GTMでクリック計測を設定する方法【初心者向け完全ガイド】
「GTMでクリックを計測したいけど、設定方法がわからない…」 「どのボタンが押されているか知りたいけど、コードを触るのは不安…」
このような悩みを抱えていませんか?
結論から言うと、GTM(Googleタグマネージャー)を使えば、プログラミング知識がなくてもクリック計測を簡単に設定できます。
本記事では、GTMのクリック計測について、変数の有効化からGA4への連携まで、初心者の方でも迷わず実装できるよう、画面キャプチャ付きで詳しく解説します。CVボタン、外部リンク、電話タップなど、用途別の設定パターンも7つ紹介しているので、あなたのサイトに合った計測方法がすぐに見つかります。
この記事を読めば、今日からクリックデータを活用したWebサイト改善が始められます。
目次
GTM(Googleタグマネージャー)のクリック計測とは?
GTMのクリック計測とは、Webサイト上でユーザーがクリックした要素(ボタン、リンク、画像など)を自動的に記録し、データとして取得する機能です。この機能を使うことで、「どのボタンが何回押されたか」「どのリンクが効果的か」といったユーザー行動を詳細に把握できます。
GTMは、Googleが提供する無料のタグ管理ツールで、サイトのHTMLを直接編集することなく、様々な計測タグを一元管理できます。クリック計測も、GTMの管理画面から数ステップで設定できるため、エンジニアに依頼せずマーケターやWebサイト担当者自身で実装可能です。
従来は、クリック計測を行うためにJavaScriptコードを各ページに埋め込む必要がありましたが、GTMを使えばコード編集は不要です。変更したい時も管理画面から即座に対応でき、サイト運営の柔軟性が大きく向上します。
クリック計測でできること
クリック計測を導入すると、以下のような分析が可能になります。
CVボタンのクリック数把握 申込ボタン、購入ボタン、資料請求ボタンなど、コンバージョンに直結する重要なボタンのクリック数を正確に測定できます。ボタンが何回クリックされたか、どのページからのクリックが多いかを把握することで、CVRの改善ポイントが明確になります。
外部リンクの効果測定 自社サイトから外部サイトへ遷移するリンク(アフィリエイトリンク、提携企業サイトへのリンクなど)のクリック数を計測できます。どの外部リンクが効果的かを数値で判断でき、コンテンツ改善やパートナー評価に活用できます。
電話タップ・資料DLの計測 スマートフォンでの電話発信リンク(tel:)のタップ数や、PDFなどの資料ダウンロード数も計測可能です。特にBtoBサイトでは、電話問い合わせや資料DLが重要なコンバージョンポイントとなるため、これらの行動を可視化することで、成果測定の精度が向上します。
GTMでクリック計測するメリット
GTMを使ったクリック計測には、以下の3つの大きなメリットがあります。
コード編集不要で実装可能 最大のメリットは、サイトのHTMLやJavaScriptを直接編集する必要がない点です。GTMの管理画面から視覚的に設定できるため、プログラミングの知識がなくても実装できます。エンジニアのリソースを使わずに計測を追加・変更できるため、スピーディーな施策展開が可能になります。
複数の計測を一元管理 GTMを使えば、GA4、Google広告、その他の計測ツールのタグを1つの管理画面で統合管理できます。クリック計測も含め、すべての計測タグをGTM上で管理することで、タグの重複や設定ミスを防ぎ、サイトの表示速度への影響も最小限に抑えられます。
GA4と連携して詳細分析 GTMで取得したクリックデータは、GA4(Googleアナリティクス4)に送信して詳細に分析できます。ページ別、デバイス別、ユーザー属性別など、多角的な視点でクリック行動を分析することで、より精度の高いサイト改善施策を立案できます。
【事前準備】計測したい要素を決める3つのポイント
クリック計測を始める前に、「何を計測するか」を明確にすることが重要です。闇雲に全てのクリックを計測すると、データが膨大になり分析が困難になります。ここでは、効果的なクリック計測を実現するための3つの準備ポイントを解説します。
事前準備をしっかり行うことで、GTMでの設定作業がスムーズに進み、後から「あの要素も計測しておけば良かった」といった後悔を防げます。また、計測データの活用イメージを持っておくことで、より実践的な分析が可能になります。
1. 計測対象を明確にする
まず、どの要素のクリックを計測したいかを具体的にリストアップしましょう。
CVボタン(申込・購入など)
- お問い合わせボタン
- 資料請求ボタン
- 無料登録ボタン
- 購入ボタン
- 予約ボタン
これらはコンバージョンに直結する最重要計測対象です。ページごとのCVボタンクリック率を把握することで、どのページが効果的かを判断できます。
外部リンク・バナー
- アフィリエイトリンク
- 提携企業サイトへのリンク
- SNSアイコンリンク
- 広告バナー
外部サイトへの導線効果を測定し、パートナーシップの評価や広告効果の検証に活用できます。
電話リンク(tel:)・メールリンク(mailto:)
- スマホでタップすると電話がかかるリンク
- メールアプリが起動するリンク
特にBtoBやサービス業のサイトでは、電話問い合わせが重要なCVとなるため、必ず計測対象に含めましょう。
2. 要素の識別方法を確認する
GTMでクリックを計測するには、対象要素を特定するための「目印」が必要です。HTML要素には様々な属性がありますが、主に以下の3つで識別します。
id属性で識別
<button id="contact-button">お問い合わせ</button>
id属性は1ページ内で一意(唯一)の値である必要があるため、特定の1つのボタンを確実に識別できます。最も正確な識別方法ですが、すべての要素にidが付いているとは限りません。
class属性で識別
<button class="btn-primary btn-download">資料ダウンロード</button>
class属性は複数の要素に同じ値を設定できます。「この形式のボタン全てを計測したい」という場合に便利です。ただし、予期しない要素も計測対象になる可能性があるため、クラス名を慎重に選ぶ必要があります。
href(リンク先URL)で識別
<a href="tel:0312345678">03-1234-5678</a>
<a href="https://example.com">外部サイト</a>
リンク要素(<a>タグ)の場合、リンク先URLで識別できます。電話リンク(tel:)、メールリンク(mailto:)、特定ドメインへのリンクなど、URLのパターンで計測対象を絞り込めます。
識別方法の確認手順
- ブラウザで計測したい要素を右クリック
- 「検証」または「要素を調査」を選択
- 開発者ツールでHTML構造を確認
- id、class、hrefのいずれかをメモ
3. 計測する目的を設定する
クリック計測を「何のために行うか」を明確にしておくことで、データ活用の方向性が定まります。
コンバージョン測定 CVボタンのクリック数を計測し、コンバージョン率の改善に活用します。ページ改善、導線設計、コピーライティングの効果検証に使えます。GA4でキーイベント(旧コンバージョン)に設定することで、広告効果測定やROI計算にも利用できます。
