データ分析の重要性が高まる中、効果的なデータの可視化と分析に悩む方が増えています。
特に、「どのツールを使えばいいのか分からない」「データ分析の学習方法が分からない」といった声をよく耳にします。本記事では、Googleが提供する無料のBIツール「Looker Studio」の効率的な学習方法について詳しく解説します。これから始める方も、すでに基礎を学んでいる方も、それぞれのレベルに合わせた実践的な学習方法を見つけることができます。
Looker Studioは、Googleが提供する無料のデータ可視化・分析ツールです。2022年にGoogle Data Studioからリブランディングされ、より強力な機能と使いやすいインターフェースを備えています。
Looker Studioの概要と主な特徴
Looker Studioの最大の特徴は、データソースとの優れた連携性です。Google Analytics 4やGoogle広告、BigQueryなど、様々なGoogleサービスとシームレスに接続できます。また、CSVファイルやスプレッドシートなど、一般的なデータ形式にも対応しているため、あらゆるビジネスシーンで活用できます。
ドラッグ&ドロップによる直感的な操作性も大きな魅力です。複雑なプログラミングやSQLの知識がなくても、美しいダッシュボードを作成できます。さらに、リアルタイムでデータを更新できる機能により、常に最新の情報を反映したレポートを維持できます。
さらに無料で利用することができるため、幅広いユーザーが利用できる環境がすでにある点もメリットになります。
無料で使える高機能BIツールとしてのメリット
市販のBIツールと比較しても遜色ない機能を無料で提供している点が、Looker Studioの最大の強みです。具体的には以下のような機能が利用できます。
- 豊富なチャートタイプとカスタマイズオプション
- データソースの自動更新機能
- レポートの共有と権限管理
- カスタム計算フィールドの作成
- 条件付き書式設定
- フィルターとパラメータの活用
データ分析スキルの向上と市場価値
Looker Studioの習得は、データ分析スキルの向上に直結します。データの収集から可視化、分析、レポーティングまでの一連のプロセスを効率的に実行できるようになります。特に、デジタルマーケティングやビジネスアナリストの分野では、Looker Studioのスキルを持つ人材への需要が高まっており、キャリアの可能性を大きく広げることができます。
実務での具体的な活用シーン
Looker Studioは、様々なビジネスシーンで活用できる柔軟性を持っています。主な活用シーンとして以下が挙げられます。
マーケティング分析(GA4やサーチコンソールなどのデータ)
- Webサイトのトラフィック分析とユーザー行動の把握
- 広告キャンペーンのROI測定とパフォーマンス最適化
- SNSマーケティングの効果測定と改善提案
セールスレポーティング(スプレッドシートやエクセルデータなど)
- 営業チームの実績可視化とKPI管理
- 商品別・地域別の売上分析
- 顧客セグメント分析とターゲティング
経営管理(スプレッドシートやエクセルなど)
- 部門別業績の可視化と進捗管理
- 経費分析と予算管理
- リアルタイムな経営指標のモニタリング
学習の全体像と習得に必要な期間
Looker Studioの基本的なスキル習得には、通常1〜3ヶ月程度の期間が必要です。
ただし、これは学習者の目標や既存のデータ分析の経験によって大きく変動します。初心者がダッシュボード作成の基礎を習得するには約1ヶ月、実務レベルでの活用には2〜3ヶ月、より高度な分析や複雑なレポート作成までマスターするには4〜6ヶ月程度かかる場合があります。
学習の進め方として、まずは基本的な機能の理解から始めて簡易的なレポートを作ることで理解と運用面などのノウハウも身に付くと思います。
第1段階(1ヶ月目):基礎知識の習得
- インターフェースの理解と基本操作の習得
- 簡単なチャートやグラフの作成
- データソースの接続方法の理解
第2段階(2ヶ月目):実践的スキルの向上
- 複数のデータソースの統合
- カスタム計算フィールドの活用
- レポートのデザインとレイアウト
第3段階(3ヶ月目):応用技術の習得
- 高度なデータ分析手法の実践
- インタラクティブな機能の実装
- チーム内でのレポート共有と管理
シンプルなレポートであれば、テンプレートなどを活用することですぐに作成することも可能です。GA4やサーチコンソールのデータを分析するには少しGA4などの前提知識が必要になる部分がありますが、レポート自体は難しいものではありません。
