計画がある
  • [ ] データドリブンな組織文化を構築したい
  • [ ] 社内にSQLやデータ分析のスキルを持つメンバーがいる
  • [ ] 継続的にデータ活用のスキルを向上させる意欲がある

技術要件と連携

  • [ ] 14ヶ月以上のデータ保持が必要である
  • [ ] Salesforceなど外部ツールとの連携が必要である
  • [ ] 複数のサイト・アプリのデータを統合分析したい
  • [ ] 機械学習を活用した予測分析を実施したい
  • [ ] リアルタイムでのデータ分析と施策実行が重要である

予算とROI

  • [ ] 年間2,000万円以上のツール投資が可能である
  • [ ] GA360によるROIが明確に見込める
  • [ ] データ分析への投資を経営層が理解・支援している
  • [ ] 段階的に投資を拡大していく計画がある
  • [ ] トラブル発生時の迅速なサポートに価値を感じる

チェック結果の評価

  • 15項目以上該当: GA360の導入を強く推奨。すぐに検討を開始しましょう
  • 10〜14項目該当: GA360の導入メリットが大きい。ROI試算を行い、具体的に検討しましょう
  • 5〜9項目該当: 条件次第でGA360が有効。段階的な導入を検討しましょう
  • 4項目以下該当: 現時点では無料版GA4で十分。将来的な導入を視野に入れましょう

このチェックリストは、あくまで目安です。自社の状況を総合的に評価し、最適な判断を行いましょう。


無料版GA4で十分な企業の特徴

以下のような企業は、無料版のGA4で十分にビジネスニーズを満たせます。

GA360は魅力的なツールですが、すべての企業に必要なわけではありません。以下に該当する企業は、まず無料版のGA4を最大限活用することをお勧めします。

データ量が少ない

月間PV数が100万以下、イベント数が500万以下のサイトであれば、無料版のGA4でサンプリングが発生することはほとんどありません。基本的なアクセス解析であれば、十分に正確なデータが取得できます。

小規模サイトや、立ち上げ初期のビジネスでは、高額なGA360に投資するよりも、その予算を広告費や商品開発に充てた方が効果的です。

サンプリングの影響が限定的

データ量がやや多くても、サンプリングが発生する頻度が低く、ビジネスへの影響が小さい場合は、無料版で十分です。

例えば、以下のようなケースです。

  • 主要なKPIはサンプリングなしで測定できている
  • サンプリング率が50%以上(全データの半分以上を使って分析)
  • 大まかな傾向が把握できれば十分で、厳密な数値は不要
  • A/Bテストの結果が明確で、サンプリングの影響を受けない

基本的な分析で十分

ビジネスの性質上、高度なデータ分析が必要ない場合もあります。

  • ページビュー、ユーザー数、コンバージョン率などの基本指標で十分
  • BigQueryを使った高度な分析は不要
  • 機械学習による予測分析は必要ない
  • Salesforceなど外部ツールとの連携は不要

中小企業や、データ分析よりも商品・サービスの質向上に注力すべき段階のビジネスでは、シンプルな分析で十分です。

データ分析の専任チームがいない

GA360の高度な機能を使いこなすには、データ分析の専門スキルが必要です。専任のアナリストがいない場合、GA360に投資しても宝の持ち腐れになる可能性があります。

まずは無料版のGA4で基本的な分析を習得し、スキルと組織体制が整ってからGA360を検討するのが現実的です。

代替手段で対応可能

一部の機能は、無料版のGA4でも工夫次第で実現できます。

  • 長期データ保持: BigQueryへの無料エクスポート(1日100万イベントまで)を活用
  • 高度な分析: Google Data Studio(Looker Studio)で可視化
  • 外部連携: Zapierなどの連携ツールを活用
  • サポート: オンラインコミュニティや外部コンサルタントを活用

これらの代替手段で対応できる間は、無料版で運用し、将来的にGA360へ移行する戦略も有効です。

無料版GA4で十分な企業の典型例は以下の通りです。

  • 月間PV数10万の中小企業のコーポレートサイト
  • スタートアップのサービスサイト(ユーザー数数千人規模)
  • 地域密着型の小規模ECサイト
  • 個人ブログやアフィリエイトサイト
  • BtoB企業の情報サイト(リード獲得が主目的)