ユーザー行動分析 「どのコンテンツがよく読まれているか」「どのリンクに興味を持たれているか」といったユーザーの関心を把握します。記事内リンクのクリック分布を見ることで、コンテンツ改善のヒントが得られます。
ABテスト効果検証 ボタンの色、文言、配置などを変更した際の効果を、クリック数の変化で定量的に評価します。感覚ではなくデータに基づいた意思決定が可能になり、サイト改善のPDCAサイクルが加速します。
【Step1】GTMでクリック変数を有効化する手順
GTMでクリック計測を行うには、まず「クリック変数」を有効化する必要があります。変数とは、クリックされた要素の情報(ID、class、URL、テキストなど)を取得するためのデータ項目です。この設定は1回行えば、その後のすべてのクリック計測で利用できます。
クリック変数を有効化することで、GTMが「どの要素がクリックされたか」という情報を自動的に収集できるようになります。この情報を元に、後述するトリガー(発火条件)で「特定の要素がクリックされた時だけタグを動作させる」という設定が可能になります。
設定自体は非常にシンプルで、チェックボックスにチェックを入れるだけです。初めてGTMを使う方でも、5分程度で完了します。
組み込み変数の設定方法
組み込み変数とは、GTMにあらかじめ用意されている標準的な変数のことです。クリック関連の変数もここに含まれています。
手順:
- GTM管理画面の「変数」へアクセス
- GTMにログイン後、対象のコンテナを開きます
- 左側メニューから「変数」をクリックします
- 「設定」ボタンをクリック
- 「組み込み変数」セクションの右上にある「設定」ボタンをクリックします
- チェックボックス一覧が表示されます
- クリック関連変数にチェック
- 「クリック」カテゴリの項目にチェックを入れます
- 必要な変数を選択したら、自動的に保存されます
これだけで、クリック変数の有効化は完了です。設定後は、「変数」画面の組み込み変数リストに、チェックした変数が表示されるようになります。
有効化すべき4つのクリック変数
クリック計測で最もよく使う変数は以下の4つです。用途に応じて必要な変数を有効化しましょう。
| 変数名 | 取得できる情報 | 主な用途 |
|---|---|---|
| Click ID | 要素のid属性 | 特定のボタンを識別 |
| Click Classes | 要素のclass属性 | 同じスタイルのボタン群を識別 |
| Click URL | リンク先のURL | 外部リンク、電話リンクを識別 |
| Click Text | クリックされた要素のテキスト | ボタンの文言で識別 |
Click ID: 要素のID属性を取得 HTMLのid属性の値を取得します。例えば <button id="contact-btn"> という要素がクリックされた場合、この変数には「contact-btn」という値が入ります。特定の1つの要素を正確に識別したい場合に最適です。
Click Classes: class属性を取得 HTMLのclass属性の値をすべて取得します。例えば <button class="btn btn-primary"> がクリックされると、「btn btn-primary」という値が取得されます。同じデザインのボタンをまとめて計測したい場合に便利です。
Click URL: リンク先URLを取得 <a href="..."> タグのhref属性の値を取得します。外部リンクの計測、電話リンク(tel:)、メールリンク(mailto:)の識別に使います。リンク以外の要素(ボタンなど)がクリックされた場合、この変数は空になります。
Click Text: クリックされたテキストを取得 要素内に表示されているテキストを取得します。例えば <button>お問い合わせ</button> がクリックされると、「お問い合わせ」という値が入ります。ボタンのテキストで計測対象を判断したい場合に使いますが、テキストが変更されると計測も影響を受けるため注意が必要です。
最低限必要な変数の選び方
すべての変数を有効化しても問題ありませんが、最低限必要な変数だけ選びたい場合は、以下の基準で判断しましょう。
必須: Click URL 外部リンク、電話リンク、メールリンクなど、リンク系の計測では必ず必要です。最も汎用性が高いため、迷ったらまずこれを有効化しましょう。
推奨: Click Classes 多くのサイトでボタンやリンクにclass属性が付いているため、実用性が高いです。「btn-download」「btn-cta」など、わかりやすいクラス名があれば簡単に計測できます。
任意: Click IDとClick Text サイトの構造によって必要性が変わります。id属性が付いている要素が多いサイトではClick IDが便利ですし、テキストでの識別を優先したい場合はClick Textを使います。
実務的なアドバイス: 迷ったら「Click URL」「Click Classes」「Click ID」の3つを有効化しておくことをお勧めします。この3つがあれば、ほとんどのクリック計測パターンに対応できます。
【Step2】クリックトリガーを作成する
トリガーとは、GTMのタグ(計測コード)を「いつ動作させるか」を定義する設定です。クリックトリガーを作成することで、「特定の要素がクリックされた時だけ」タグを発火させることができます。
この設定が最も重要で、ここで「どのクリックを計測するか」という条件を細かく指定します。適切なトリガー条件を設定することで、必要なクリックだけを正確に計測でき、不要なデータを除外できます。
トリガーは「トリガータイプ」と「発火条件」の2つの要素で構成されます。まずどのタイプを使うかを選び、次に具体的な条件を設定していきます。
トリガータイプの選び方
GTMには2種類のクリックトリガータイプがあります。計測したい要素に応じて使い分けましょう。
「すべての要素」vs「リンクのみ」の違い
| トリガータイプ | 対象要素 | 使用ケース |
|---|---|---|
| すべての要素 | リンク、ボタン、画像、div要素など、あらゆる要素 | CVボタン、バナー画像、特定エリアのクリックなど |
| リンクのみ | <a>タグのみ | 外部リンク、電話リンク、ページ内リンクなど |
用途別の使い分け基準
「リンクのみ」を選ぶべきケース:
- 外部サイトへのリンククリックを計測したい
- 電話リンク(tel:)のタップを計測したい
- メールリンク(mailto:)のクリックを計測したい
- アフィリエイトリンクの効果を測定したい
「すべての要素」を選ぶべきケース:
<button>タグで作られたボタンを計測したい- 画像やアイコンのクリックを計測したい
- div要素など、リンク以外の要素を計測したい
- 特定エリア内のすべてのクリックを計測したい
迷った場合は「すべての要素」を選んでおけば、ほとんどのケースに対応できます。後から条件を追加して絞り込むことも可能です。
「すべての要素」でトリガー作成
最も汎用性の高い「すべての要素」トリガーの作成手順を解説します。
ボタン・画像など全要素が対象 このトリガータイプは、ページ内のあらゆる要素のクリックを検知できます。ボタン、画像、テキスト、アイコンなど、種類を問わず計測可能です。
設定手順の詳細解説
- トリガー作成画面を開く
- GTM管理画面の左メニューから「トリガー」をクリック