前提知識とスキルの確認
Looker Studioを効果的に学習するために、以下の前提知識があると学習がスムーズに進みます。ただし、これらの知識がなくても、基本的な機能から段階的に学習することは可能です。
必須の前提知識
- スプレッドシートの基本操作(データの入力、基本的な関数の使用)
- ビジネスデータの基本的な理解(売上、コスト、KPIなど)
- Googleアカウントの作成と基本的な操作
あると望ましい知識
- データ分析の基礎概念(平均、合計、比率の計算など)
- Google AnalyticsやGoogle広告の基本的な理解
- SQL文の基本的な読み方(データベースと接続する場合のみ)
SQL文の理解があれば、データの構造を理解するのは難しくないため、Looker Studioの操作さえ理解すればすぐに利用できるかと思います。Looker studioのデータソースでMySQLのデータソースを使用する場合は、SQL文の知識は必須になります。
しかし、最近ではAIを活用することで効率的にSQL文を記述することも可能です。
段階的な学習アプローチの詳細
効果的な学習を実現するために、以下の段階的学習をおすすめします。
- 基礎学習フェーズ(1-2週間) Looker Studioの基本的な機能と操作方法を学びます。この段階では、サンプルデータを使用して基本的なチャートやグラフの作成に取り組みます。特に重要なのは、データソースの接続方法とベーシックな可視化テクニックの習得です。
もしくは、Looker studioのテンプレートを使用して簡易的なレポートを作成します。 - 実践演習フェーズ(2-4週間) 実際のビジネスデータを使用して、具体的な課題解決に取り組みます。この段階では、自社のデータを活用したダッシュボード作成して理解を深めます。
- 応用技術習得フェーズ(4-8週間) より高度な機能や分析手法を学び、複雑なレポーティングに挑戦します。カスタム計算フィールドの作成や、複数データソースの統合など、実務で使う分析方法の理解をします。
- マスタリーフェーズ(8週間以降) 自動更新レポートの設定やチーム内での効果的な共有方法など、より高度な活用方法を学びます。また、パフォーマンス最適化やトラブルシューティングなどの実践的なスキルも身につけます。
それぞれのフェーズで重要なのは、学んだ内容を実際のレポートに適用し、実際に運用してエライアンドエラーを繰り返します。
おすすめの学習リソースと活用法
Google公式の無料学習コンテンツ
Google公式の学習リソースは、Looker Studioの学習において最も信頼性の高い情報源です。公式ドキュメントでは、基本的な機能の解説から高度な分析手法まで、体系的な学習コンテンツが提供されています。特に、Googleが提供するヘルプセンターには、実践的なチュートリアルや具体的なユースケースが豊富に掲載されており、初心者でも段階的に学習を進めることができます。
一部英語のドキュメントもありますが、参考になります。
実践的なオンラインコースの選び方
現在、特に評価の高いオンラインコースとしては、Udemyの「ゼロから始めるLooker Studioマスター講座」があります。このコースは、基礎から応用まで体系的なカリキュラムが組まれており、実践的な演習を通じて確実にスキルを身につけることができます。また、Google Skillshopの「Looker Studio基礎」コースも、無料で受講できる質の高い学習リソースとして知られています。
Udemyの「ゼロから始めるLooker Studioマスター講座」はこちら
他にもYoutube上でLooker Studioについてのコンテンツもありますので、基礎から解説している動画もあります。
https://www.youtube.com/watch?v=kv-T7vkU4pQ
https://www.youtube.com/watch?v=afwRLmE0Wf4&t=1s
書籍での学習も良いですが、日々アップデートされており、UIが違ったり機能が一部変更になっていたりなどするため、オンラインで学習する方が使用のずれは少なくなるので、効率的に学習できるかと思います。
実践的なハンズオン学習ガイド
基本的なダッシュボード作成の手順
Looker Studioでのダッシュボード作成は、データソースの選択から始まります。最初のステップでは、Google AnalyticsやGoogle スプレッドシートなど、身近なデータソースを使用することをお勧めします。初めてダッシュボードを作成する場合は、以下の手順に従って進めることで、基本的な操作方法を効率的に習得できます。