これらの企業は、まず無料版のGA4を徹底的に使いこなし、ビジネスが成長してGA360が必要になった段階で移行を検討しましょう。


次のステップ:導入検討の進め方

GA360の導入を検討する場合、以下のステップで進めましょう。

衝動的に導入を決めるのではなく、段階的に検討を進めることで、失敗のリスクを最小限に抑えられます。

1. 現状のデータ量と課題の整理

まず、自社の現状を正確に把握します。

  • データ量の測定: GA4の管理画面で、月間イベント数、PV数を確認
  • サンプリングの確認: データ探索レポートでサンプリングがどの程度発生しているかを確認
  • 課題のリストアップ: 現在のGA4で困っていること、解決したい課題を具体的に列挙
  • ビジネスインパクトの評価: 各課題がビジネスにどの程度影響を与えているかを定量化

この段階で、本当にGA360が必要かどうかの第一次判断を行います。

2. 公式パートナーへの問い合わせ

GA360導入を検討する価値があると判断したら、Google公式またはセールスパートナーに問い合わせます。

問い合わせ時に提供する情報:

  • 月間PV数、イベント数
  • サイト・アプリの規模と構成
  • 主な課題と解決したいこと
  • 予算感
  • 導入希望時期

複数のパートナーに問い合わせて、サービス内容や料金を比較することをお勧めします。

3. デモンストレーションの依頼

実際にGA360の画面を見て、機能を体験することが重要です。

デモで確認すべきポイント:

  • 非サンプリングレポートの使い方
  • BigQueryエクスポートの設定方法
  • データドリブンアトリビューションの実際の画面
  • 自社データでのシミュレーション(可能であれば)
  • 管理画面の操作性

デモを通じて、GA360が本当に自社の課題を解決できるかを確認します。

4. ROI試算の実施

導入によりどの程度の効果が期待できるかを、具体的な数値で試算します。

試算に含めるべき項目:

  • コスト: GA360の年間利用料、導入コンサルティング費、運用人件費
  • 効果: 広告ROI改善、コンバージョン率向上、工数削減、売上増加
  • ROI: (年間効果 – 年間コスト) / 年間コスト × 100%

ROIが100%以上(つまり、投資額の2倍以上の効果)が見込めれば、導入を前向きに検討できます。

5. 社内稟議と予算確保

ROI試算を基に、経営層への稟議を進めます。

稟議書に含めるべき内容:

  • 背景と課題: 現状の問題点とビジネスへの影響
  • 解決策: GA360導入による課題解決のシナリオ
  • 期待効果: 定量的な効果試算(ROI)
  • 投資金額: 初期費用と年間運用費
  • リスクと対策: 導入失敗のリスクと対策
  • 導入スケジュール: 問い合わせから運用開始までのタイムライン

経営層の承認を得られたら、正式な契約手続きに進みます。

パイロット導入の選択肢

いきなり全社導入するのではなく、特定の部門やサイトでパイロット導入を行う選択肢もあります。

  • 3〜6ヶ月間、限定的に導入
  • 効果を測定し、全社展開の判断材料とする
  • リスクを最小限に抑えながら、実際の効果を確認

GA360導入は大きな投資となるため、慎重に検討を進めることが成功の鍵です。焦らず、段階的に進めましょう。


よくある質問(FAQ)まとめ

この記事で解説した主要な質問を再度まとめます。

  1. GA4の無料版からGA360へ移行すべきタイミングは?
    • 月間イベント数が1,000万を超え、サンプリングが頻繁に発生するようになったタイミング
  2. GA360の契約期間と解約条件は?
    • 1年間の年間契約が基本で、自動更新。中途解約は原則不可
  3. GA360のデータ保証とSLAは?
    • 月間稼働率99.9%を保証。専任サポートによる迅速な対応
  4. 中小企業でもGA360は導入可能?
    • 技術的には可能だが、費用対効果を慎重に検討する必要がある
  5. Universal Analytics版のGA360はどうなる?
    • 2024年7月1日にサポート終了。現在はGA4版のみ提供
  6. GA360のトレーニングは受けられる?
    • 専任アカウントマネージャーによる充実したトレーニングプログラムあり

公式ページ


最後に

Google Analytics 360は、大規模サイトや企業にとって強力なデータ分析ツールです。

この記事では、GA360の基本機能からGA4との違い、料金体系、導入メリット、具体的な活用事例、導入手順まで、包括的に解説しました。

GA360は決して安価なツールではありませんが、正しく活用すれば、投資額を大きく上回るリターンをもたらします。正確なデータに基づいた意思決定により、マーケティングROIの向上、売上増加、競争優位性の確保が実現できます。

一方で、すべての企業にGA360が必要なわけではありません。無料版のGA4で十分なケースも多くあります。この記事で紹介したチェックリストやROI試算方法を活用し、自社にとって最適な判断を行いましょう。

GA360の導入を検討されている方、またはデータ分析の高度化をお考えの方は、ぜひInnoMarkまでご相談ください。データ分析のプロフェッショナルが、貴社のビジネス成長を支援いたします。


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