- 「新規」ボタンをクリック
- トリガー名を入力(例: 「クリック_問い合わせボタン」)
- トリガータイプを選択
- トリガー設定エリアをクリック
- 「クリック – すべての要素」を選択
- 発火タイミングを設定
- 「一部のクリック」を選択
- 条件を追加していきます
- クリック条件を設定
- 例: 問い合わせボタンを計測する場合
- 条件: Click Classes / 含む / btn-contact
- 複数条件を追加する場合は「+」ボタンで追加
- 保存
- 右上の「保存」ボタンをクリック
プレビューでの動作確認方法 設定後は必ずプレビューモードで動作確認しましょう。
- GTM画面右上の「プレビュー」ボタンをクリック
- 自社サイトのURLを入力して接続
- 計測したい要素をクリック
- GTMプレビューウィンドウの「Tags」タブで、作成したトリガーが発火しているか確認
トリガーが正しく動作していれば、「Tags Fired」セクションに表示されます。表示されない場合は、条件設定を見直しましょう。
「リンクのみ」でトリガー作成
外部リンクや電話リンクなど、<a>タグのクリックだけを計測したい場合は、このトリガータイプを使います。
aタグのみを対象にする方法
- トリガー作成画面で「クリック – リンクのみ」を選択
- 発火タイミングは「一部のリンククリック」を選択
- 条件を設定
外部リンク計測での活用例
外部リンクだけを計測する設定例:
- 条件1: Click URL / 含まない / yourdomain.com
- 条件2: Click URL / 先頭が一致 / http
この設定で、自社ドメイン以外へのリンククリックだけを計測できます。
電話リンク計測の設定例:
- 条件: Click URL / 先頭が一致 / tel:
この設定で、スマートフォンでの電話タップを計測できます。
クリック条件の設定パターン5選
実務でよく使う条件設定パターンを5つ紹介します。コピーして使えるように具体的な設定内容を記載しています。
1. 特定のclass名を持つ要素
- 変数: {{Click Classes}}
- 演算子: 含む
- 値: btn-download
- 用途: 「btn-download」クラスが付いたすべてのボタンを計測
2. 特定のURLを含むリンク
- 変数: {{Click URL}}
- 演算子: 含む
- 値: /thanks/
- 用途: サンクスページへのリンククリックを計測
3. 特定のテキストを含む要素
- 変数: {{Click Text}}
- 演算子: 等しい
- 値: 無料で試す
- 用途: 「無料で試す」というテキストのボタンを計測
4. 電話リンク(tel:)の計測
- 変数: {{Click URL}}
- 演算子: 先頭が一致
- 値: tel:
- 用途: スマホでの電話タップを計測
5. 外部ドメインへのリンク
- 変数: {{Click URL}}
- 演算子: 含まない
- 値: yoursite.com
- 条件追加: {{Click URL}} / 先頭が一致 / http
- 用途: 外部サイトへのリンククリックを計測
これらのパターンを組み合わせることで、ほとんどのクリック計測ニーズに対応できます。
【Step3】GA4イベントタグを設定する
Step2で作成したトリガーを使って、実際にGA4へクリックデータを送信するタグを設定します。タグとは、「何を計測するか」を定義する設定で、ここではGA4イベントとしてクリック情報を送信します。
GA4イベントタグでは、イベント名やパラメータを自由に設定でき、後からGA4の管理画面で詳細な分析が可能になります。適切なイベント名とパラメータを設定することで、データの整理と活用がスムーズになります。
この設定が完了すれば、クリックが発生するたびに自動的にGA4へデータが送信され、リアルタイムで確認できるようになります。
GA4イベントタグの基本設定
GA4イベントタグを作成する基本手順を解説します。
タグタイプの選択方法
- タグ作成画面を開く
- GTM管理画面の左メニューから「タグ」をクリック
- 「新規」ボタンをクリック
- タグ名を入力(例: 「GA4_問い合わせボタンクリック」)
- タグの設定
- タグ設定エリアをクリック
- 「Googleアナリティクス: GA4イベント」を選択
測定IDの指定手順
- 設定タグの選択
- 「設定タグ」で既存のGA4設定タグを選択
- まだ設定タグがない場合は、先にGA4設定タグを作成する必要があります
GA4設定タグの作成方法:
- タグタイプで「Googleアナリティクス: GA4設定」を選択
- 測定ID欄にGA4の測定ID(G-XXXXXXXXXXの形式)を入力
- トリガーは「All Pages」を選択
- 保存
- イベント名を設定
- 「イベント名」欄に任意のイベント名を入力
- 例: click_contact_button
イベント名の付け方のベストプラクティス
イベント名は後から分析する際に重要な役割を果たします。わかりやすく一貫性のある命名を心がけましょう。
命名規則の重要性 イベント名に統一ルールを設けることで、複数の担当者が設定しても混乱を防げます。また、GA4のレポート上で関連イベントをまとめて表示しやすくなります。
推奨される命名例
[アクション]_[対象]_[詳細]
具体例:
click_button_contact(問い合わせボタンのクリック)click_link_external(外部リンクのクリック)click_button_download(ダウンロードボタンのクリック)click_tel_header(ヘッダーの電話リンククリック)click_banner_campaign(キャンペーンバナーのクリック)
命名時のポイント:
- 小文字と下線(アンダースコア)を使用
- スペースは使わない
- 日本語は避け、英語で統一
- 40文字以内に収める
- 動詞から始める(click, view, submitなど)
避けるべき命名パターン
❌ 避けるべき例:
button1(何のボタンかわからない)クリック_ボタン(日本語は避ける)Contact Button Click Event for Homepage Form(長すぎる)click(抽象的すぎる)CLICK_BUTTON(大文字は避ける)
イベントパラメータの設定方法
イベントパラメータを設定することで、クリックの詳細情報をGA4に送信できます。これにより、後から「どのページで」「どのテキストのボタンが」クリックされたかを分析できます。
主要パラメータ4種
- link_text(クリックテキスト)
- パラメータ名: link_text
- 値: {{Click Text}}
- 用途: クリックされたボタンのテキストを記録
- link_url(リンク先URL)
- パラメータ名: link_url
- 値: {{Click URL}}
- 用途: リンク先のURLを記録
- link_classes(class属性)
- パラメータ名: link_classes
- 値: {{Click Classes}}
- 用途: 要素のクラス名を記録
- link_id(ID属性)
- パラメータ名: link_id
- 値: {{Click ID}}
- 用途: 要素のID属性を記録
カスタムパラメータの追加
より詳細な情報を記録したい場合は、カスタムパラメータを追加できます。