まず、新規レポートの作成画面で、使用したいデータソースを選択します。この際、サンプルデータを活用することで、実際のビジネスデータを使用する前に、安全に練習することができます。データソースを接続したら、レポートのレイアウトを設計します。効果的なレイアウトは、上部に主要なKPIを配置し、その下に詳細な分析グラフを配置するという構成が一般的です。
サンプルデータはこちら
サンプルデータはGoogleが公式で出しているものがありますので、それを使用してください。
チャートの追加は、画面上部の「追加」ボタンから行います。初めは棒グラフや折れ線グラフなど、基本的なチャートタイプから始めることをお勧めします。各チャートの設定パネルでは、データの選択、軸の設定、フィルターの適用など、様々なカスタマイズが可能です。
データソース接続とデータ加工の実践
データソース接続の実践では、まず単一のデータソースから始めて、徐々に複数のデータソースを組み合わせていく方法が効果的です。例えば、Google AnalyticsのデータとGoogle スプレッドシートのデータを組み合わせることで、オンラインとオフラインのデータを統合した分析が可能になります。
データの加工においては、「データソースの編集」機能を活用します。この機能では、計算フィールドの作成やデータ型の変更、フィルターの設定などが可能です。計算フィールドで売上とコストのデータから利益率を計算したり、日付データから曜日や月を抽出したりするなど、実務で必要な指標を自由に作成できるようになります。
応用レベルの学習ポイント
カスタムフィールドの作成と活用
カスタムフィールドは、Looker Studioの分析機能を最大限に活用するための重要な要素です。基本的な集計や計算を超えて、ビジネスの特性に合わせた独自の指標を作成することで、より深い洞察を得ることができます。例えば、eコマースビジネスにおける顧客生涯価値(LTV)の計算や、マーケティング施策のROI分析など、複雑な指標もカスタムフィールドを活用することで実現可能です。
カスタムフィールドの作成では、まず目的とする分析指標を明確にすることが重要です。その上で、必要なデータ要素を特定し、適切な計算式を設計します。特に注意が必要なのは、データ型の取り扱いです。日付型、数値型、文字列型など、異なるデータ型を組み合わせる場合は、適切な型変換関数を使用する必要があります。また、NULLや欠損値の処理も、正確な分析結果を得るために重要な考慮点となります。
実務ではカスタムフィールドは必須と言ってもいいほど利用頻度が高いです。そのためカスタムフィールドまでは学習して理解しておくことで役に立ちます。
高度なチャート作成とデータビジュアライゼーション
データの効果的な可視化は、分析結果を説得力のある形で伝えるために不可欠です。Looker Studioでは、基本的なグラフ表現に加えて、複合グラフやスコアカード、ヒートマップなど、多様な可視化オプションが用意されています。高度なチャート作成では、データの特性と伝えたいメッセージに応じて、最適な可視化方法を選択することが重要です。
あまり使用頻度は多くないですが、地理データの分析では、GeoMapを活用して地域ごとの差異を視覚的に表現できます。また、条件付き書式を活用することで、重要なデータポイントや異常値を効果的にハイライトすることが可能です。
視覚的な一貫性も重要な要素です。カラーパレットの統一や、フォントスタイルの標準化、適切なスペーシングの設定など、デザイン面での配慮が必要です。また、インタラクティブな要素を適切に組み込むことで、ユーザーが自由にデータを探索できる環境を提供することができます。
レポート共有とコラボレーション機能の活用
効果的なデータ分析には、チーム内での円滑な情報共有が不可欠です。Looker Studioのレポート共有機能では、アクセス権限を付与することでデータを外部に共有することができます。共有機能はシンプルな設計になっているので画面操作を理解すれば使用することができます。
Pro版では、グループに対して共有することも可能です。部署単位や外部の会社単位で共有することができます。大規模なプロジェクトでは非常に有効です。
実務での活用事例と実践テクニック
マーケティングデータの分析事例
マーケティング分野でのLooker Studioの活用は、特に効果的です。複数のツールや複数のデータを結合して、1つのデータとして結合して分析することができるため、マーケティングで重要になるデータを横断的に分析することができます。
Webサイト分析の実践例
- アクセス解析ダッシュボード
- ページビュー、セッション数、直帰率の時系列分析
