WEBサイト制作で必要になるワイヤーフレームの基本構成
Webサイト制作において「ワイヤーフレーム」は単なる一工程ではなく、プロジェクト全体の成功を左右する戦略的な設計図です。2025年現在、効果的なワイヤーフレーム作成はユーザー体験(UX)の質を高め、コンバージョン率向上に直結すると同時に、開発コストの30%以上削減に貢献するという調査結果も出ています。本記事では、Webデザイナーやディレクターが即実践できる、ワイヤーフレームの基本構成から最新の作成テクニックまで体系的に解説します。
目次
ワイヤーフレームとは?基本的な概念を理解しよう
ワイヤーフレームとは:Webサイト設計の基盤となる青写真
ワイヤーフレームとは、Webサイトの構造と機能を視覚化した設計図であり、実際の開発前に全体像を明確化するツールです。装飾的要素を排除し、情報設計とユーザー体験(UX)に焦点を当てた素案として、以下の3段階で活用されます:
ワイヤーフレームの3つの精度レベル
- 低忠実度(Lo-Fi)ワイヤーフレーム
- 手書きやシンプルなツールによる概略スケッチ
- アイデア段階での素早い検証に最適
- チーム内での初期コンセプト共有に効果的
- 中忠実度(Mid-Fi)ワイヤーフレーム
- デジタルツールで作成された明確な構造図
- 主要な機能とコンテンツ配置を詳細化
- クライアントとの初期共有に適した精度
- 高忠実度(Hi-Fi)ワイヤーフレーム
- 実際のコンテンツに近い詳細な要素を含む
- インタラクションや遷移を明示
- デザインフェーズへの橋渡しとなる完成度

ワイヤーフレームの基本構成要素
ヘッダーエリアの構成
ヘッダーエリアは、サイトの顔となる重要な部分です。サイト全体のメニューになります。
以下の要素を適切に配置する必要があります。サイトによって不要なものもありますが、一般的によく設置しているものをあげております。
- ロゴ
- グローバルナビゲーション
- 検索機能
- お問い合わせボタン
- ハンバーガーメニュー(スマートフォン表示時)
メインビジュアルの設定
メインビジュアルは、サイトの第一印象を決める重要な要素です。メインビジュアルでCV率やページの下部のコンテンツが見られるかどうかが変わって来ます。
お問い合わせを多くするためには、メインビジュアル内にフォームを設置しているサイトが最近よく見られます。
- 画像サイズの指定
- キャッチコピーの配置
- CTA(Call To Action)ボタンの設置位置
効果的なCTAの配置方法
CTAは、ユーザーに期待する行動を促すための重要な要素です。つまりCV箇所に推移させるための導線になります。お問い合わせフォームへの推移や資料ダウンロードなどの目的への導線になります。
- 視線の流れを考慮した位置
- 十分な余白の確保
- コントラストを意識した配置
- 関連コンテンツを阻害しないような配置、見た目


複数の例を挙げております。CTAはA/Bテストを実施するとより効果の高いCTAを作ることができます。
コンテンツエリアの設計ポイント
情報の階層構造
情報を整理し、ユーザーにとって分かりやすい構造を作ることが重要です。コンテンツは、SEO的にもH1〜H4までを使用するような構造にすることが好ましいです。
SEO的に有効な部分もありますが、情報が整理されてユーザーが理解しやすい構造を作ることができます。
- 見出しの階層(H1〜H4)の整理
- 段落構成の検討
- 画像配置の計画
モバイルファーストの考え方
現代のWeb制作では、モバイル対応が必須です。モバイル対応してないサイトはほとんどないかと思いますので、割愛させていただきます。ポイントだけ下記に記載します。
- スマートフォンでの表示を優先した設計
- タップターゲットのサイズ考慮
- スクロールの快適性確保
フッターエリアの構成要素
必須項目の確認
フッターには以下の要素を含めることが推奨されます。フッターはサイト全体の目次のような扱いになるため、できるだけ各ページへのリンクは設置することをおすすめいたします。
フッターは意外にクリック率も高くなることがあります。ユーザーの認識でフッターにいけば、すべてのページが載っていると認識しているため、クリック率が高くなることがあります。
- サイトマップ
- 会社情報
- プライバシーポリシー
- お問い合わせ先
ユーザビリティを考慮した配置
フッターの使いやすさを向上させるポイント。またフッターにもCTAを設置するとより推移率は向上する可能性があります。
- 適切な余白設定
- リンクの視認性確保
- スマートフォン対応の考慮
ワイヤーフレーム作成のベストツール
2025年最新:プロが選ぶワイヤーフレーム作成ツール徹底比較