例:
button_location: ヘッダー/フッター/サイドバーなどの配置位置button_color: ボタンの色(A/Bテスト用)page_category: クリックが発生したページのカテゴリ
パラメータは必要最小限に留めましょう。多すぎるとデータが複雑になり、分析が困難になります。
トリガーの紐づけ手順
最後に、Step2で作成したトリガーをタグに紐づけます。
- トリガー設定エリアをクリック
- タグ設定画面の下部にある「トリガー」エリアをクリック
- 作成したトリガーを選択
- Step2で作成したクリックトリガーを選択
- 例: 「クリック_問い合わせボタン」
- 保存
- 右上の「保存」ボタンをクリック
これで、指定した条件でクリックが発生した時だけ、GA4イベントタグが発火し、データが送信されるようになります。
設定完了後のチェックポイント:
- タグ名がわかりやすいか
- イベント名が命名規則に沿っているか
- 必要なパラメータが設定されているか
- 適切なトリガーが紐づけられているか
【用途別】クリック計測の実装パターン7選
ここからは、実務でよく使われるクリック計測のパターンを7つ紹介します。各パターンごとに、トリガー条件とGA4タグの設定例を具体的に記載していますので、そのまま使えます。
これらのパターンを組み合わせることで、ほとんどのWebサイトで必要なクリック計測を網羅できます。自社サイトの要件に合わせてカスタマイズしてください。
パターン1: CVボタンのクリック計測
コンバージョンに直結する重要なボタンのクリックを計測します。
申込ボタン・購入ボタンの設定例
想定HTML:
<button class="btn-primary btn-contact">お問い合わせ</button>
トリガー設定:
- トリガー名: クリック_問い合わせボタン
- トリガータイプ: クリック – すべての要素
- 発火条件: 一部のクリック
- 条件: {{Click Classes}} / 含む / btn-contact
GA4タグ設定:
- タグ名: GA4_問い合わせボタンクリック
- タグタイプ: GA4イベント
- イベント名: click_button_contact
- パラメータ:
- link_text: {{Click Text}}
- link_classes: {{Click Classes}}
- page_location: {{Page URL}}
GA4での確認方法
- GA4の「レポート」→「エンゲージメント」→「イベント」を開く
- イベント名「click_button_contact」を確認
- イベント数とページ別の発生状況をチェック
パターン2: 外部リンクのクリック計測
自社サイトから外部サイトへ遷移するリンクを計測します。
自ドメイン除外の設定方法
トリガー設定:
- トリガー名: クリック_外部リンク
- トリガータイプ: クリック – リンクのみ
- 発火条件: 一部のリンククリック
- 条件1: {{Click URL}} / 含まない / yoursite.com
- 条件2: {{Click URL}} / 先頭が一致 / http
Click URLでの条件指定 条件1で自社ドメインを除外し、条件2でhttpから始まるURL(つまり外部サイト)だけを対象にします。
GA4タグ設定:
- イベント名: click_link_external
- パラメータ:
- link_url: {{Click URL}}
- link_text: {{Click Text}}
- outbound: true
この設定で、アフィリエイトリンク、提携サイトへのリンク、参考サイトへのリンクなどをまとめて計測できます。
パターン3: 電話リンク(tel:)のクリック計測
スマートフォンでタップすると電話がかかるリンクを計測します。
スマホでのタップ計測
想定HTML:
<a href="tel:0312345678">03-1234-5678</a>
トリガー条件の書き方
- トリガー名: クリック_電話リンク
- トリガータイプ: クリック – リンクのみ
- 発火条件: 一部のリンククリック
- 条件: {{Click URL}} / 先頭が一致 / tel:
GA4タグ設定:
- イベント名: click_tel
- パラメータ:
- link_url: {{Click URL}}
- link_text: {{Click Text}}
- contact_type: phone
電話番号そのものをパラメータに含めることもできますが、プライバシーの観点から、どのページで何回タップされたかだけを記録する方法も検討しましょう。
パターン4: メールリンク(mailto:)のクリック計測
メールアプリが起動するリンクを計測します。
想定HTML:
<a href="mailto:info@example.com">お問い合わせ</a>
トリガー設定:
- トリガー名: クリック_メールリンク
- トリガータイプ: クリック – リンクのみ
- 発火条件: 一部のリンククリック
- 条件: {{Click URL}} / 先頭が一致 / mailto:
GA4タグ設定:
- イベント名: click_mailto
- パラメータ:
- link_text: {{Click Text}}
- contact_type: email
パターン5: PDFダウンロードの計測
PDFファイルへのリンククリックを計測します。
トリガー設定:
- トリガー名: クリック_PDF
- トリガータイプ: クリック – リンクのみ
- 発火条件: 一部のリンククリック
- 条件: {{Click URL}} / 末尾が一致 / .pdf
GA4タグ設定:
- イベント名: download_pdf
- パラメータ:
- file_url: {{Click URL}}
- file_name: {{Click Text}}
- file_extension: pdf
資料請求やホワイトペーパーDLなど、重要なコンバージョンポイントとして活用できます。
パターン6: バナー画像のクリック計測
特定の画像やバナーのクリックを計測します。
想定HTML:
<a href="/campaign/">
<img src="/images/campaign-banner.jpg" alt="キャンペーン" class="banner-campaign">
</a>
トリガー設定:
- トリガー名: クリック_キャンペーンバナー
- トリガータイプ: クリック – すべての要素
- 発火条件: 一部のクリック
- 条件: {{Click Classes}} / 含む / banner-campaign
GA4タグ設定:
- イベント名: click_banner_campaign
- パラメータ:
- banner_location: {{Page URL}}
- banner_destination: {{Click URL}}
パターン7: 特定セクション内のすべてのクリック計測
フッターやサイドバーなど、特定エリア内のすべてのクリックをまとめて計測します。
想定HTML:
<footer class="site-footer">
<a href="/about/">会社概要</a>
<a href="/privacy/">プライバシーポリシー</a>
...