- ユーザー属性(デバイス、地域、年齢層)の分布
- コンバージョンファネルの可視化
- 人気コンテンツのランキング表示
- 広告効果測定ダッシュボード
- 広告費用対効果(ROAS)の計算と表示
- チャネル別のコンバージョン率比較
- キーワードパフォーマンスの分析
- 時間帯別の広告効果測定
主要な分析指標とその設定方法
// コンバージョン率の計算
SAFE_DIVIDE(SUM(conversions), SUM(sessions)) * 100
// ROASの計算
SAFE_DIVIDE(SUM(revenue), SUM(ad_cost)) * 100
// 平均セッション時間
AVERAGE(session_duration)
売上レポートの自動化事例
売上データの分析と自動レポート作成は、多くの企業で重要な業務となっています。Looker Studioを活用することで、この作業を効率化できます。
事業部ごとのデータを結合して1つのデータで分析することで、売上の推移はもちろん、今後伸びる可能性が高い分野、部門を把握することができるため、経営判断で重要になるデータを可視化できます。
月次売上レポートの構成例
- トップページ(サマリー)
- 月間売上合計と前年比
- カテゴリー別売上構成
- 地域別売上分布
- 主要KPIのスコアカード
- 詳細分析ページ
- 日次売上推移グラフ
- 商品別売上ランキング
- 顧客セグメント分析
- 販売チャネル別実績
// 前年同月比の計算
SAFE_DIVIDE(SUM(current_month_sales), SUM(previous_year_sales)) - 1
// 累計売上の計算
RUNNING_SUM(sales_amount)
// 月次成長率
(current_month_sales / previous_month_sales - 1) * 100
まとめ:Looker Studioマスターへの道のり
スキルレベル別の到達目標
Looker Studioのスキル習得は、段階的に進めることで確実な成長が期待できます。各レベルでの到達目標と習得すべきスキルを明確にすることで、効率的な学習が可能になります。
初級レベル(1-2ヶ月):
- 基本的なダッシュボード作成
- 標準的なチャートの作成と編集
- 簡単なデータソース接続
- 基本的なフィルター設定
- 必要な前提知識
- スプレッドシートの基本操作
- 基本的なデータ型の理解
- 簡単な数式の扱い
中級レベル(3-4ヶ月):
- データの高度な活用
- 複数データソースの結合
- カスタム計算フィールドの作成
- 条件付き書式の活用
- 実践的なスキル
- パフォーマンス最適化
- レポートテンプレートの作成
- データ更新の自動化
上級レベル(5-6ヶ月以上):
- プロフェッショナルな活用
- 複雑なデータモデリング
- 高度なデータ分析手法の実装
- カスタムビジュアライゼーション
- マネジメントスキル
- チームでの効率的な運用
- セキュリティ管理
- ベストプラクティスの確立
よくある質問(FAQ)
学習開始前に知っておくべきこと
- Looker Studioを始めるのに必要な前提知識はありますか?
- Looker Studioを始めるために必要な最低限の前提知識は以下の通りです
・Googleアカウントの所持と基本的な操作
・スプレッドシートの基本的な使用経験
・データの基本的な理解(数値、文字列、日付など)
以下のような知識があるとより効率的に学習を進めることができます。
・基本的なExcel関数の理解
・Google Analytics の基礎知識
・ビジネスデータの基本的な解釈能力
- 学習にはどのくらいの時間が必要ですか?
- 学習に必要な時間は、目標とするレベルによって異なります。
基本操作の習得:2-3週間(1日30分程度)
実務レベルの活用:2-3ヶ月(1日1時間程度)
上級者レベル:4-6ヶ月(継続的な学習と実践)
- Looker Studioの利用に費用はかかりますか?
- Looker Studio自体の利用は無料です。ただし、以下の点でコストが発生する可能性があります。
・有料のデータソース接続(BigQueryなど)
・有料テンプレートの利用
・Pro版の利用(なくても問題ないです)
- データソースの接続で追加費用が発生するのはどのような場合ですか?
- BigQueryでの大規模データ処理
有料のデータベース接続
サードパーティのデータソース接続
以下のデータソースは無料で利用可能です。
・Google Analytics
・Google スプレッドシート
・CSVファイル
・Google広告