ワイヤーフレーム作成の効率と品質を高めるには、プロジェクトに最適なツール選びが重要です。以下に、2025年現在のプロフェッショナルに支持されている主要ツールを詳細に比較します。
1. Figma(フィグマ)- 2025年の主流ツール
- 主な強み:
- クラウドベースのリアルタイムコラボレーション機能
- 豊富なワイヤーフレームコンポーネントライブラリ
- プロトタイピング機能の統合
- プラットフォームを選ばないブラウザベース動作
- 向いているプロジェクト: チーム協業、複雑なインタラクティブ要素を含むサイト
- 価格帯: 基本プラン無料、Professional $12/月〜
- 最新機能: AIアシスト機能、自動レスポンシブ変換機能
2. Adobe XD
- 主な強み:
- Adobe製品との高い互換性
- 直感的なインターフェース
- 高度なプロトタイピング機能
- Creative Cloudとの連携
- 向いているプロジェクト: Adobe環境でのデザイン作業が中心のチーム
- 価格帯: Adobe Creative Cloud内 $9.99/月〜
3. Sketch
- 主な強み:
- Mac専用の洗練されたインターフェース
- 豊富なプラグインエコシステム
- ベクターベースの高品質出力
- 向いているプロジェクト: Macユーザー中心のチーム、視覚的に美しいワイヤーフレーム
- 価格帯: $9/月〜、永続ライセンスあり
4. Adobe Illustrator
- 主な強み:
- 高度なベクター編集能力
- プリント・Web両方に対応した出力
- デザイナーに馴染みのあるインターフェース
- 向いているプロジェクト: 高精度のワイヤーフレーム、印刷物も含むプロジェクト
- 価格帯: Adobe Creative Cloud内 $20.99/月〜
ツール選定の決め手となる3つの観点
- プロジェクト規模と複雑さ: 小規模なら軽量ツール、大規模なら協業機能充実のツール
- チームの習熟度: 学習コストと導入しやすさを考慮
- 他工程との連携: デザインや開発フェーズとの親和性
初心者におすすめの無料ツール
InVision Freehand: 共同編集に強い
Wireframe.cc: シンプルで学習コストが低い
Moqups: ブラウザベースで始めやすい
ワイヤーフレームに関するよくある失敗とその対策
ワイヤーフレーム作成の7つの落とし穴と具体的対策
優れたワイヤーフレームを作成するには、共通の失敗パターンを理解し、事前に対策を講じることが重要です。以下に、実務で頻繁に見られる問題とその解決策を紹介します。
1. 情報過多によるユーザー混乱
- 問題の具体例: トップページに全サービス、最新情報、キャンペーン、会社概要など全情報を詰め込む
- なぜ問題か: ユーザーの認知負荷増大、重要情報の埋没、ページ読み込み遅延
- 効果的な対策:
- 「3クリックルール」の適用(最重要情報へ3クリック以内でアクセス可能に)
- 情報の階層化と段階的開示(アコーディオン、タブなどの活用)
- 各ページの明確な役割定義(トップページは導線ハブとして機能させる)
2. 視覚的階層と優先順位の不明確さ
- 問題の具体例: CTAと補足情報が同じ視覚的重みで表現され、主要アクションが埋もれる
- なぜ問題か: ユーザーが次に取るべきアクションの判断が困難
- 効果的な対策:
- 視覚的コントラストによる重要度表現(サイズ、配色、余白の戦略的活用)
- F型・Z型など視線パターンに沿った重要要素配置
- 1ページあたりの主要アクション数を1-2個に制限
3. モバイルファースト思考の欠如
タップ領域最小44×44px確保の徹底
効果的な対策:
モバイル版からのワイヤーフレーム着手
コンテンツの優先順位付けと「モバイルファースト・コンテンツ」の明確化
改善のためのチェックポイント
- ユーザーの動線を意識しているか
- 情報の優先順位は明確か
- レスポンシブ対応は考慮されているか
導線設計は最も重要になります。導線が悪いサイトはユーザーがすぐに情報を見つけることができないため、離脱率が高くなります。ユーザーはサイトに訪問した目的がありますので、その目的に最短で行ける導線を作ることを考慮してください。
よいワイヤーフレームまとめ
ワイヤーフレームは、効果的なWebサイト制作の基礎となる重要な工程です。基本的な構成要素を理解し、ユーザビリティを考慮した設計を心がけることで、より良いサイト制作が可能になります。初めての方は、この記事で紹介した基本構成を参考に、実践を重ねていくことをお勧めします。
この記事を読んだ次のステップとして、実際にワイヤーフレームを作成してみましょう。分からないことがあれば、専門家に相談することをお勧めします。