</footer>
トリガー設定:
- トリガー名: クリック_フッターリンク
- トリガータイプ: クリック – すべての要素
- 発火条件: 一部のクリック
- 条件: {{Click Element}} / CSSセレクタに一致 / .site-footer a
※Click Element変数は、カスタムJavaScript変数で作成する必要があります
GA4タグ設定:
- イベント名: click_footer_link
- パラメータ:
- link_url: {{Click URL}}
- link_text: {{Click Text}}
- section: footer
この設定で、フッター内のどのリンクがよくクリックされているかを把握できます。
プレビューモードで動作確認する方法
GTMで設定を公開する前に、必ずプレビューモードで動作確認を行いましょう。プレビューモードを使えば、実際のサイトに影響を与えることなく、設定したトリガーやタグが正しく動作するかをテストできます。
プレビューモードでの確認を怠ると、設定ミスに気づかないまま公開してしまい、正しいデータが取得できない期間が発生してしまいます。特にクリック計測は条件設定が複雑になりやすいため、必ず動作確認を行いましょう。
GTMのプレビューモードは、Chrome拡張機能などのインストールが不要で、ブラウザ上で簡単に使えます。
プレビューモードの起動手順
- プレビューボタンをクリック
- GTM管理画面の右上にある「プレビュー」ボタンをクリックします
- Tag Assistant画面が開く
- 新しいタブでGoogle Tag Assistantの画面が開きます
- サイトURLを入力
- 「Your website’s URL」欄に、計測対象のサイトURLを入力
- 例: https://yoursite.com
- 「Connect」ボタンをクリック
- サイトが新しいタブで開く
- プレビューモードが有効になった状態でサイトが開きます
- 画面右下にGTMのデバッグウィンドウが表示されます
プレビューモードは、GTMを操作しているブラウザでのみ有効です。他の人や他のブラウザには影響しません。
クリックイベントの発火確認
プレビューモードでサイトを開いたら、実際に計測対象の要素をクリックして動作を確認します。
Tagタブでの確認ポイント
- クリック対象の要素をクリック
- 計測したいボタンやリンクを実際にクリックします
- GTMデバッグウィンドウで確認
- 左側のタイムラインに新しいイベントが追加されます
- クリックイベントの名前(例: Click)が表示されます
- Tags Firedセクションを確認
- 右側の「Tags Fired」セクションに、作成したタグが表示されているか確認
- 表示されていれば、タグが正しく発火しています
- Tags Not Firedセクションを確認
- もしタグが「Tags Not Fired」セクションに表示されている場合、トリガー条件が一致していません
- 条件設定を見直す必要があります
Variablesタブでの値チェック
Variables(変数)タブでは、クリック時に取得された変数の値を確認できます。
- タイムラインでクリックイベントを選択
- 右側の「Variables」タブをクリック
- クリック変数の値を確認
- Click Classes: 実際のclass属性が表示されているか
- Click URL: 想定通りのURLが表示されているか
- Click Text: 正しいテキストが取得されているか
- Click ID: ID属性が表示されているか
この変数の値を見ながら、トリガー条件が正しく設定されているかを判断します。例えば、「Click Classes」に「btn-primary btn-contact」と表示されていれば、トリガー条件で「btn-contact」を含む、という設定が機能します。
よくある確認ミスと対処法
プレビューモードでの確認時によくあるミスと、その対処法をまとめました。
ミス1: タグが発火しない
- 原因: トリガー条件が厳しすぎる、または間違っている
- 対処法: Variablesタブで変数の実際の値を確認し、条件を修正
ミス2: 意図しない要素でもタグが発火する
- 原因: トリガー条件が緩すぎる
- 対処法: 条件を追加して、対象を絞り込む
ミス3: プレビューモードが接続できない
- 原因: Cookie設定、ブラウザ拡張機能、HTTPSの問題など
- 対処法: Chromeのシークレットモードで試す、Cookie設定を確認
ミス4: GA4にデータが届いているか不明
- 原因: プレビューモードではタグの発火は確認できるが、GA4での受信は別途確認が必要
- 対処法: GA4の「リアルタイム」レポートを開いて、イベントが届いているか確認
ミス5: 複数のタグが重複して発火している
- 原因: 似た条件のトリガーが複数存在する
- 対処法: トリガー条件を見直し、重複を解消
GTMで設定を公開する手順
プレビューモードで動作確認が完了したら、設定を公開して本番環境に反映させます。GTMの「公開」を行うことで、初めて一般のサイト訪問者にも計測が適用されます。
公開前には必ずチェックリストで最終確認を行い、誤った設定を本番環境に反映させないように注意しましょう。GTMではバージョン管理機能があるため、万が一問題が発生しても前のバージョンに戻すことができます。
バージョン管理の重要性
GTMでは、公開するたびに新しいバージョンが作成されます。これにより、いつ誰がどんな変更を行ったかを追跡でき、問題が発生した場合は以前のバージョンに簡単に戻せます。
バージョン管理のメリット:
- 変更履歴を記録できる
- 複数の担当者が作業しても変更内容を把握できる
- トラブル時に前のバージョンに戻せる
- テスト環境と本番環境を使い分けられる
バージョン名とバージョンの説明の付け方: 公開時には、わかりやすいバージョン名と説明を付けましょう。
例:
- バージョン名: v1.2.0_クリック計測追加
- バージョンの説明: 問い合わせボタン、電話リンク、外部リンクのクリック計測を追加。イベント名はclick_button_contact, click_tel, click_link_externalを使用。
後から見返した時に、何を変更したかがすぐにわかるように記録します。
公開前のチェックリスト
公開ボタンを押す前に、以下の項目を確認しましょう。
設定内容の確認
- [ ] トリガー条件が正しく設定されているか
- [ ] イベント名が命名規則に沿っているか
- [ ] 必要なパラメータがすべて設定されているか
- [ ] 不要なタグやトリガーが残っていないか
動作確認
- [ ] プレビューモードで対象要素のクリックを確認したか
- [ ] タグが正しく発火することを確認したか
- [ ] GA4のリアルタイムレポートでイベントを確認したか
- [ ] 複数のページでテストしたか
影響範囲の確認
- [ ] 既存のタグに影響を与えないか
- [ ] パフォーマンスに問題ないか(タグの数が多すぎないか)
- [ ] 計測対象が意図した範囲に収まっているか
ドキュメント
- [ ] バージョン名と説明を記入したか
- [ ] 変更内容を社内ドキュメントに記録したか
公開後の動作確認
設定を公開した後も、念のため本番環境で動作確認を行いましょう。
確認手順:
- 自分のブラウザで確認
- 公開後、自社サイトにアクセス
- 計測対象の要素をクリック
- GA4のリアルタイムレポートでイベントが届いているか確認
- 複数デバイスで確認
- PC、スマートフォン、タブレットなど、異なるデバイスでテスト
- 特にスマホでの電話リンクタップは必ず確認
- 数時間後に再確認
- 公開から数時間後、GA4の「イベント」レポートで計測数を確認
- 想定通りの数値が計測されているかチェック
- 異常があれば即座に対応
- もし問題が発見されたら、GTMの「バージョン」から以前のバージョンに戻すか、設定を修正して再公開
GA4でクリックデータを確認・分析する
GTMで設定したクリック計測のデータは、GA4(Googleアナリティクス4)で確認・分析できます。GA4には複数のレポート機能があり、リアルタイムでの確認から詳細な探索分析まで、目的に応じて使い分けられます。
ここでは、クリックデータを効果的に活用するための3つのレポート機能と、コンバージョン設定の方法を解説します。これらを使いこなすことで、データドリブンなサイト改善が実現できます。
リアルタイムレポートでの確認方法
まずは、設定したクリック計測が正しく動作しているかを、リアルタイムレポートで確認しましょう。
手順:
- GA4管理画面を開く
- GA4にログインし、該当のプロパティを選択
- リアルタイムレポートへアクセス
- 左メニューから「レポート」→「リアルタイム」をクリック
- イベント名を確認
- 「イベント名(過去30分間)」セクションで、設定したイベント名が表示されているか確認
- 例: click_button_contact, click_tel など
- 実際にクリックしてテスト
- 別タブで自社サイトを開き、計測対象をクリック
- 数秒〜数十秒後にリアルタイムレポートに反映されます
リアルタイムレポートは、新しい計測を設定した直後の動作確認に最適です。ただし、詳細な分析には向かないため、次に紹介するイベントレポートや探索レポートを使います。
イベントレポートでの分析手順
イベントレポートでは、過去のクリックデータを集計し、イベントごとの発生回数やユーザー数を確認できます。
イベント名での絞り込み
- イベントレポートを開く
- 左メニューから「レポート」→「エンゲージメント」→「イベント」をクリック
- 設定したイベントを確認
- イベント名の一覧から、設定したクリックイベントを探します
- 例: click_button_contact
- イベント数とユーザー数を確認
- イベント数: そのイベントが発生した合計回数
- イベントユーザー数: イベントを発生させたユニークユーザー数
パラメータ別の集計
イベント名をクリックすると、そのイベントのパラメータ別の詳細データを見られます。
- イベント名をクリック
- パラメータを選択
- link_url: どのURLへのリンクがクリックされたか
- link_text: どのテキストのボタンがクリックされたか
- page_location: どのページでクリックが発生したか
例えば、「click_link_external」イベントで「link_url」パラメータを見ることで、どの外部サイトへのリンクが多くクリックされているかを把握できます。
探索レポートでの詳細分析
より詳細な分析を行いたい場合は、探索(Explore)レポートを使います。探索レポートでは、複数のディメンションや指標を組み合わせた自由な分析が可能です。
ページ別のクリック数
どのページでクリックが多く発生しているかを分析します。
- 探索を開く
- 左メニューから「探索」をクリック
- 「自由形式」テンプレートを選択
- ディメンションと指標を設定
- ディメンション: ページロケーション、イベント名
- 指標: イベント数
- 行にディメンションを追加
- 行: ページロケーション
- 値: イベント数
- フィルタでイベントを絞り込み
- 「フィルタを追加」→「イベント名」→「次を含む」→「click_」
これで、ページごとのクリック数ランキングが表示されます。
ユーザー属性別の傾向
クリック行動を、ユーザーの属性(デバイス、地域、年齢など)で分析します。
- ディメンションにユーザー属性を追加
- 例: デバイスカテゴリ(PC/スマホ/タブレット)
- クロス集計を作成
- 行: デバイスカテゴリ
- 列: イベント名
- 値: イベント数
これで、「スマホでは電話クリックが多い」「PCでは資料DLが多い」といった傾向を発見できます。
キーイベント(コンバージョン)への設定方法
重要なクリックイベントは、GA4のキーイベント(旧コンバージョン)に設定することで、広告効果測定や目標達成の追跡に活用できます。
設定手順:
- GA4管理画面を開く
- 左下の「管理」をクリック
- キーイベントへ移動
- 「イベント」をクリック
- イベント一覧から選択
- 設定したクリックイベント(例: click_button_contact)を探す
- 右側の「キーイベントとしてマーク」トグルをONにする
- 確認
- トグルがONになっていれば、そのイベントがコンバージョンとして計測されます
キーイベントに設定すべきクリック:
- 問い合わせボタン
- 申込ボタン
- 購入ボタン
- 資料請求ボタン
- 電話タップ(重要な場合)
キーイベントは最大30個まで設定できますが、本当に重要な指標だけに絞ることをお勧めします。
クリック計測が動かないときのトラブルシューティング
GTMでクリック計測を設定したのに、データが取得できない、タグが発火しない、といったトラブルが発生することがあります。ここでは、よくあるエラーの原因と、段階的な確認手順を解説します。
トラブルシューティングは、「どこで問題が起きているか」を特定することが重要です。GTM側の問題か、GA4側の問題か、それともサイト側の問題かを切り分けて対処しましょう。
よくあるエラーと原因5つ
クリック計測が動かない場合、以下の5つの原因がほとんどです。
1. トリガー条件が厳しすぎる 最も多い原因です。設定した条件と、実際の要素の属性が一致していないため、トリガーが発火しません。
例:
- 条件: Click Classes / 等しい / btn-contact
- 実際: class=”btn btn-primary btn-contact” → 「等しい」では一致しないため、「含む」に変更が必要
2. 変数が有効化されていない Step1で説明したクリック変数が有効化されていないと、トリガー条件で変数を使えません。
確認方法:
- GTMの「変数」→「組み込み変数」で、必要な変数にチェックが入っているか確認
3. タグの設定ミス GA4の測定IDが間違っている、イベント名にスペースが入っている、などのタグ設定ミスです。
よくあるミス:
- 測定IDの入力ミス(G-XXXXXXXXXXの形式)
- イベント名に日本語やスペースを使用
- パラメータ名のスペルミス
4. プレビューモードでの確認不足 プレビューモードで動作確認せずに公開してしまい、本番環境で初めて問題に気づくケースです。
対策:
- 必ずプレビューモードで複数のパターンをテストしてから公開
5. キャッシュの影響 ブラウザやCDNのキャッシュにより、古い設定のGTMコンテナが読み込まれている可能性があります。
対策:
- ブラウザのキャッシュをクリア
- シークレットモードで確認
- GTM公開後、数分待ってから確認
トリガーが発火しない場合の確認手順
トリガーが発火しない場合の、段階的な確認手順です。
ステップ1: プレビューモードで確認
- GTMのプレビューモードを起動
- 計測対象の要素をクリック
- GTMデバッグウィンドウで「Tags Not Fired」セクションを確認
- 該当のタグが表示されている場合、トリガー条件が一致していません
ステップ2: 変数の値を確認
- クリックイベントを選択
- 「Variables」タブを開く
- Click Classes、Click URL、Click IDなどの実際の値を確認
- トリガー条件と比較し、不一致があれば条件を修正
ステップ3: トリガー条件を緩める
一時的に条件を緩めて、トリガーが発火するかテストします。
例:
- 「等しい」→「含む」に変更
- 複数条件のうち1つだけにして確認
- 「すべてのクリック」で発火するか確認
発火すれば、条件の絞り込み方に問題があるとわかります。
ステップ4: 要素のHTML構造を確認
開発者ツールで、計測対象の要素のHTML構造を確認します。
- 要素を右クリック→「検証」
- HTML構造とclass、id、hrefを確認
- 想定していた属性が実際に存在するか確認
GA4にデータが届かない場合の対処法
GTMのプレビューモードではタグが発火しているのに、GA4にデータが届かない場合の対処法です。
確認ポイント1: GA4の測定IDが正しいか
GA4設定タグで指定している測定IDが正しいか確認します。
- GTMの該当タグを開く
- 測定IDが「G-XXXXXXXXXX」の形式になっているか確認
- GA4管理画面の「データストリーム」で正しい測定IDを確認
確認ポイント2: リアルタイムレポートで確認
GA4のリアルタイムレポートは、データ反映に数秒〜数十秒かかります。
- サイトでクリックを実行
- 30秒ほど待つ
- リアルタイムレポートをリロード
- イベント名が表示されるか確認
確認ポイント3: データフィルタの設定
GA4のデータフィルタで、自分のIPアドレスが除外されていないか確認します。
- GA4管理画面→「データ設定」→「データフィルタ」
- 有効なフィルタの設定内容を確認
- 自分のIPが除外されていれば、別のネットワークから試す
確認ポイント4: イベント名の制約
GA4では、イベント名に使えない文字や予約語があります。
- スペースは使えない(アンダースコアを使う)
- 先頭は文字で始める(数字不可)
- 予約イベント名(page_view, session_startなど)は使えない
デバッグツールの活用方法
ブラウザの開発者ツールを使って、より詳細にデバッグできます。
Chromeデベロッパーツールでの確認
- ネットワークタブを開く
- F12キーで開発者ツールを開く
- 「Network」タブを選択
- GA4へのリクエストを確認
- Filterに「collect」と入力
- 計測対象をクリック
- 「collect?v=2…」というリクエストが表示されるか確認
- ペイロードを確認
- リクエストをクリック→「Payload」タブ
- イベント名(en=click_button_contact など)が含まれているか確認
Google Tag Assistant Legacy(拡張機能)
Chrome拡張機能「Tag Assistant Legacy」を使うと、GTMとGA4の動作を詳細に確認できます。
- Chrome ウェブストアからインストール
- サイトを開いて拡張機能を有効化
- クリックイベントを実行
- GA4タグが発火しているか、パラメータが正しいか確認
これらのツールを活用することで、問題の原因を特定しやすくなります。
GTMクリック計測のよくある質問(FAQ)
ここでは、GTMのクリック計測について、実務でよく寄せられる質問とその回答をまとめました。初心者の方が疑問に思いやすいポイントを中心に、わかりやすく解説します。
これらのFAQを読むことで、クリック計測の理解がさらに深まり、より効果的な設定と活用ができるようになります。
Q1: クリック計測に料金はかかりますか?
A: いいえ、基本的に無料で利用できます。
GTM(Googleタグマネージャー)とGA4(Googleアナリティクス4)はどちらもGoogleが提供する無料ツールです。クリック計測を含む基本的な機能は、すべて無料で使えます。
ただし、以下の点に注意が必要です。
GA4の無料版での制限:
- 月間1,000万イベントまで無料
- 通常の中小企業サイトであれば、この制限に達することはほとんどありません
- 大規模サイトの場合、GA360(有料版)の検討が必要な場合があります
関連費用が発生する可能性があるケース:
- GTMの設定を外部の専門家に依頼する場合の委託費用
- GTMやGA4の研修・トレーニング費用
- サーバー側でのデータ処理を行う場合のインフラ費用
基本的には、自社でGTMとGA4を設定・運用する限り、クリック計測に追加料金はかかりません。
Q2: 複数のボタンを一度に計測できますか?
A: はい、一度に複数のボタンをまとめて計測できます。
GTMのトリガー条件を工夫することで、複数のボタンを1つの設定でまとめて計測できます。これにより、設定の手間を大幅に削減できます。
方法1: 共通のclass属性で計測 複数のボタンに同じclass名を付けることで、一括で計測できます。
例:
<button class="btn-cv">お問い合わせ</button>
<button class="btn-cv">資料請求</button>
<button class="btn-cv">無料相談</button>
トリガー条件:
- Click Classes / 含む / btn-cv
この設定で、3つのボタンすべてを1つのトリガーで計測できます。
方法2: 正規表現を使って複数のclass名に対応 異なるclass名でも、パターンが似ていれば正規表現で一括計測できます。
例:
- btn-contact
- btn-download
- btn-register
トリガー条件:
- Click Classes / 正規表現に一致 / btn-(contact|download|register)
方法3: 複数条件を「OR」で結合 ※GTMでは直接的な「OR」条件はないため、トリガーを複数作成し、同じタグに紐づけます。
注意点:
- すべてのボタンを同じイベント名で計測すると、どのボタンがクリックされたか区別できません
- パラメータ(link_textやlink_classes)を設定しておけば、後からGA4で区別できます
Q3: スマホとPCで別々に計測できますか?
A: はい、デバイス別に計測することも、まとめて計測することも可能です。
GTMのトリガー条件にデバイス情報を追加することで、スマホとPCを分けて計測できます。
方法1: GTM組み込み変数を使う
- 組み込み変数を有効化
- GTM「変数」→「組み込み変数」→「デバイス」カテゴリ
- 「Device Type」にチェック
- トリガー条件に追加
- 条件1: Click Classes / 含む / btn-contact
- 条件2: Device Type / 等しい / mobile
これで、スマホでのクリックだけを計測するトリガーになります。
方法2: 別々のイベント名で計測 スマホ用とPC用で異なるイベント名を使う方法もあります。
- スマホ: click_button_contact_mobile
- PC: click_button_contact_desktop
方法3: パラメータでデバイス情報を送る 1つのトリガーでまとめて計測し、パラメータでデバイス情報を区別する方法が最もシンプルです。
GA4タグのパラメータ設定:
- device_category: {{Device Type}}
この設定で、GA4側でデバイス別に分析できます。
推奨アプローチ: 通常は方法3(パラメータで区別)がおすすめです。設定がシンプルで、後からGA4で柔軟に分析できます。
Q4: 過去のクリックデータは見られますか?
A: GTMで設定を公開した日以降のデータのみ見られます。過去にさかのぼってデータを取得することはできません。
GTMとGA4は、設定が有効になった時点からデータ収集を開始します。設定前のクリックデータを遡って取得する機能はありません。
データ保存期間:
GA4では、収集したデータの保存期間を設定できます。
- 標準レポート: 最大14ヶ月(設定で2ヶ月または14ヶ月を選択)
- 探索レポート: 設定した期間内のデータを使用
- BigQueryエクスポート(無料): 無制限に保存可能
今からできること:
- できるだけ早くクリック計測を設定し、データ収集を開始する
- 重要な施策の前に必ず計測を設定しておく
- 定期的にデータをエクスポートしてバックアップする
参考情報: もし設定前からGA4の拡張計測機能が有効になっていた場合、一部の外部リンククリックやファイルダウンロードは自動で計測されている可能性があります。GA4の「イベント」レポートで「click」や「file_download」イベントを確認してみましょう。
Q5: GTMとGA4の拡張計測機能の違いは?
A: 拡張計測機能は基本的なクリックを自動計測しますが、GTMでは詳細な条件設定と柔軟なカスタマイズが可能です。
GA4には「拡張計測機能」という自動計測機能があり、特定のクリックを自動で記録します。しかし、GTMを使うことでより細かい制御ができます。
比較表:
| 項目 | GA4拡張計測機能 | GTMクリック計測 |
|---|---|---|
| 設定の容易さ | ワンクリックで有効化 | 変数・トリガー・タグの設定が必要 |
| 計測対象 | 外部リンク、ファイルDL、スクロール等 | 任意の要素を自由に設定可能 |
| イベント名 | 固定(click, file_download等) | 自由に命名可能 |
| 条件設定 | 詳細な条件設定は不可 | class、ID、URL等で細かく条件設定可能 |
| パラメータ | 標準パラメータのみ | カスタムパラメータを自由に追加可能 |
GA4拡張計測機能で自動計測されるクリック:
- 外部サイトへのリンク(outbound clicks)
- ファイルダウンロード(PDF、Excel、ZIP等)
- サイト内検索
- 動画エンゲージメント
- スクロール
GTMを使うべきケース:
- 特定のCVボタンだけを計測したい
- イベント名を自社の命名規則に合わせたい
- ボタンの種類ごとに異なるパラメータを設定したい
- 計測条件を細かく制御したい(特定のページだけ、特定のclass名だけ等)
推奨アプローチ:
- 基本的な計測:拡張計測機能を有効化(手間なし)
- 重要なCVボタン:GTMで個別に設定(詳細な分析が可能)
両方を併用することで、網羅的かつ詳細な計測が実現できます。ただし、同じクリックが重複して計測されないよう、イベント名やトリガー条件を調整しましょう。
まとめ:GTMでクリック計測を始めよう
本記事では、GTM(Googleタグマネージャー)を使ったクリック計測の設定方法を、初心者の方でも実践できるよう詳しく解説しました。最後に、重要なポイントをまとめます。
クリック計測の3ステップ:
- Step1: クリック変数を有効化
- GTM管理画面の「変数」で、Click URL、Click Classes、Click IDなどを有効化
- 一度設定すれば、以降のすべての計測で使用可能
- Step2: クリックトリガーを作成
- 「どの要素のクリックを計測するか」を条件で指定
- class名、URL、テキストなどで対象を絞り込む
- Step3: GA4イベントタグを設定
- イベント名とパラメータを設定
- Step2のトリガーを紐づけて完成
プレビュー→公開→分析の流れ:
- 必ずプレビューモードで動作確認してから公開
- 公開後はGA4のリアルタイムレポートで即座に確認
- イベントレポートや探索レポートで詳細分析
実務で使える7つの計測パターン: 本記事では、CVボタン、外部リンク、電話リンク、メールリンク、PDFダウンロード、バナー画像、特定セクションのクリック計測を紹介しました。これらのパターンを参考に、自社サイトに最適な計測を設定してください。
データを活用したサイト改善: クリック計測のデータは、単に「何回クリックされたか」を知るだけでなく、以下のようなサイト改善に活用できます。
- CVボタンのクリック率から、ページの改善ポイントを発見
- 外部リンクのクリック数から、コンテンツの関心度を測定
- 電話タップ数から、BtoBサイトの問い合わせ傾向を把握
- ページ別のクリック分布から、ユーザー導線を最適化
今日から始められるアクション:
- まずは最も重要なCVボタン1つから計測を始める
- プレビューモードで動作確認し、公開する
- 1週間後にGA4でデータを確認し、分析する
- 徐々に計測対象を増やしていく
GTMのクリック計測は、一度設定してしまえば自動で継続的にデータを収集できる強力なツールです。本記事を参考に、ぜひ今日からクリック計測を始めて、データドリブンなWebサイト運営を実現してください。
設定でつまずいた場合は、本記事のトラブルシューティングセクションを参照するか、GTMのプレビューモードで変数の値を確認しながら、段階的に問題を解決していきましょう。
あなたのサイトでのクリック計測の成功を願っています!
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